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6.トリシャは手術を-今度はクリスの手術が始まった-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 トリシャは手術台にうつぶせの状態で寝かされていた。


 先に行く、と言って中に入って来たトリシャを待っていたのは女性職員だ。この職員というのは先にカズの緊急手術を手伝った人たちである。皆が看護師の資格を持ち、麻酔医相当の資格まである、いわゆる医療スタッフだ。そしてこの施設で医療スタッフはとても大切な役割がある。被検体実験の助手という、そのおぞましい役割を誰もがこなしているのだ。なので、分野によってはその辺にいる医者よりも外科的知識、経験共にあるのだ。


「こちらに」


 そう言われて数歩進んだところで、服を脱がされる。そこで働くスタッフには男性もいはするが、こちらには目もくれようともしない。それに、ここにはカーテンや敷居というものは存在しない。恥ずかしい、などと言っていられる場所ではないのだ。


 そこで手術衣に着替えさせられて、先ほどの手術台の上に乗せられた、という訳だ。


「これから麻酔をする。多分十数えているうちに貴方はは意識を失うでしょう」


 という言葉とともに既に意識を失いかけていた。その薄れゆく意識の中で[さぁて、やるぞー]という声や[今回のは慎重にな。相手は被検体ではない、貴重なパイロットなのだから]という声が聞こえた。


「意識消失しました。麻酔深度よし、手術に入れます」


 という声とともに首元にメスが入れられる。


 ここからは特に慎重さが求められる。何と言っても体の神経系を分岐する機器を取り付けるのだから。


 それは単に神経をぶつ切りにして機械と接続、というような簡単なものではない。中枢神経には触らず末梢神経にかませるのだ。そうする事で呼吸や心拍のような自発的な神経の信号自体には手を付けずに、感覚、運動系だけを分ける事が出来る。これが中枢神経系までやってしまうと人間の自立に欠かせない神経まで処理しないといけなくなる。スイッチャーであるこの機械にそんな高度な機能はない。


 末梢神経だけとはいっても相手は神経系である。無理な事をすれば直ぐに損傷してしまう。神経系や脳関係の手術は特に慎重さが求められるのだ。


 とは言っても、ここの職員は[その手の手術]は慣れたものである。今までに何人の脳を取り出してきたか。


 サブプロセッサーには人間の脳が必要だが、取り出したあとの体はどうなるのか。そのまま廃棄するのはもったいないし非効率的だ。そこで、脳を取り出されたあとの体は手術の練習に使ったり、実験に使ったりと用途はさまざまである。


 そうやって、非人道的と言える実習と実験を繰り返して今の技術があるのだから。


「よし、神経系に到達、切断して機器と接続っと」


 順調に進んでいるようで、どんどんと作業は進んでいく。


 そうしているうちに土台の神経への接続と埋設は完了した。


「あとはプラグのパーツだけですね」


 助手がそんな事を言いながらそのパーツを手渡す。体の表面に出る部品だ。執刀医はそれを受け取るとパチン、とはめていく。その衝撃なのか、トリシャの体が一瞬だけビクついた。無事に取り付けられたので皮膚と機械の融合を促進するための接着剤を塗布していく。数分もすれば乾いて皮膚と機械は一体になる。そこまでいって終了となる。


「終わったから隣に移動して。次の検体に移る」


 手術が終わればあとは麻酔が切れるのを待つだけである。限られた時間でこなさないといけない。決して急いでいる訳ではないが、このあとのスケジュールを考えると作業は出来るだけスムーズに進めた方がいい。


「次の検体を連れてきました」


 という声で、今度はクリスの手術が始まった。


全43話予定です



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