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37.いい事考え付いたぞぉ-クリス、降りて来てくれる?-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 カズはレイドライバーから降りると、一つずつ自分がやらないといけない事を始めた。


 まずは捕虜の扱いだ。


「戦闘機の格納……いやダメか。レイドラ……もっとダメだな。ECMをかけるとなると、あっ、そうだ。いい事考え付いたぞぉ」


 そんな独り言を言うと、


「誰か、基地正面にテントと簡易トイレ、それに尋問用の椅子用意してくれないか? それと身体検査用の検査機一式をお願い」


 基地の隊員に言って簡易テントと、その中に簡易トイレを設置し、身体検査用のスキャナーやハンド式レントゲンを用意させた。


 そこへゼロツーとゼロスリーを呼んでECMをかけ続けながら捕虜を連れて来て、


「さて、と。きみ、名前は……まぁ、いいや。その辺りはゆっくりとあとで聞くから、とりあえずしばらくここでこの椅子に座っててよ。クリス、ECMはゼロツーに任せて降りて来てくれる?」


 とクリスを呼ぶ。


「了解です、少々お待ちください」


 第一世代だった頃と違い、接続の切断と再接続が時間が若干かかるようになったのだ。だがそれも数分で終わり、


「お待たせしました大尉」


 先の敵レイドライバーの隊長との話を聞いていたクリスだ、名前は敢えて呼ばない。


「彼女、と呼称するけど、身体検査一式お願い。使い方は……無粋だったね。終わるまで待っているから」


 レイドライバーのパイロットは、ありとあらゆる機器の使い方や機械の使い方もマスターしているのだ。その中には、こういった機器の使い方や、はては飛行機の飛ばし方や戦車の操縦だって習っている。


 カズが[終わるまで待ってる]と言ったのは、何か埋め込まれているような事があれば、対処できるのはここにはカズしかいないという事を意味しているのだ。


「了解しました、彼女さん?」


 クリスが語り掛けると、


「いいよ、話す。許可ももらっているから。私はイリーナ・グリゴリエヴナ・コズロフ、階級は少尉だ。イリーナ、と呼んでくれ」


 ――おっ、意外と話が通じるタイプの人間か?


 カズはちょっと期待しながらそれを見守る。


「ではイリーナさん、こちらへ」


 そう言ってテントの中に入っていき、幕を閉じる。


 ――よし、その間に。


「ゼロツー?」


「何?」


 トリシャが無線に出る。


「クリスには言ってあるんだけど二人で交代でECMをかけ続けて。オレはこのあと、レイリアを何とかする為に留守にするから。ちょっと長くなるかもだけど、数日で戻って来るつもりだ、その間づっとECMをかけて」


 そう伝える。


「了解だわ」


 と短く応答する。


 しばらくしてクリスが、


「大尉」


 と呼ぶのでカズも中に入る。


 すると、


「電波信号の検出は出ませんでした。共振スキャナーに反応があり、レントゲンに影が出ました」


 そう言ってモニターを見せる。


 そのモニターには身体のあちらこちらに影が映った。


 ――そりゃそうか、パイロットスーツ着てるもんなぁ。


「イリーナ少尉、ここでパイロットスーツを脱ぐんだ」


 試しにそう言ってみる。


「貴方は男じゃあないか、そんな事……」


 カズの思った通りの、期待した通りの答えが返って来る。


 ――これはいいね、恥じらいのある人間だ。


「さっきの無線でいったよね[落ち着くまでは[こちら側]の扱い方をさせてもらう]って。四の五の言わずに脱いで」


 ちょっとだけ強い口調で言う。


全43話予定です



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