表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/43

36.では帰投します、一般回線に繋ぎなおします-全機、とりあえず帰ろ-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

「何だね?」


「パイロットスーツなのですが、私としてはパイロットと同等に重要視しています。是非ともウチの研究員に調べさせたいところではあります。ですが、そのスーツには何か細工がしてある可能性が高いと思います。敵基地からここまで大分距離があるので、可能性としてはまずないと思うのですが」


 とまで言ったカズの言葉を、


「爆破か発信か、それに準ずる可能性だね」


 司令が受ける。


「はい、なので至急エルミダス基地から電波暗室を取り寄せて頂けないでしょうか? それまではゼロツーとゼロスリーでECMはかけ続けさせます。暗室が到着と同時にスーツの方は暗室にしまって頂ければ。今からのパイロット面倒はクリスに任せますので」


「それまでパイロットはどうする? クリス君に面倒を、と言ったが、どんなに急がせても二日くらいはかかるぞ」


 もっともな疑問だ、だが、


「一般整備ドックの隅にでも置いといて耐えてもらいましょう。この時期は雨もないでしょうから、直射日光を避ければいいか、と。人道的に配慮しつつ相手の精神を削ります。最低でも二日、恐らくはそれ以上の時間をかけて削ります。クリスには捕虜の面倒を見るように言ってあります。パイロットスーツはもちろん脱いでもらいます。その状態なら[恥じらいのある人間]にはとても効果的ですから。私が帰って来るまでそうしておいてください。相手が疲弊していれば尋問も楽ですし[余分な事]も話してくれそうですから」


 そう言うカズは少し楽しんでいた。クリスもアレだが、カズも相当である。そんな事を言えばレイドライバーに関わっている人間はどこか壊れてしまっているのかも知れない。そんな中で言えばレイリアが一番まともな感じがする。


「分かった、そうしよう。それともう一つある。爆破した機体だが、所長殿としてはどう見るね?」


 敵部隊は撤退したが、爆破したレイドライバーの残骸はそのまま残っている。


「それもウチの職員に調べさせようと思います。爆破が済んでいるので危険性はほぼゼロと考えていいでしょう。ですので手の空いた兵士、重機を使って同じく整備ドックに運んで頂けませんか? その陣頭指揮はヤマニさんにお願いして頂ければいいかと」


 ヤマニは整備士として、レイドライバーの機密事項にアクセス出来る唯一の人間だ。他の整備士では手を出す事を禁止されている部分の整備を一人で行っている。そんなヤマニだ、どの部分が重要で、どの部分は要らないかは現場で判断がつくはずである。そういう意味でも適任だろう。


「分かった。その辺りの手配もしよう」


 と司令が応じる。


「そう言えば、今のこの通信のついでに司令に申し上げておきます」


 改めてカズがそう言うと、


「何だね?」


「今回、ゼロツーとゼロスリーは改修作業を行い、パイロット無しでも自発行動が出来る機体になりました。私の機体は、言うまでもありませんが。パイロットについても第二世代化したのでレイドライバーとしての性能は格段に上がったか、と思われます。実際に今回の戦闘でほとんど被弾していませんし。ですので、もし作戦行動中にパイロットとの通信が途絶するような事があった場合は、人払いをしてからサブプロセッサーを呼び出してください。そうすれば基地までは」


 と続けたカズの言葉を、


「戻って来られるというのだな! それは素晴らしい!」


 それはそうだ、自立行動が出来るという事は、最悪の場合はパイロットを乗せず単体で出すことも出来るという事を示しているのだから。


「それともう一つ良い知らせがあります」


「うん、何だね?」


 司令は上機嫌のように聞こえる。


 それもそうだ。ゼロワンは戦闘能力を失ったもののパイロットは無事、それにゼロゼロ、ゼロツー、ゼロスリーが性能向上して戻って来たのだから。敵のレイドライバーは、今回確認されているだけで六体、うち二体を完全撃破、さらにパイロット一名の捕虜の拿捕である。


 今回、戦力としてはワンワンも含めて四体を維持、それも敵より性能が上がった状態なのだから。


 仮にカズがいない時に再度の侵攻があったとしてもゼロゼロの機体をここに置いておけば。秘密を漏らす可能性はあるが、自発行動が出来る点で戦力になる。


 つまり、四対四の同数である。同数であるならば、現時点で推測するにこちらが負けるはずがない。


 カズの行動はそれだけの状況を作った、という事を意味しているのだ。


「ゼロフォーという、第一世代ベースの第二世代型が一体と、ワンツーというケンタウロス型の第二世代が近日中に配備になります。多分私と入れ替わり、くらいのタイミングか、と。パイロットにはゼロフォーの方は普通に[調律]を、ワンツーのパイロット二名には[クスリ]を使ってどちらも仕上げてあります。貴方と私、副司令……ではなくなりましたね、現エルミダス基地の司令、それに[あの人]の四人の言う事は絶対、と刷り込んでありますので」


 カズの言うにはレイドライバー二体の追加配備、である。


 仮にレイリアの機体が直れば合計で七体のレイドライバーの実戦配備になる。それは今のパワーバランスを一変できる可能性を持っている。


「そ、それは……すばらしいの一言だな。他に言葉が見つからないよ」


 司令もそれが分かるからこんなに歓喜しているのだ。


「では帰投します、一般回線に繋ぎなおします」


 そう言ってカズは通常の回線に切り替えた。


「全機、とりあえず帰ろ」


 そうして全機とも格納デッキに戻っ来たのだ。


全43話予定です



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ