26.ちゃんとしないと、ね-痛い痛い!!-
全43話予定です
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
「了解。引き続きゼロツーへの管制を継続します」
サブプロセッサーが話すときはその相手にだけ聞こえる秘匿通信を使っている。
なので、
「ゼロツー了解」
と言ってもその声は今はゼロゼロと、カズにしか聞こえない。
「トリシャ?」
「分かってるわ、指示を頂戴」
直ぐにディスプレーに一体のレイドライバーが赤く表示される。そして具体的にその狙う個所も表示されるのだ。
「了解した、指示に従うわ」
そう言うと動きは止めずに狙いを定める。するとどうだろう、ゼロゼロとゼロツーの放った弾丸が帝国のレイドライバー一体に集中する。その弾丸の軌跡はまるで吸い込まれていくかの如く盾で守られていない脚部に当たる。
「大丈夫か!」
クラウディアは被弾した隊員に声をかける。
「自分はもう動けそうにありません、あの動きは異常です。撤退を進言します」
そう言った彼女は、
「隊長、ここは私が止めます。ですので撤退してください。残念ですがこれ以上の損耗はマズいかと思われます」
「しかし、それでは」
それは、彼女の死を意味している。
「貴方はこの隊に欠かせない人だ。私の代わりはいくらでもいます、だから」
脚部に被弾していて今は二体からの攻撃にさらされている。そう時間も持たないであろう事は誰だって予想がつく。
「くっ、分かった。起爆はこちらでする。最後に」
「はっ」
クラウディアは退避行動をとりながら、
「私なんかの為にすまない、そして。ありがとう」
そう言い残すともう一体のレイドライバーと機械化部隊と共に後退を始めた。
「カズ君、敵が」
異変にいち早く気が付いたゼロゼロがそう言う。
「撤退し始めたね。という事は」
向こう側で戦っている敵も撤退を始めたという事であろう。
少し前。
ワンワンは一体で三対ものレイドライバーと対峙していた。訓練ではレイドライバー二体と機械化部隊の混成部隊と何度も戦った事がある。だが、それはあくまで模擬訓練、シミュレーション上でしかない。実際に実物と戦うとやはり勝手が違う。
それでも、
「負けねぇぞ」
アイシャは興奮していた。
――こんな敵なんかに負けてたまるか。
「アイシャ、ちょっと感情的になりすぎです。もう少し抑えて」
ネイシャがたしなめる。
だが、
「うるさい! 黙ってて」
そう来た。それ程にこの状況は圧倒的な不利なのである。
しばらくの沈黙があった。その間も攻撃は続いている。それは唐突に起きた。
「痛い痛い!!」
――これはキツイ。
アイシャが痛がる。
「ダメでしょ? ちゃんとしないと、ね」
そう言うネイシャはいつもと違うように感じる。それは子宮を介したシグナルで考えなくても伝わるのだ。そう、ネイシャは静かに怒っているのだ。
全43話予定です




