24.突出するなもう少し待て-カズ!!-
全43話予定です
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
レイリアは務めて冷静でいようとしていた。それはカズからいつも言われている事だ。
だが三対一、この状況が彼女から少しだけ冷静さを奪っていた。そこへの波状攻撃である。確かに、グレネードは直接当たらなければどうという事はない。それは遮蔽物に隠れているからだ。
それでも波状に何発も喰らうと動揺するものである。
――持久戦に持ち込むのは分かるけど、一体いつになったら攻撃できるの? 敵は少しずつ近づいているのに。こうなったら。
スティックを傾けて遮蔽から出るよう指示を出す。そして敵に向かってジグザグに動きながら近づく。確かにこれならリアクティブアーマーも着ているし数発の被弾なら大丈夫。その間に自分なら一体か二体は屠れるはずだ、と思っていた。
そう思っていたし、確信していた。
無線の、
「ゼロワン、突出するなもう少し待て。そうすれば援軍が来る」
の言葉はレイリアには届かなかった。それが届いた時、彼女は両腕を失っていた。
「ギャーッ!!」
思わず叫び声が出る。敵は近接武器を持っていたのだ。そして自分と同じかそれ以上のスピードで、正確にリアクティブアーマーの隙間を狙ってきたのである。
「痛い! 痛い!! 助けてカズ!!」
すでに操縦不能である。
――あぁ、あたしはこのまま死ぬのかな。そうだよね、自分を過信したバチが当たったんだよね。
痛みは直ぐに鈍痛へと変わっていく。だが消える訳ではない。肉の焦げた匂いが充満する。
レイリアが気を失いそうになっているとき、無線から聞こえた[大丈夫か]の声。それはとてもよく聴き慣れた声だ。
――ゴメンね、カズ。上手くやれなかった。
そう思いながらバランスを崩しそうになってるのを支える[モノ]がいた。
「もう大丈夫だ、待たせたな」
「えっ?」
ディスプレーには僚機であるゼロゼロの姿があった。
――――――――
レイリアが飛び出す少し前。
「大尉たちが到着しました」
の一報が司令室に入った。それは待ちに待った[援軍]である。
直ぐに司令が、
「無線を」
と言うと、
「状況は、送っていただいた情報で把握しています。向こうで少し装備を改装しまして。ブースターを装備してきていますので、直接支援任務に就きます」
「ブースター? とにかく彼女たちの援護を」
司令の悲痛な声を、
「お任せください」
こういう時のカズはとても頼りがいがある。圧倒的に自信に満ちた声、それを支えるだけの状況、さらには装備もあるのだろう。
「行きます」
の声と共にトレーラーから立ち上がると同時にすごい勢いで加速していく。それが三体である。
「何だ、この加速は。従来のレイドライバーにはない加速だが、これが大尉の言うブースターというやつか」
司令が驚くのも無理はない。今までのレイドライバーは二足歩行が故の速度の遅さがあったのだ。だが、今の彼らにはそれが無い。まさしくロケットでも積んでいるかの如く二方に分かれているゼロワンとワンワンの支援に向かう。
「それより、ゼロワンが劣勢だ、急いでくれ」
という司令の言葉に、
「了解しました」
と応じる。
カズたちはそれぞれのところへ向かう。ゼロワンの方にはゼロゼロとゼロツーが、ワンワンの方にはゼロスリーが。
「ゼロスリー、そっちは任せたからね。ワンワンは対多数戦闘には慣れているからサポートに回って」
とクリスに声をかける。
「了解しました、向かいます」
「まぁ、本当はオレがそっちに行った方がいいんだろうけど、ちょっと嫌な予感がしたからこの布陣にしたんだ。とりあえず、味方レイドライバーの支援と敵レイドライバーを削ぐんだ。全滅までは考えてないから削ぐだけでいい。深追いはしないでね」
「分かりました」
――――――――
そしてカズは、ゼロゼロは倒れそうになっているゼロワンを支えたのである。
――カズ……カズ!
「カズ!!」
思わずコードネームを忘れて名前で呼ぶ。
全43話予定です




