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22/43

22.敵発見-挟撃か……-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 全周警戒が行われるようになって一週間、レイリアたちが最も恐れていた敵の襲来が検知された。


「敵発見」


 の報告に、基地全体があわただしくなる。司令たちは指揮所でずっと待機していた。


「敵はどの布陣できた?」


 との問いに、


「二手に分かれて進軍中です。こちらから向かって中央と右手から挟撃の体制で向かっています」


 オペレーターが伝える。


「挟撃か……」


 司令も、いや司令だけでなく基地の人間ほとんどが恐れていた事だ。


「どのくらいで基地に到達するかね?」


 司令がオペレーターに聞くと、


「機械化部隊を連れているので動きは遅いですが、数時間といったところです。対空レーダーに感あり、戦闘機が先行して向かってきています」


 の言葉に、


「すぐに三五F混成の要撃機をあげたまえ。それと機械化部隊の準備を。準備出来次第出せ。カズ大尉は?」


「今ミラール市に到着した、との連絡がありました」


「こちらの状況を共有する、情報を回したまえ」


 すると、


「大尉から通信です」


 オペレーターが答える。


「繋げ」


「司令、こちらは伝えた通り、ようやくミラール市まで来ました。ここからそちらまではどんなに急いでも半日近くかかります。その間、何とかしのいでください」


「急いでくれよ、このままでは彼女たちが危ない」


 司令の口から出たのは自分たちの心配より、レイリアたちレイドライバーの心配である。そういう意味でもこの基地司令は状況をよく理解できる人物であろう。


「ちなみに敵はどのような布陣で?」


「最悪のパターンをとって来たよ。挟撃だ」


「という事は一対三、ですか」


 敵レイドライバーの補充の情報は既にカズのもとにもたらされていた。


「出来れば避けたいところではあるが、こればかりはしょうがないだろう。遮蔽物を増設してある。それを使って持久戦に持ち込んでくれれば、と考えてはいるが」


 司令の考えうる最悪のシナリオが杞憂であると信じたいところではある。


「司令、こちらは即応できるように武器装備状態でトレーラーに搭載しています。繰り返しますが、何とかお願いします」


「分かった、やるしかないようだな。各隊との無線を開け」


「了解」


 とオペレーターが言うと、直ぐに航空部隊長のサンドと機械化部隊長、それにゼロワンとワンワンに繋がる。


「先に伝達した通り、敵は二手に分かれ挟撃という手段を取って来た。それに航空機も出てきている。航空部隊の三五Fと三五FDIは要撃を、垂直離着陸機は基地の防衛と可能なら敵機械化部隊への爆撃を、機械化部隊は同じく敵機械化部隊の要撃を、レイドライバーの二体はそれぞれ敵レイドライバーの要撃を行う」


 とまで一気に言ったあと、


「現在、カズ大尉率いるレイドライバーの増援がこちらに向かっているが、到着は半日はかかる見通しだ。それまでは耐えてくれ」


「了解」


 と全員の声がそろう。


「最後にゼロワンとワンワン」


 秘匿回線に切り替えた司令がそう語り掛ける。


「何でしょうか?」


「何をおいてもきみたちの生存が第一だ、それを忘れるな。味方の部隊は多少犠牲が出ても仕方ないが、きみたちは何としても生き残るんだ、いいね」


 少しの間。そのあと、


「了解しました」


 皆声のトーンは低い。


 そして会敵したのだ。


全43話予定です



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