20.という訳なのだよ-二対六の可能性もある-
全43話予定です
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司令室の一角にある会議室に司令と参謀、それにレイリア、アイシャ、ミーシャが呼ばれて集まっていた。
「という訳なのだよ」
基地司令から直々にパイロットたちに事情が説明された。
――それって、最悪の場合カズなしで戦うって事?
レイリアは不安な顔をした。勿論その不安な顔は他のパイロットにも出ている。
「このまま行くとカズ大尉が返って来るのが早いか、攻勢が早いかという状況だ。最悪の場合は二対四、あるいは二対六の可能性もある」
「マスターには話は行っているのでしょうか? 行っているなら何と?」
ミーシャが珍しく発言する。
「話したよ。だが、これ以上の短縮は難しいとの事だ。今回、彼の機体も被害を負ってるからな、その修理もある」
――そう言えば二人ってどうしてるの?
そう思ったレイリアが、
「司令、トリシャとクリスはどうしてるんですか?」
と質問する。
その答えは、
「彼女たちは身体、機体共にダメージを負った。その修理と新しい装備に換装する為にある場所にいる。カズ大尉もそこにいるのだよ」
司令だ。
「その場所って……あっ、秘密なんでしたっけ」
慌てて質問を撤回する。
「本当なら教えてあげたいところだが、これは機密事項なんだ」
司令がそう諭す。アイシャとミーシャは黙ったままだ。彼女たちは[その場所]の存在を知っている。だが、決して口外するなと命令を受けているのだ。
「ともかく、今は大尉たちが間に合う事を祈りつつ、来る攻勢に対してできうる限りの対抗策を練る必要がある」
という参謀の言葉は誰もが納得するものだ。
「具体的にはどうするね?」
司令が聞くと、
「幸い、こちらには最新の三五FDIがあります。前回の戦闘終了時、敵は残存数が六機中二機が最新鋭機、対してこちらは残存数が十二機中最新鋭機が三機という結果でした。この戦闘には垂直離着陸機は参加していませんが、例のミラールへの威力攻撃の際に合計四機落とされて残存数が四機となっています。この機体に関しては滑走路が要らない代わりに運動性能が少し劣る為、最新鋭機を含んだ敵と交戦するとなると力不足は否めません」
垂直離着陸機が有利なのは、地理に関係なく離発着が出来る、という点である。加速性能や旋回性能はどうしても通常型の戦闘機には及ばない。それでも戦闘機である以上、ヘリとは違い空戦が出来る。これはすごく大きい事だ。
――でも、問題はレイドライバーの数なんだよね。
「密偵に出している部隊は何と?」
アルカテイル市を占領した時から、来る攻勢に備えて隣街に偵察部隊を出していた。何故グランビア市ではないのか。それは警備網が厳重でとてもではないが入れないからである。
そういった面でもアルファエイトは本当に運がいいのだろう。何といっても単身とはいえ、敵に見つからずに潜入し、見つからずに戻って来たのだから。
「聞き込みをしています。それで言えば、食料や燃料を軍関係者と思われる人間が大量に購入しているという事実があります。それがここ二、三日でとの事でした」
参謀がそう付け加える。
「という事は、やはり」
「はい、ここ一週間かそこらだと思われます」
「そこでだ」
と司令が一言つき、
「ゼロワンとワンワンで交代で全周警戒を行う事とする。これには戦闘機も参加させる。ちょうど補充も来たことだしな。敵部隊を検知した時点から第一次警戒態勢で迎え撃つ。敵はグランビア市から来るとなると、ちょうど滑走路側に出現するはずだ。ここには正門とは違い堀のようなものが無い。なので今ある遮蔽物をさらに増設しようと思う。それに機械化部隊を配置して簡単には攻め込めないようにする手はずだ。問題は敵が分散してきた時だが……」
それ以上は言葉にならない。多数対一という戦闘を強いられることを意味している。そうなれば生存も危うい。
「だが、敵とてこの一、二週間でそんな大部隊は用意できないはずだ、と信じよう。あとは、カズ大尉たちの帰還もな。そうそう、近々増援のレイドライバーが来る予定との事だ。今回の大尉の帰還には間に合わないらしいが、その代わり改修時に新装備を積んで帰って来る、とまの事だそうだ。そうなれば戦力差こそある可能性は否定できないが、ワンワンがいる分こちらにも勝機が出てくる。そうなる事を祈ろう」
司令がそう言って話を締めくくっている中、レイリアは、
――ねぇ、大丈夫だよね。ねぇ、カズ……。
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