2.あれから二週間-接続テストをします-
全43話予定です
今回から少しペースを落とさせてください、曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です
(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
ドックでは整備員たちが外装を外した状態で待っていた。
あれから二週間、打ち抜かれた背中と脚部は修理されていた。背中は今度はコアユニットが入らない為、防弾性能を増してある。もちろん、細かいところの改良もされている。
その一つが触覚だ。今までも触覚は信号としてコアユニットに送ってはいた。だが、今度はパイロットが直接操縦するのだ。触覚も今まで以上に[リアル]に信号として送れるようになったものを実装している。これで、パイロットたちは風を感じることが出来る、と言ったら大げさか。だが、それくらい性能は上がった。
「ユニット来ました」
そう言ってサブプロセッサーの入った生命維持ユニットがドックに運び込まれる。そこでユニットから出してレイドライバーのユニットにセットしなおすのだ。当たり前だがレイドライバーにも生命維持のユニットは付いている。
この、ユニット同士の交換に要する時間は極力短くなくてはならない。それは、生命維持ユニットから取り出された状態では、サブプロセッサーの中に内蔵されているわずかな量しかない生命維持に必要なものに頼らないといけないし、それが供給できるのはたった十分前後である。その為、この作業は時間がものをいう。
「間違いないように、確実にな」
整備班の班長が号令をかける。それぞれの機体にサブプロセッサーが搭載されていく。その作業が終わると、
「接続テストをします」
そう言うと、レイドライバーの信号系統とサブプロセッサーのそれをつないでいく。
今度搭載されるサブプロセッサーは自我があるタイプである。これは、最悪の場合パイロットが死亡してもサブプロセッサーだけで帰還する事を目的の一つとしている。もう一つの目的は、パイロットへの作戦時の助言である。これは自我のないサブプロセッサーには不可能な機能だ。
「はぁ、ようやく繋がったぁ」
「はぁはぁ」
それぞれスピーカーが接続されて声が出せる状態になった。
「ゼロツーからテストをします」
そう言うと、コントロール系統から一つずつチェックされていく。この意思疎通にスピーカーが必要なのだ。
「あーしは大丈夫だって、ちゃんと繋がってるから」
ゼロツーのサブプロセッサーがそう言うと、
「それはお前だけが分かってる情報で、こちらには伝わらないんだからちゃんと付き合いなさい」
と班長にたしなめられる。
「それはそうか、ゴメン。続けて」
ゼロツーに搭載されたサブプロセッサーはずいぶんとよく喋る。性格はアイシャに近いのかもしれない事は推測がつく。
一方のゼロスリーの方は、
「はい、大丈夫です。はい、正常です」
ちょっとおしとやかに聞こえる。少なくとも自分から進んで何か、というタイプではなさそうだ。
この性格の違いはそのまま元々の人格の違いでもある。このサブプロセッサーたちには[クスリ]は使用されていない。[調律]はもちろんされているがある程度の自由を与えて生活させてきた孤児院の娘たちだ。
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