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14.どう、順調かな?-きみ、クリスの触感にいたずらしているだろ?-

全43話予定です


曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)

※特に告知していなければ毎日投稿です

 作業が無事に終わり、ゼロゼロはそのまま整備ドックに移動した。


 サブプロセッサーは、本体であるレイドライバーから外されてしまうと、ほんの十分足らずで死んでしまう。なので生命維持装置に接続する必要があるのだ。


 まだ研究が進んでいなかった頃はその大きさはかなりのものであったが、研究が進んだ今、それはかなりコンパクトになったといえる。それが可能になったからこそ戦闘機にも乗せる事が出来るようになったのだから。


 具体的には、サブプロセッサー本体は大体ランドセルくらいの大きさ、生命維持装置はもう一個ランドセルくらいの大きさである。なので、簡単にキャリーに乗せて移動することが出来る。この状態で栄養さえ投与し続ければ少なくともバッテリーが尽きるまでは生命を維持できるのだ。


 逆に言うと、栄養と電力さえ外部から供給し続ければ生き続けることが出来るのである。それがまさにレイドライバーに搭載されている生命維持装置なのだから。


「どう、順調かな?」


 カズは待機状態にある二体のレイドライバーに語り掛ける。


「大分慣れてきたわ。それにこの子との距離感もね」


 トリシャだ。すぐさま、


「ああ、マスター。あーしはこのパイロットなら上手くやれそうだよ」


 ゼロツーが追う。


「クリス、きみはどう?」


「わ、私も操作にはだいぶ慣れてきました。ですが……」


 何か言いにくそうにしている。カズにはその言いにくそうにしている原因に心当たりがあった。


「ゼロスリー。きみ、クリスの触感にいたずらしているだろ?」


「えっ、な、何のことでしょうか?」


 明らかに動揺した声でゼロスリーが答える。


「そうか、してほしいんだね」


 いわゆる[お仕置き]である。すぐさま繋がれたタブレットからサブプロセッサーの感覚器官を呼び出して刺激を与える。


「あぁご主人様……」


 かなりの刺激、それこそ鞭で打たれるくらいの刺激を与えているのにこの反応である。それはひとしきり続いた。そう、皆の目の前で。


「そろそろいいかな。いたずらは禁止だ、いいね」


「……はい、ご主人様」


 ゼロスリーが肩で息をしているような声で答える。


「これで分かったと思うけど、クリスとのマッチングはベストなんだよ。どちらもマゾ……」


「それ以上は言わないでください」


 二人の声がそろう。


 ――おやおや、息ピッタリだね。


「ゼロゼロ、こんな感じなんだけど」


 とカズに紹介されたゼロゼロはキャリーの上に載っていた。


「これは?」


 クリスが質問すると、


「これが正にサブプロセッサーそのものだよ。見るのは初めてかな、そう思って連れてきたんだ。ちなみにこのサブプロセッサーは、軍人ではないので階級はないけど立場はきみたちより上だ。それにまだ研究所の職員でもある。といってもかしこまる事じゃあないし、本人もそれは望んでいない、だよね?」


「こんにちは、ゼロゼロです。みんなのプロフィールは把握してるつもりだけど、一度挨拶がしたくて」


 人工音声であいさつをする。それにつられて、


「私はトリシャ、トリシャ・エカードよ、はじめまして。これからよろしく」


 というトリシャを筆頭に、


「私はゼロスリーです。よろしくお願いします」


 というサブプロセッサーまで順次自己紹介を済ませた。


「これからは作戦上サブプロセッサー同士での通信もあると思う。まぁ、サブプロセッサーが絡んだ通信は専用回線を使用するつもりだけど、くれぐれも混同はしないでね。特にゼロワンは第一世代のままだ。サブプロセッサーは自我がないし、コアユニットが存在している。パイロットであるレイリアには、きみたちの事は明かしていない。なので通信には注意ね」


 カズがそう言ってまとめる。


「ねぇ、カズ?」


 トリシャだ。


「何だい?」


「そのー、帰ったらすぐ実戦配備なのよね? で、近いうちにはここを経つんでしょ? 少し操縦にも慣れておきたいんだけど」


 ――確かにそれは言えるな。


「ゼロゼロ?」


 カズか問いかけると、


「何、カズ君」


 直ぐに返事が返って来る。


「そろそろオレたちのレイドライバーが修理から上がってくるはずなんだけど、模擬戦でもやってみるかい?」


全43話予定です



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