11.カズが向かった先-その話ですね-
全43話予定です
曜日に関係なく毎日1話ずつ18:00にアップ予定です(例外あり)
※特に告知していなければ毎日投稿です
カズが向かった先、それは研究所の主要施設である、研究棟だ。そこにはクリスチャンもいた。
「あぁ、カズ。来ましたね」
そう言って笑顔で出迎えてくれる。
「ご無沙汰してます、帰りました。それで、早速なんですが」
「その話ですね」
その話とは。
今回の戦闘でレイドライバー三体が行動不能になるという状況に陥った。無事だったのはゼロゼロとワンワンのみ、しかもゼロゼロはとっさの判断でサブプロセッサーが避けたから助かったようなものなのである。
敵がすんなりと去ったからよかったものの、もし次に同じ事が起きればどうなるか。それでなくとも現状の戦力は帝国側に分がある。特に最新鋭機と呼ばれる、おそらく生体コンピューターを使用している機体の増産は厄介だ。こちらももちろん対抗するつもりではいるが、そうひょいひょいと出せるものでもない。
敵だってその辺りの事情は了解しているはずだ。修理作業を急ピッチで終わらせたゼロワンをアルカテイル基地に向かわせているが、それでもカズがこっちに来ているので、レイドライバーの数としては実質ゼロワンとワンワンの二体だけである。もっと言えば、ワンワンは常に光学迷彩を使用していた為、向こうからすればせいぜい一体、あっても二体と思われているはずである。
そんな中、次の戦闘が始まればどうなるか。敵だって今回の戦闘で少し場数は踏んだだろうからそんなに簡単に倒させてはくれない。正面から撃ち合えば二体四、こちらが圧倒的に不利である。
その辺りの話をしに来たのだ。
「戦況は伺ってます。大変だったでしょう?」
クリスチャンはいつもカズに対しては笑顔だ。そう言えば、カズに意見する事はあってもカズの意見を否定したり、反対に回るところを見た事がない。
「ええ、あれにはやられました。まさかスナイプで来るとは思ってもみませんでした。そのせいで損害をかなり出してしまいました」
カズは少しうなだれる。それを見たクリスチャンが、
「いえいえ、私は何もカズを責めるつもりはないのです。カズはよくやっていると思います。損害が出たのはパイロットたちが悪い……」
「彼女たちは悪くないですよ、お気遣いありがとうございます」
クリスチャンの言葉をカズが少し声を張って遮る。
「そ、そうですか、分かりました。で、今日の用件と言うのが」
改まったクリスチャンに、
「第二世代の増産と第三世代の話をしに来ました」
そうクリスチャンの方を向いて話す。
「確かに、第二世代はともかくとして、第三世代は確かに急務ではありますが、いかんせんまだ詰めの段階です。それを繰り上げる、と?」
そう疑問を呈するクリスチャンに、
「ええ、敵もおそらくではありますが次世代機の開発はしているでしょう。共和国についてはまだ実用段階には至っていないという話を聞きますが、それもいつまでか」
とまで言ってから、
「政府からは第二世代をベースにした[無人機]を作るよう打診があったとか。まぁ、ゼロゼロの戦績を見れば誰だってそう考えるのは仕方のない事なんですが。こちらとしてはあらゆる可能性を模索したい。という訳で、研究の加速を指示しに来ました。それと」
「ワンツーですね」
ワンツー、それはワンワンの同型機として開発が進んでいる機体だ。ワンワンのサブプロセッサーには実の母親、つまり近親者を使用しているがワンツーは違う。パイロットとサブプロセッサーは赤の他人である。その他人同士の[子供]を使って同調を取っているのである。それ故実戦投入をまだ控えていたのだ。
「ちなみにワンツーはどれくらいで出せそうですか?」
とのカズの質問に、
「ワンツーは基礎、応用段階共にクリアしています。各種の耐久試験もよい成績を出しています。実戦に即投入しても構いません」
クリスチャンはそう答える。
「第三世代はどうなっていますか?」
第三世代、それはパイロットの脳に生体コンピューターを埋め込み、サブプロセッサーなしの、単独運用が出来る機体である。これにも被検体があてがわれているが、
「あれはまだ実用段階ではありませんよ。それより、カズ」
とクリスチャンが、
「第二世代型を量産してみては? ちょうど改修キットが一つ余っていますが」
と言うと、カズは、
「ゼロワンには改修は施さない事とします。ですがその代わり」
そう言うとそこにいた人間を見渡し、
「もう一体改修キットを使用して第二世代型を作りましょう。今は数が欲しい」
そう告げたのだ。
全43話予定です




