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冬休み突入

 文化祭が終わってからは、あっという間に肌がヒリヒリと痛むような寒さの季節がやってきた。風邪引いたりもしたなあ……。


 終業式が終わって、講堂から帰りながら陽翔と話す。


 「この冬休み、なにか予定あるのか?」

 「いや、特には」


 俺はちょっと考えて、いまのとこは何も予定はないなと思いつつ返す。


 「花野井さん誘わなくていいのかー? クリスマスとか、お正月とか色々あるじゃん」

 「……まだ決めてない」


 ニヤニヤして聞いてくる陽翔に、俺はそう返す。


 クリスマスか……なにすればいいか分からないな。


 「……すまん。付き合ってはないんだったな」


 考え事をしていながら歩いていると、陽翔からするといきなり俺が黙ったので気まずさを若干感じたみたいだ。


 「うん。だから……クリスマスプレゼントとか、難しいなって」

 「普通に、友達にあげる感じでいいんじゃないか? その流れで俺にもゲームソフトとか」

 「バイトしてるんだから自分で買ってくれ」


 どさくさに紛れてお願いしてくる陽翔の言葉を遮って言う。

 たぶん気まずさとか感じてないな、まあそっちの方がいいんだけど。


 ……真面目に考えよう。



 「だいぶ冷えますね」

 「カイロ余ってるから、いいよ」


 暖房の効いた校舎を出て、寒そうに両手にふーふーと息を吹きかけていた花野井さんに、俺は1時間前ぐらいに開けておいたカイロを手渡す。


 「ありがとうございます。猫村くんは、ほんとに優しいですね」


 花野井さんは、俺を見上げて微笑む。

 最近は、一緒に帰るのも日常茶飯事になってきた。……と言っても、ドキドキする気持ちは常にあるんだけど。


 家に帰り着いて、そういや通知来てたな……と思いながらスマホを見る。


 『今年のお正月は帰れそうだから、お土産楽しみにしてて〜』


 今は香港で仕事をしているらしい両親から、メッセージが送られてきた。

 高層ビル群を背景にしてふたりで撮った写真も添えられていた。たしか、海外出張は俺が高校卒業するぐらいまでは続くらしい。

 

 『楽しみに待っとく。両手いっぱいに持ってきてもらってもいいよ?』


 海外を満喫してるようだし、俺にもちょっと分けて?

 家にいる間はずっと猫と戯れて、まったり休んでてもらっていいから。楽しんでそうだけど、疲れは当然のようにあるだろう。

 そうだ、こたつを出しておこう。冬の猫はこたつで丸くなるものである、by猫村蒼大。

 

 こたつを出すと、ブラックホールに吸い寄せられたかのように俺ときなこはそこから抜けられなくなった。


 『雪、降ってきましたね』


 そう花野井さんから送られてきて、俺はカーテンを開ける。うっすらと庭には積もり始めていた。


 なんと返そうか迷っていると、落ちてくる牡丹雪に窓越しに手を伸ばそうとするクロの動画が送られてきた。可愛い。


 『猫村くんのお家の庭で、クロときなこちゃんと一緒に雪眺めたいです』

 『いいね。そうと決まればすぐにでも来てもらっていいよ』


 俺がそう返した30秒後ぐらいには、ブラウンのコートを羽織った花野井さんがインターホンを押していた。

 準備はやっ!? ……普段から掃除してて良かった。物を散らかしているとさらに荒らすきなこに、今は感謝するべきだな。


 「ふふっ、帽子みたいですね」


 クロは、俺の庭に降り立つと、雪の上をはしゃぎ回って頭の上に大量の雪を載せてきた。毛が黒いので、より雪の白色が際立っている。


 「……可愛いな」


 俺はクロの顎を撫でてゴロゴロ音を堪能する。きなこも、体中に雪をくっつけてこちらに寄ってきた。


 もう少し2匹と雪を楽しんでいたかったけれど、足が冷えてきそうな気がして、2匹は先に部屋に戻っててもらうことにした。


 俺と花野井さんは、庭先のベンチに座って、すっかり銀世界となった周りを眺める。

 

 花野井さんはいきなり立ち上がると、雪をかき集めて雪玉を作り始めた。


 「雪合戦、しませんか?」

 「おー! 楽しそう」


 立ち上がると、いきなり花野井さんは俺に雪玉を命中させてくる。奇襲反対。


 「やったなー?」

 「……まだまだ行きますよ?」


 花野井さんは、クロやきなこを上回るほどに雪の世界を楽しんでいる。

 俺たちは、着ている服が真っ白になるまで雪合戦を続けた。


 「少し冷えてきましたね」

 「そろそろ戻る?」

 「そうですね……」


 ほんとはまだもう少し居たいのに、という思いが表情から読み取れる。


 「これで暖かくなるはず」


 俺は、上に羽織っていたジャンパーを花野井さんにそっとかける。下に何枚か重ね着しているから、1枚なくなるぐらいどうってことない。


 「……暖かいです」


 俺のジャンパーを羽織ると想像通りぶかぶかで、10センチ以上は袖の部分が余っている。

 その袖を、頬まで持ってきて暖まろうとしているのを見ると、俺の心も暖まった。


 

 


 


 


 

  

 

 


 


 

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