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第4回なろうラジオ大賞投稿作品

赤いランドセル

作者: 衣谷強
掲載日:2022/12/05

『第4回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』参加作品です。


キーワードは『ランドセル』。


単品でも楽しんでもらえると思いますが、拙作のアフターストーリーにもなっています。

気付いていただけたら嬉しいです。

「……えっと、確かこのあたりに……。あ、あったあった」


 俺は押入れの奥から目的のものを取り出した。

 六年間使った赤いランドセル。

 去年までの俺の相棒。


「わ、一年経ってないのに、結構な埃だな……」


 鼻に入る埃の匂いに顔をしかめながら、用意しておいた固く絞った布で拭いていく。

 小学校に上がる前、このランドセルが大っ嫌いだった。

 近所のお姉さんのお下がりというのも気に入らなかったけど、何よりこの色だ。

 赤は女の子用で可愛い色。

 そう思っていたから。


『は? なにいってるんだよ。あかってかっこいいだろ? レスキューファイターのリーダーのレッドファイアーだってあかじゃん!』

『……あ! そっか! そうだよな!』


 幼馴染のあの一言がなかったら、俺はずっとこのランドセルの事を嫌いだったかもしれない。

 当時大好きだったヒーローの色だと思ったら、途端に格好良く見えた。

 我ながら単純だよな。

 それからはこのランドセルは俺の相棒になった。


「よしっ、と」


 拭き終わると、ランドセルはつやつやと輝いていた。

 大事に使っていた甲斐もあってか、目立つ傷もない。

 うん、これなら来年の四月から小学校に上がる従姉妹のサチコちゃんも、ちゃんと使えるだろう。

 ……何か、ちょっと寂しいな。

 六年間ずっと一緒だったんだもんな。

 お姉さんもこんな気持ちだったのかな。

 サチコちゃんも、六年経ったらこんな気持ちになるのかな。


「ふぅ……」


 これが大人になるって事なのかもしれない。

 胸の奥がきゅうっとなるけど、何だか嫌な気持ちじゃない。

 俺はお母さんから渡された綺麗な袋にランドセルを入れて、リボンをかけた。




「あ、叔父さん! 叔母さん! 久しぶり! サチコちゃん、こんにちは! 大きくなったね!」


 お正月にやってきた叔父さん一家を、俺は笑顔で出迎えた。


「これ、ランドセル! お古で悪いけど使ってくれたら嬉しい!」


 受け取ったサチコちゃんが包みを開く。

 わ、すごい声。

 早速背負ってみんなに見せて回ってる。

 きっと大切にしてくれるだろう。

 あ、叔母さんが俺の制服を褒めてくれた!


「あ、ありがとう。去年のお正月はまだ届いてなくて見せられなかったから。えへへ、どう? だいぶ似合うようになったでしょ?」


 赤いランドセルと同じように、幼馴染の言葉で嫌いじゃなくなったセーラー服。

 サチコちゃんが、中学生になったらそれも欲しいと叫ぶ。


「これは駄目、かな」


 可愛いと言ってくれたタケルの顔を思い出し、俺はぺろっと舌を出したのだった。

読了ありがとうございます。


はい、主人公は女の子でした。

男勝りで、女の子らしくするのが嫌だった俺っ子です。

声を当ててもらったら仕込みが丸わかりな気がしてなりませんが、細けぇ事は良いんだよ!という事にします。


ちなみに拙作『親友だった幼馴染が親友ではなくなった春の日の話(https://ncode.syosetu.com/n9583hn/)』の後日談でもあります。

よろしければそちらも是非。


次回は『量子力学』で書く予定です。

よろしくお願いいたします。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ヤ・ラ・レ・タ! まさか俺っ子だとは思いませんでした。 セーラー服の俺っ子、可愛い♩
[良い点] なるほど……俺っ娘だったのですね。私的には僕っ娘の方がしっくりきました(笑) [一言] 読ませて頂き有難うございました。
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