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96.会話 あらすじの話

本日もこんばんは。

みなさんはどの部分を見て読もうと思っていただけたのでしょうか。タイトル、あらすじ、偶然、などなど。「あらすじを見て」という方、すみません。少なすぎました。というわけで「あらすじの話」です。


(追記)あらすじを変更して以前より長くなっていますが、このSSを消すのもアレなので残しておきます。変更後のあらすじを読んでから96話を読む方は、昔はそうだったのかぁと思いながらお読みください。

「私たちの物語のあらすじって『魔王っぽい勇者と、勇者っぽい魔王がのんびりと旅をするお話』じゃないですか。あまりに短くて情報量が少なすぎません?」

「それ以上に語ることがないんですよ。一文で事足りますし」

「『世界のために魔王を倒す使命を果たすため、勇者は魔王と仲良くなったフリをして暗殺の機会を探りながら旅をするお話』とか」

「それも一文ですけどね。あと、間違ってはいないような気がして悲しいです。あ、『フリのつもりがいつしかほんとうに仲良くなっていく友情物語』に変更で」

「『ほんとうの友情に気が付いたふたり。しかし、それぞれの役割を果たすため、勇者と魔王は剣をとるのだった……』ですか?」

「却下。絶対却下です。そんなあらすじはぼくの魔王ぱぅわぁーで消し去ります」

「仕方ないですね。『人間と魔族が仲良くなるために尽力する勇者のほのぼのハートフルストーリー』はどうですか」

「欠片も合っていませんけど? どうですかってなんですか。間違った情報であらすじを語ってはいけませんよ」

「癒しを求める人間が釣れるかと思いまして」

「ぼくたちの日常も癒しです。そのままでいいんですよ。ありのままで」

「それはさすがに、公然わいせつにもほどがあるかと」

「言葉の綾というものをご存知ですか? ぼく、言葉の綾って言うの何回目ですか?」

「『登場人物はほぼふたりしか出てこない、くだらない会話をしているだけの物語』とかどうでしょう。ちゃんとくだらないですよって伝えないといけませんからね」

「ぼくは好きですよ? 勇者さんとのお話するの」

「どうせならありがたーいお話でもしたらどうです。身になる、役に立つ、角が立つ」

「角は立っちゃだめですよ。ひたすらライフハックを垂れ流す物語、読みたいですか?」

「ライフハックって聞いてもすぐ忘れるので、私たちの物語と大差ありません。戦ったら私たちがぎり負けるくらいの関係性です」

「負けるんですね」

「『何度聞いても覚えられないライフハックのような物語』です」

「むしろちょっと気になるかもしれません」

「覚えてもなんの役にも立たないので、やっぱりライフハックに負けますね」

「そもそも張り合うのがおかしいんですよ。ライフハックにはライフハックの良さがあり、ぼくたちの物語にはぼくたちなりの良さがあるんですから」

「お腹すきましたね」

「聞いてます? ちょっといいこと言ったつもりだったんですけど」

「あらすじなんて食べられないのでどうでもいいんですよ」

「勇者さんから始めたのに……。相変わらずぐだぐだした会話ですねぇ」

「私の字の勉強と称して他人の物語を音読したらいいんじゃないですかね」

「その行動にぴったりの言葉がありますよ。盗用っていうんですけどね」

「著作権が切れたやつ」

「いやぁ……。ルールは守らないと」

「魔王のくせにルールとか。たまにはルール破ってくださいよ。あらすじに『ルールも破れない弱小魔王のギャップ萌え暴露物語』って書きますよ」

「とても勇者の言葉とは思えませんね。構いませんよ。その一文でもぼくのかわいさが伺えますから。えへん!」

「『見た目だけ美少女の中身やばい系魔王の目も当てられない物語』」

「中身やばい系ってなんですか? かわいすぎてやばいってことですか?」

「その発言がもうやばい」

「え~。では、ぼくがお手本を見せて差し上げましょう。『不老不死の魔王と死にたがり勇者の三六五日』とかどうですか?」

「三六五日経ったら死んでいいんですか?」

「表現というものは必ずしも直接的な意味だけではないんですよ」

「あらすじっていうより題名みたいですね。題名の話は今度するので、もっとあらすじらしいあらすじを教えてください」

「あらすじらしいあらすじってなんでしょうか。ぼくは頭がおかしくなりそうです」

「魔王さんが発狂したら世界が滅びそうなのでやめていただいて」

「せっかくなら、心に残るあらすじがいいですよねぇ」

「『世界が滅びるまでの一年間、自身の役割を放棄した宿敵同士がのんびりと旅をする物語。出会う人々、魔族、その存在と一時の時間を共有し、ふたりは世界の最果てへと歩き続ける。いつか訪れるその時も、ふたりは何気ない会話をしながら……』」

「新しい物語でも始めるんですか? 誰の話しています? ぼくたち?」

「ノスタルジックな物語には一定の需要があるんですよ」

「今から路線を変えるのは厳しいですよ」

「表現には無限の可能性がありますからね。『魔王っぽい勇者と、勇者っぽい魔王がのんびりと旅をするお話』も表現によってノスタルジックに変えてみせましょう」

「がんばってください」

「『殺し合う運命を定められた勇者と魔王。ふたりは己の役割を頭の片隅に置きながら、のんびりまったり旅をする。誰の記憶にも残らないようなふたりの歩みは、いつかその声が途切れる時まで止まることはない』」

「おお……。旅のわくわくを感じつつ、どこか切なさも思わせるあらすじですね。いいんじゃないですか? すごいですよ、勇者さん!」

「結局、最初のやつが簡単でわかりやすいですね。一行目に戻る、と」

お読みいただきありがとうございました。

9割しゃべっているだけなのであらすじに書くことがないのです。


勇者「もっと奥深い壮大な物語を思わせるあらすじにしましょうよ」

魔王「これまでの旅を振り返ってから言ってください」

勇者「なにか問題が?」

魔王「問題しかありませんよ」

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