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87.会話 敬語の話

本日もこんばんは。

敬語がゲシュタルト崩壊しました。

「勇者さんは、どうして敬語で話すんですか? あ、今さらっていうツッコミはなしで」

「別に構いませんけど、それを言ったらブーメランですよ。魔王さんも敬語ですし」

「ぼくはすべての存在に敬意を払っての結果です。あと、これもひとつのギャップ萌えかと」

「そうですね。すべての存在を蹂躙し蹴落とすはずの魔王が敬語で接してきたら、絶対に裏があると思いますからね」

「魔王ってこわいイメージだったけど、丁寧で礼儀正しいひとなんだ……。というギャップですよう。ぼくに裏表はありません」

「両方ないのはまずいのでは」

「ぼくのことより、勇者さんのことですよ。最初に出会った時から敬語でしたよね」

「物心ついた時からこの話し方ですよ。雇い主が『敬語を使え』と言ってうるさかったので、その影響でしょうか」

「ぼくにはタメ口でいいですよ。よりお友達っぽくなりますし」

「めんどくさいので結構です」

「却下がはやい」

「まあ、出てくるキャラがほぼふたりなのに、両方とも敬語だとたまにどっちが喋っているのかわからなくなりますよね。魔王さんが変えてください」

「わがままをおっしゃいますねぇ。いいじゃないですか、これで」

「お友達っぽさは薄いですよ」

「大事なのは中身ですからね」

「臓物?」

「目に見えないやつです。態度とか関係性とかそういう」

「臓物も大事ですよ。不健康だと様々なものに影響が出ますから」

「いや、そうですけど。……あの、ぼくのお腹を見てどうしました? ハッ、まさか太った――」

「魔王さんの中身が気になりまして」

「物理的な?」

「まさか。態度とか関係性とかそういうのですよ」

「めちゃくちゃお腹を見ていますけど。自然な動作で背中の剣に手を伸ばすのやめてもらっていいですか。こわいですよ」

「ちょっとだけ、ね?」

「臓物取り出すのにちょっともなにもないですよ。勇者さんって恐ろしいことを敬語で言うせいでこわさが倍増するんですよう」

「イヤなら私の声帯ぶっ壊せばいいじゃないですか」

「そしたら勇者さんのお声が聴けなくなるじゃないですか。やだぁ!」

「わがままですねぇ。うるせえですよ」

「敬語なのにお口が悪い。ですます調にしたら何言ってもいいと思ってません?」

「よくわかりましたね。思ってます」

「敬語とは、相手を敬う言葉ですよ。敬語で相手を侮蔑したり侮辱したりしたら意味がありません」

「発言の内容の悪さが敬語によって緩和される効果を狙っています」

「確信犯ですか」

「そのようです。ですが、それを言うなら魔王さんもそうでしょう。ギャップ萌えを狙って敬語を使っているなら、明確な目的を持った戦犯ですよ」

「ぼくのはかわいい理由ですよ。あざといと言ってくださっても構いません」

「結構です」

「構ってくださいよう。つれないですねぇ」

「魔王さんはいつから敬語なんですか? 一人称みたいに気分ごとに変えていたとか」

「んー? いえ、口調は変わっていませんね。ぼくも気がついたら敬語でした。おそろいですねっ」

「タメ口にしようかな」

「すぐそういうこと言う。まあ、ぼくたちも時折砕けた話し方をしますし、無理に口調を変える必要はありませんよ」

「敬語で話す私たちって、傍から見たらどう思われるんでしょうね」

「どう、とは」

「他人行儀っぽく見えるのかなと。いるじゃないですか、仲が良さそうに見えて実はそうじゃない関係の人たちって」

「その言い方ですと、ぼくと勇者さんは仲が良いということになりますけど、だいじょうぶですか?」

「あ、間違えた間違えました。そういう意味じゃなくて、単純な興味とか第三者視点が欲しいとかで変な目的はなく――って、なにニヤニヤしてんですかぶん殴りますよ」

「いえいえ~。仲が良さそうに見えて実はそうでもない人たちは、繕わない分、意外と本音で語り合える唯一の存在であるかもしれませんよ?」

「本気で殺し合える?」

「耳、だいじょうぶですか?」

「たしかに唯一の存在ですね。うれしくないですが」

「他人がどう思おうが関係ありません。ぼくたちのことはぼくたちがわかっていればいいのです」

「魔王さんが敬語で良さげなこと言うと、本気で魔王っぽくないですね」

「聖女か勇者に転職しましょうか。……無理ですけど」

お読みいただきありがとうございました。

おふたりが敬語キャラなのは、敬語でくだらない話をしているとおもしろいと思ったからです。他にもいろいろ理由はあります。


勇者「魔王さん、死にやがれください」

魔王「もはや敬語じゃないですよ。何語ですか?勇者語ですか?」

勇者「やかましいですね」

魔王「純粋な暴言」

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