84.会話 年齢の話
本日もこんばんは。
見た目と年齢がそぐわないキャラが好きです。年齢という概念がないキャラも好きです。
今日はおふたりの年齢を暴露したかった話です(ネタバレ)。
「魔王さんって結局何歳なんですか。ロリババアにカッコ書きで記入してやろうと思うんですが」
「年齢ですか。一万年はゆうに超していると思いますが、詳しくはぼくもわからないんですよ。気にしたこともなかったので。あと、ロリババアって言うのやめてください」
「まあ、無限の時を生きる魔王さんにとって何歳かどうかなんて、どうでもいい話でしょうね。ですが、その見た目で『魔王(とんでもない数字)』とテロップが出ることがおもしろいんです」
「おもしろさを求めているのですか」
「鼻で笑うような」
「ぼくは求めてないタイプの笑い……。そういう勇者さんはおいくつなんですか?」
「さあ。どうでもよすぎて考えたことありません」
「ご自分のことなのに……。見た目的にはだいたい十六~十八くらいでしょうか?」
「じゃあ、それで」
「いや、候補が三つあるんですけど。どれですか?」
「十六~十八歳です」
「一括りにするようなものではない。ぼくが言えた話じゃないですが、人間にとって一年はとても大きな意味があるそうじゃないですか。想定範囲が三年は広すぎるかと」
「百年ぐーたら焚き火しているだけの魔王さんに言われたくないです」
「で、ですから、ぼくが言えた話じゃないと断りを入れたでしょう。同年代の人間と比べると、少々身体が小さい気がするので十六歳にも見える。一方で、達観した雰囲気と冷静な様子は大人びていて十八歳にも見える……。ううむ」
「わりと本気でかなり意外と実は結構どうでもいいです」
「あ、頭が混乱する言い方しないでください。少なくとも、十代であることは確かです」
「ほんとうに?」
「え、ほんとうにって、え? どういう意味ですか」
「どうして確信しているのか気になりまして。こういう見た目の年増がいたって不思議ではないでしょう」
「年増て。ええと、確信というか、なんというか……」
「ご都合の魔王ぱぅわぁーとか言いませんよね」
「言いませんよう。ただぼくは……。そうだったらいいなぁと……」
「願望かい」
「十代と二十代では表現しがたい差があるんですよ。華のティーンと言うでしょう」
「なんで魔王さんがそれにこだわるんですか。関係ないでしょう。魔王さんのティーンとか一体何年前の話――」
「ぼくはどうでもいいんですよ。わかりますか、勇者さん。人間の短い人生の中で、自己が形成される十代の役割はとても重大。残る記憶は非常に膨大。あわよくばそこに入れてほしいぼくを認めてくれるきみは寛大」
「ラップか。あと、認めてない。つまり、魔王さんは色濃く刻まれるだろう十代のうちから私の記憶に居座ろうとしているわけですね」
「ぼくのことをいっぱい考えてほしいです」
「考えていますよ。どうやって殺そうかとか」
「物騒。けれど、それもひとつのかかわり方ですね」
「ポジティブですね。感心しますが、見習いたくはないです」
「辛辣ぅ。勇者さんは出会った時から変わりませんね。ですが、着実に年月を重ねていますよ。同じ日に留まることはありませんから」
「毎日毎日くだらない話をして隣にいるのに、殺せる気配がまったくないのも問題です」
「がんばってください!」
「うわ、腹立つ」
「純粋に応援しているのですが」
「それが余計に腹立つんですよ。ナチュラル煽り性能高いですね。殺していいですか?」
「できるならどうぞと言いたいですが、無理でしょう?」
「うわ、腹立つ。腹立つなこの魔王」
「純粋な疑問ですよう」
「それが煽ってるって言ってんですよ。その無垢な目ん玉えぐり出してやりましょうか」
「物騒ですね。いやです」
「一万年以上生きていれば老眼にもなりましょう。一度取り出して義眼でも付けたらいいですよ。協力してあげます」
「少なくとも勇者さんのお顔はばっちり見えていますよ。今日もかわいいですね!」
「死に散らかしてください」
「言葉おかしいですよ」
「ティーンの力、見せてやります。くらえロリババア」
「言葉の暴力を感じる。ぼくだって見た目的にはティーンですよ」
「人は中身が重要なんですよ」
「ぼくの中身は年老いていると言いたいんですか」
「そうですよ。気づいていないんですか?」
「こ、心はいつだって若いままです」
「ほう。では、ひとつ問題を出します。その答えによっては今後ロリババアと言わない約束をしてもいいですよ。いきます。服をかける吊り下げ型の道具の名前は?」
「衣紋掛け!」
「アウト」
お読みいただきありがとうございました。
少なくとも勇者さんは16~18であることは確かです。一体何歳なのかは230話でわかりますよ。
勇者「ベストは?」
魔王「チョッキ!」
勇者「カップル」
魔王「アベック!」
勇者「冗談は?」
魔王「よしこちゃん!」
勇者「ふざけるのも大概にしてください」
魔王「許してちょんまげ……」




