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729.会話 雪うさぎの話

本日もこんばんは。

みなさま、メリークリスマス。当作品からはSSのプレゼントでございます。

あたたかい場所でお読みくださいね。

「魔王さんはいい子ですか?」

「不思議な質問ですね。ぼくは魔王なので、どちらかと言えば悪い子かと」

「でも、たまにはプレゼントもほしいですよね」

「たまと言わず、いつもほしいですよ。きみからの贈り物なら!」

「え、やかましいです」

「マジトーン」

「今日は雪が降っていますね」

「え? そうですね。冬ですし、しかも今日はクリスマ――って、聞いてますか?」

「魔王さんは魔王なので、どれくらい積もっているか確認する義務があります」

「聞いたことない義務ですが、いいですよ。寒いので、窓から見てきますね」

「…………」

「おや、これは……。勇者さん、勇者さん、見てください!」

「なんですか?」

「雪うさぎですよ! 雪で作ったうさぎさんが窓の外に並んでいます」

「そうですか」

「冷静ですね。うさぎ好きのきみなら、真っ先に飛びつきそうですのに」

「かわいいですか?」

「そりゃもう、とっても。真っ白で、ふわふわで、赤い目は木の実でしょうか?」

「うれしいですか?」

「うれしいです! 今日もいい日になりました」

「今日も?」

「ぼくにとって、勇者さんがいる毎日はいい日ですから」

「そうですか」

「返答が端的ですね。勇者さんも一緒に見ましょうよ」

「私はいいです。それは魔王さんのものですから」

「どういうことですか?」

「どこかの誰かが、魔王なのにあまり悪くない魔王さんにプレゼントしたのです」

「ぼくへの贈り物ってことですか?」

「そうみたいですね」

「一体誰なのでしょう?」

「誰なんでしょうね」

「……ふふっ。勇者さん、身体は冷えていませんか? あたたかいココアをいれますよ」

「いただきます」

「窓の外で寄り添っているのを見ると、この雪が止まないでほしいと思えてきますね」

「寒いのは嫌です」

「ぼくもです。なので、ぼくたちは暖かい部屋で寄り添いましょうね」

「別に寄り添わなくていいですけど」

「そう言わずに」

「ココアを飲んであったかくなりました」

「ハッ! ぼくとしたことが、先にハグをするべきでした。くっ……、一生の不覚です」

「ずいぶん小さな不覚ですね」

「勇者さんの指先をしっかり温めようと思ったら、つい先にココアが出てしまって」

「……なんのことやら」

「ほら、女性は冷え性が多いといいますし」

「そうなんですね」

「そうらしいですよ」

「魔王さんも冷え性ですか?」

「えっ、勇者さんが熱いハグをしてくれるって?」

「言ってない言ってない」

「ぎゅーっと抱きしめて離さないでほしいですが、今日はもうじゅうぶんです」

「珍しいですね」

「ぼくは今、とってもあたたかいのです」

「暖房のついた部屋で、こたつに入りながらココアを飲んでいますもんね」

「それだけではありませんよ。視線の先に二匹の雪うさぎがいるからです」

「雪でできているんですよ。冷たいじゃないですか」

「どこかの誰かさんの、ぼくへの贈り物だからあたたかいのです」

「そういうものですか」

「そういうものです」

「太陽の光が当たれば、簡単に解けてしまうプレゼントでも?」

「うれしいです。とてもとても、うれしいですよ」

「そうですか。よかったですね」

「はい。ですから、どこかの誰かに感謝を伝えたいのですが、どこにいるかわからないので、代わりに勇者さんに言ってもよろしいですか?」

「仕方ないですね。いいですよ」

「ありがとうございます、勇者さん」

「どういたしまして、魔王さん」

お読みいただきありがとうございました。

一体どこの誰なのでしょうね。


魔王「雪うさぎを保存する魔法は氷魔法……? それとも……」

勇者「魔王さんはそういう魔法も使えるのですか」

魔王「使えません! ぼく魔王なのに! わあん!」

勇者「なんだかなぁ」

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