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726.会話 イルミネーションの話

本日もこんばんは。

一般のご家庭のベランダから光るサンタさんの飾りがぶら下がっているのを見ると、今年も冬が来たなと思います。天目もあれ欲しいです。

「きらきらすればいいってもんじゃないと思います」

「よくわからない悪態ですね、勇者さん」

「カラス避けでここまでしなくても」

「避けられているのは勇者さんの方かと」

「電源ボタンはどこかな。あ、これでしょうか。えいっ」

「それはぼくのアホ毛ですね」

「暗くなりませんよ。壊れているんじゃないですか」

「ぼくの悪口ではないですよね?」

「やだなぁ、魔王さんが壊れているのはいつものことですよ」

「それもそうでした。失礼ですね」

「魔王さんのことはどうでもいいとして、ここに来た目的はなんですか?」

「勇者さんとイルミネーションを見ながらロマンチックなあれそれをですね」

「ロマンチック? ははあ、なるほど。だから見かけるのが人間の番ばかりですね」

「言い方が人外のそれですよ」

「ただ光っている風景を見るだけの何がロマンチックなんですか?」

「暗闇に灯る輝きは、まるで大切な人に対する愛のようだということです」

「え……、何を言っているんだろう」

「光に照らされた勇者さんの儚さと愛らしさは太陽にも負けません」

「はあ、そうですか」

「目を離したら消えてしまいそうな光、それは人間の命のごとく」

「これ、電源に繋げればずっと光っていますよ」

「ああ、胸を締め付ける儚さと未来永劫続く愛が共存するイルミネーション……」

「あ、屋台がありますよ。すみません、焼き鳥ください」

「勇者さんの命、かわいさ、人生、日常も見えない輝きで満たされているのです」

「焼きたて、焼きたて」

「イルミネーションを一緒に見る。それが、どれだけ奇跡なのか……」

「おいしいです。他の屋台も見に行こうっと」

「勇者さん、勇者さん、聞いて。屋台待って。ぼくを置いていかないで!」

「今日もお元気そうですね」

「もっとこう、雰囲気とか、なんかそういう、ないですか?」

「よくわかりませんが、魔王さんの分の焼き鳥もちゃんとありますよ」

「ありがとうございます。ぼくのお財布ですけどね」

「きれいだとは思いますけど、魔物が寄ってこないか心配です」

「イルミネーションを楽しむために、専用の警備団が常駐しているそうですよ」

「そこまでして電飾パラダイスを見たいのですか」

「繰り返しになりますが、イルミネーションはロマンチックと同意義」

「ほんとかなぁ」

「つまり、『イルミネーションきれいだね』、『きみの方がきれいだよ』ができるのです」

「やりたくないですけど……」

「では、僭越ながら、こほん。勇者さん、イルミネーションよりきみの方がき」

「あ、焼きとうもろこしですって。いい匂いがしますねぇ」

「勇者さん、勇者さん、聞いて。ぼくの決め台詞ですから、どうか」

「あ、はい。どうぞ」

「勇者さん、ここにあるどのイルミネーションよりも、きみの方がきれ」

「わっ、あれ、あれなんですか。うさぎ型のイルミネーションですよ、魔王さん!」

「勇者さん、勇者さん、聞いて~……」

「すみません、つい。続きをどうぞ」

「もう遮られる前に言う! 勇者さん、きみの方がきれいです!」

「そりゃまあ、さすがにそうだと思いますよ」

「へっ? 勇者さんに美の意識が? い、いつの間に芽生えたんですか」

「私の美? なんですか、それ」

「それはこちらの台詞と言いますか」

「この勇者像のイルミネーションと比べて言ったんですよね?」

「勇者像? おや、こんなところにひっそりと」

「多少は電飾が付けられていますが、よく見ると錆だらけです」

「あまりお手入れがされていないのでしょうね。悲しいことです」

「パッと見だけきれいでも、その実……なんていくらでもあるでしょう」

「逆に、何かを隠すためにきらきらしていたりして」

「ははあ、なるほど。見られてはいけないものを隠しているんですね?」

「いえ、言ってみただけで、そんなことはないと思いますよ」

「この勇者像なんて特に怪しいですよ。探してみましょう」

「例えばの話なので、何もないと思いますけど」

「ありました」

「あったんですか⁉」

「一日に使うえげつない電気料金代の請求書と、赤字経営の報告書が」

「それは隠さないとまずいですね」

お読みいただきありがとうございました。

イルミネーション施設の電気量どんなもんなんですかね。


勇者「魔物を滅した時のエネルギーを再利用するのはいかがでしょう」

魔王「感情エネルギー的なあれですか?」

勇者「では、その辺の魔物に契約をもちかけてきますね」

魔王「勇者さんが営業担当なんですか」

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