724.会話 パン派ご飯派の話
本日もこんばんは。
みなさまは、朝ごはんは何派ですか?
「世の中には様々な争いが存在します。しかし、蓋を開けてみると、争う必要のないものも多いです。それなのに、人々は争う。まるで、そうなるように設定されているかのように」
「パンとご飯を並べて、何を言っているのですか?」
「魔王さんは言いました。勇者さんは、朝はパン派ですか、ご飯派ですか、と」
「あ、はい、訊きましたね」
「なぜそんなことを訊くのですか?」
「パン派ならパンを用意して、ご飯派ならご飯を用意しようと思ったからです」
「なぜその二択なのですか?」
「大体のひとはパンかご飯だと思ったからです」
「これだから魔王は……」
「呆れられちゃった」
「ラーメンを食べる人はどうなるのですか。うどんは? そばもいるでしょう」
「朝からラーメンは少数派かと思いまして」
「少数派だって存在はしているのです。謝ってください」
「すみませんでした」
「お詫びに、今日の朝食はパンとご飯とラーメンとうどんとそばでお願いします」
「炭水化物の暴力?」
「おいしいんですもの」
「たくさん食べるのはいいですが、バランスよく食べましょうね」
「おいしいものは脂肪と糖でできているって近所の覇王が言っていました」
「近所にいないでほしいのですが」
「近所の将棋王も同じことを言っていました」
「どこに住んでいるのですか」
「他にも、大食い王と大食い女王と大食いお姫様もいました」
「ただのよく食べる家族では?」
「私もいますよ」
「きみはよく食べるだけで、大食いではないでしょう」
「可能ならば、この世のすべてのカイワレ大根を食べ尽くしたいです」
「壮大感が足りないですね」
「アスパラガスにしますか」
「もう少し規模の大きなもので」
「スイカやメロン?」
「もうちょい。あともう一押しです」
「わかりました。大きなカブですね」
「うんとこしょ、どっこいしょ。勇者さんの力では引き抜けません」
「やはり力をつけるためには炭水化物ですよ」
「パンとご飯は別として、ラーメンとうどんとそばは麺類で一括りじゃないですか?」
「違いますよね?」
「そっちは壁ですけど、誰に訊いているんですか」
「全世界のみなさん」
「壁じゃないんですか」
「この壁の向こうや、上や下や右斜め左や一周回って隣にいますよ」
「勇者さんの隣はぼくがいいです」
「ならば、パンもご飯もラーメンもうど……全部言うのめんどくさいです」
「だから麺類でいいじゃないですか」
「ラーメンたちが悲しむかなって」
「だいじょうぶですよ。そんな意味不明な感情は勇者さんしか持ちません。正直、一瞬なにを言っているのかわからなかったほどです。さすがは勇者さんですね」
「それならよかったです。失礼な気配がしましたけど、よかったです」
「何を食べても構いませんから、お好きなものを言ってくださいな」
「そう言われると迷いますね。なんでもが一番困るんですよ」
「作る側の台詞ですよ、それ」
「いっそのこと、一つに決めてくれれば簡単なのですが」
「選択の自由も不自由になるというのですか」
「考えるのがめんどうで」
「栄養が足りていないのでは? ほら、朝ごはんがまだですから」
「困りました。何を食べるか決まらないので、朝ごはんが食べられません」
「なんでもいいなら、おにぎりでも結びますよ」
「おにぎり……ですか」
「サンドイッチもいいですね」
「サンドイッチ……ですか」
「さあ、どちらがよろしいですか」
「どっちもおいしそうで困りましたが、決めました」
「勇者さんの選択はいかに」
「シフォンケーキがいいです」
「確かに糖ですけども」
お読みいただきありがとうございました。
食べたいものを食べるのが一番。たぶん。
勇者「朝からケーキを食べてはいけないという決まりはありません」
魔王「そうですけど、身体に悪いような気がして」
勇者「ヤブさんも『自分の食べたいものが一番健康にいい』と言っていました」
魔王「捏造しないでください」




