723.会話 心臓の音の話
本日もこんばんは。
ロマンチックっぽいサブタイですが、全然そんなことはないです。
「勇者さんに関する音の中で激推しランキング上位の心臓の音についてなのですが」
「なんですかそのランキング」
「あまりに好きすぎて、この間、ついに七十二時間耐久を作ったのです」
「ルマンもびっくり」
「イヤホンで聴いていたのですが、最後まで聴けたことがありません」
「でしょうね、としか」
「聴き始めてすぐに眠ってしまうのです」
「そういうこともありますね」
「開始三秒で」
「早すぎでは?」
「安心してしまうのですよ。勇者さんの心臓は今日も元気だなって」
「録音した音を聴いて元気だと思われても」
「ですので、ふと心配になり、本物の音を聴きに部屋に侵入してしまうのです」
「なるほど。だから今日も布団の中に潜り込んで……ってやめんかい」
「聴かせてください、きみの音を」
「キャッチコピーみたいな言い方しないでください」
「ああ~、勇者さんの音~」
「気味の悪い言い方やめろ」
「ASMRとして販売しませんか?」
「誰が買うんですか」
「そりゃあ、全人類。全世界。全宇宙。全ぼくが買うのです」
「全ぼくとは」
「なんかもう、ぼくのすべての、あれやそれやとか、えいえいやって」
「急に語彙力消えているじゃないですか」
「勇者さんの心臓の音を聴いたことで、あらゆる不安が溶かされたのです」
「不安がなくなると語彙力もなくなるんですか?」
「そうです」
「たぶん、考えて喋ってはいないんでしょうね」
「口だけ勝手に動いている気分です」
「すごいですよ。本当に口の部分だけ作画されています」
「他のところは使い回しです」
「低コスト作品ですもんね」
「勇者さんの生き方といえるでしょう」
「心臓を動かすのもめんどうで、つい止めてしまうのです」
「省エネなんですねぇ。止めるな?」
「作画班もめんどくさいということで、私の心臓は動きがありません」
「仕事してください」
「警部補、勇者の心臓に動きはありません。いつでも突入できます」
「勇者さんを確保しろってことですか」
「冷暖房設備で三食アンドおやつ付き、羽毛布団と低反発枕の牢屋に入れてください」
「要求の多いマル秘ですね」
「動画配信サブスクも片っ端から登録しておいてください」
「住む気ですか」
「焚き火の音や波の音を流してくれると、昼寝しやすいです」
「あ、ぼくの牢屋には勇者さんの心臓の音をお願いします」
「看守もびっくりでしょうね」
「刑期が終わったら、ハートビート音楽祭でも開催しませんか?」
「これまでの経験をもってしても、理解ができない提案が飛び出してきた」
「勇者さんの心臓の音で世界を救うのです」
「説明されてもまだ理解できない」
「讃美歌みたいな感じですよ」
「ですよ、と言われましても」
「ぼくは気づいたんです。勇者の心臓の音には、魔を浄化する力があるのだと」
「魔王がすやすや寝ている時点でないと思います」
「世界に広めることで、平和をもたらしちゃうわけですね」
「機械を使ったとしても、聞こえるのはせいぜい私の周囲くらいじゃないですか」
「ですから、勇者さん、世界になってください」
「疲れているなら寝た方がいいですよ」
「世界中に響く心音により、魔は生まれる前に浄化されるのです」
「根底から覆していくスタイルですか」
「勇者さんの愛で世界を包み込んでくださいね。そして、ぼくも」
「最後の余計だな」
「びっぐな勇者さんに、びっぐならぶを叫びますよ」
「熱が出ている時に見る夢みたいな会話ですね」
「ぼくは元気ですよ?」
「自分が狂っていることに自分では気づけないってほんとなんですね」
お読みいただきありがとうございました。
話の内容がずっと意味不明。
魔王「勇者さんの心臓が大好きで」
勇者「誤解を招きそうな言い方ですね」
魔王「失礼しました。勇者さんの心の臓が大好きで」
勇者「一緒です」




