721.会話 フグの話
本日もこんばんは。
フグといえば、そう、あの、なんか、あれの、それ、えっと、はい。
「勇者さんがブランケットに包まってまるまるとしている!」
「こんにちは、フグ勇者です」
「また深く考えずにしゃべっているような感じですね」
「破裂するとテトトロドロキシンが飛び出します」
「言えていませんよ」
「テトドロキシンが」
「惜しい」
「テトドロドキシン」
「離れました」
「テトロ、ド、トキシンが」
「区切らずどうぞ」
「テトドドロトドロキ……ええい、フグ毒が飛び出すんです」
「どうしても言えないんですね」
「相性が悪いようです」
「毒と勇者さんは相性がいいイメージなのですけど」
「悲しいのでフグを踊り食いします」
「テロドトキシンで死んじゃいますよ」
「魔王さんも言えていないじゃないですか」
「というより、何が正しいのかわからなくなってきました」
「テロテロドキシンですよ」
「それが違うことだけはわかります」
「強力な毒で有名なテロドロトキシンを持つフグですが」
「耳がおかしくなりそうです」
「見た目だけならかわいらしいですよね」
「毒を持っているとは思えない姿です」
「テトトトロドキシンには特効薬がないそうですね」
「こわいですねぇ」
「取り扱うのにも免許が必要だとか」
「それだけ危険性が高いのでしょう」
「ということで、本日はテロロドトキシンをご用意」
「しちゃったんですか⁉」
「できませんでした。無念です」
「よかったです。万が一があっては困りますから」
「魔王さんの飲み物に混ぜようと思ったのですが」
「間違っても自分の方に入れないでくださいね」
「約束はできかねます」
「できかねないでください。だめです。アウトです。没収です」
「そもそも用意できなかったんですってば」
「あ、そうでした。勇者さんのことなので、謎ぱぅわぁーで用意したのかと」
「神様に頼めば――」
「結構です。あれに頼むのなら、ぼくがご用意しますから!」
「おかしな展開になってきましたね」
「すべてのテドロドキシンを飲み干しましょう」
「魔王さんもおかしいですが、毒があるのに食べようとする人間もおかしいですね」
「道端の草を食べる勇者さんに言われたくないかと」
「食に関する恨みは深いといいますし」
「勇者さんもそうですね」
「食に関する執着もすごいのでしょう」
「勇者さんもそうですね」
「私は毒があるものを食べたりしません」
「どの口がおっしゃっているのか」
「毒がなければいいなぁと思いながら食べているのです」
「二択の可能性に命を懸けないでください」
「死亡の危険性があると知られていても、免許を取得してまで食べられるフグ」
「改めて言うと、なんか強そうですね、フグ」
「そこまで言われると、気になってきますね」
「フグ料理ですか? お店を探してみましょうか」
「いえ、テロロロドキシンの方です」
「そろそろ原形を留めなくなってきましたね」
「どんな味がするのでしょうか」
「持ってはいけない好奇心が」
「どんな症状が出るのでしょうか」
「さらに危険な好奇心が」
「ロマンとデンジャラスがたくさん詰まっているから、フグは膨らむのですね」
「私もテトロドロトトロドキドキドトキシンを使えるようになりたいです」
「新種の毒?」
お読みいただきありがとうございました。
おかしな言い方をしまくったせいで、予測変換も正しい名称を忘れたようです。
勇者「勇者毒は存在しますか」
魔王「それを聖性というのです」
勇者「毒の方が強そうなので、聖毒にしませんか」
魔王「え……、いやです」




