718.会話 日曜大工の話
本日もこんばんは。
掲載日、土曜日だなって……。
「今からぼくを『日曜大工魔王さん』と呼んでください」
「今日、何曜日でしたっけ」
「金曜……あれ、木曜日だったかな。土曜日かもしれな……日曜日です、日曜!」
「これだから不老不死は」
「ともかく、ぼくはちょっとした家具を作ろうかなと」
「不器用なのに?」
「木材を組み合わせ、電動ドライバーでネジを止めるだけなのでいけるかな⁉」
「自分でも不安になっているじゃないですか」
「がんばります」
「何を作るんですか」
「そうですね。初めてなので、まずは小屋から」
「いいですね。犬小屋みたいな感じでしょうか」
「いえ、ぼくたちが過ごせるくらいの大きさで」
「日曜大工初心者ですよね?」
「気持ちと気合と意気込みはじゅうぶんです」
「ほぼ一緒かも」
「勇者さんにすてきな小屋をプレゼントし、穏やかな日曜日を過ごしていただこうと」
「気持ちはありがたいですが、まず小さなものから始めましょうね」
「ツリーハウスとかですか?」
「家から離れてください。家の中にある物を作るんです」
「わかりました。食器棚ですね」
「もう少し簡単で小さいもので」
「テーブル?」
「で使う」
「シャンデリアですね!」
「椅子です。チェアー。座るもの。腰かける道具。休憩や食事に使う物体」
「あ、なるほど。いいですね、やってみましょう」
「それにしても心配です。自然が破壊されないかと」
「椅子を作るだけですよ」
「だって魔王さんだから」
「心配性ですねぇ。万が一のために、ちゃんと宿の外に出ているでしょう」
「何かを壊す可能性はあるんですね」
「日曜大工動画を見ながら、あらかじめ切ってある木材を組み立てます」
「チェーンソーでも取り出したら全力で止めるつもりでした」
「ぼくがやるのは、釘で木材を固定するだけです」
「初心者にはちょうどいいですね」
「電動ドライバーの動作確認をします。スイッチオン」
「なんだろう、包丁などの刃物に比べて段違いに怖いのですが」
「キュイーン、キュイーン」
「なんだろう、怖い。すごく怖い」
「だいじょうぶそうなので、釘の位置を確認し、いざ。えいっ」
「…………」
「…………ん?」
「いま、視界の隅を凄まじい速さで飛んでいく小さなものが見えたような」
「釘がなくなりました」
「そして、こちらに気づいて襲おうと走ってきた魔物がなぜか消滅しました」
「一体なにが」
「……まあ、そういうこともありますよね」
「気を取り直して、再チャレンジです。えいっ」
「…………」
「…………あれ?」
「今度は、私の顔のそばを物凄い速さで飛んでいく小さなものが見えたような」
「釘がなくなりました」
「そして、私の背後に出現したけど無視していた魔物がなぜか消滅しました」
「一体なにが」
「魔王さん、意図的にやっているわけではありませんよね?」
「ぼくは椅子を作りたいだけです」
「不器用も極めると器用になるのですね」
「なんの話ですか?」
「いえ、そのまま作っていてください。私はここで見ています」
「勇者さんも興味湧きました? 一緒に作りますか」
「いえ、結構です。私が見ているのは日曜DIE工ですから」
「ぼくを見てくださるのですね。うれしいです。がんばります!」
「しっかり見ているので、その調子で魔物退治がんばってくださいね」
「魔物退治ってなんのことですか?」
「いえ、なんでも」
お読みいただきありがとうございました。
破壊神魔王。
勇者「こうして世界は平和になったりならなかったり」
魔王「日曜大工って難しいですねぇ」
勇者「不思議な世の中があるもんだなぁ」
魔王「さっきから何の話をしているのですか?」




