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713/717

713.会話 魔界の文化の話

本日もこんばんは。

魔界の文化を覗いたり覗かなかったり。

「別に興味はないですが、魔界の文化ってどんな感じなんですか。別に興味はないですが」

「興味ありそうな言い方ですね。魔界の文化ですか。そんな目立ったものはありませんよ」

「やっぱり人間の踊り食いとかするんですか?」

「しませんよ。魔界は人間が生きられる世界ではありませんから、するなら死体喰いです」

「そういう否定のされ方は想定外」

「それに、人間を食べる魔なるものは一部です」

「代表的なひとが魔王さんですね」

「そうですね。んなわけ」

「いつか、私もおいしく調理されて食べられるのでしょうか」

「ぼく、人間は食べません」

「低温加熱されたきれいな赤身になって、半熟卵を乗せられるんだ」

「ローストビーフおいしいですよね」

「おしゃれなプレートに盛り付けられ、季節のお花とか散りばめられるんだ」

「食用花を使っていると料理上手っぽいですよね」

「飲み物は百パーセントの果物ジュースと栄養満点のスムージーで」

「お腹にも優しい」

「最後に写真を撮られ、『#今日の魔王ごはん』で投稿されるんだ」

「料理小説始めますか?」

「フォロワー五億人の人気インフルエンサーになり、毎回一千億のいいねがつくんだ……!」

「愉快な勇者さんのなんちゃって魔界文化解説コーナーでした」

「それで、実際のところはどうなんですか」

「人気インフルエンサーはいますよ」

「いるんだ」

「人間の料理もありますけど、ぼくは不適切投稿で通報しています」

「魔界では普通なのに」

「ぼくの逆鱗に触れたら全部アウト」

「厄介な統治者だな」

「アカウントも停止させます」

「だいぶめんどくさい」

「あと、なんとなくうざいやつも削除要請を出します」

「疲れているなら休んだ方がいいですよ」

「魔界は不法地帯ですからね。ぼくの頭がおかしくなりそうです」

「とんでもない光景が広がっていそうなイメージです」

「基本的に魔界は嫌いですが、たまに行ってよかったと思う時もあります」

「珍しいですね。どんな時ですか」

「猛獣の踊り食いをしようとした魔族が、逆に猛獣に食われていた時」

「イメージ図は年齢制限の為、モザイクでお送りしています」

「ざまぁわらわら、と思いました」

「魔王さんが疲れていることはわかりました」

「手がつけられないので、魔界人間界動物園に移送したんですけどね」

「魔界なのか人間界なのか、ややこしいです」

「魔界は、意外にも人間界の文化が根付いているのですよ」

「人間をよく知り、しっかり食べるということですか」

「すぐそういうことを。違いますよ、人間の文化は便利で楽しいからです。娯楽も輸入していますし、かぐやさんの著書は魔界でもベストセラーです」

「ご無沙汰しております、かぐやさん」

「映画、アニメ、マンガ、小説などを始め、あらゆる文化が魔界にも伝わっています」

「思ったより楽しそうですね」

「食文化も広まっていますよ。人間が編み出す料理はおいしいと話題ですから」

「味覚が似ているのですね。人間を食べるくせに」

「田舎にいけば、もっと人間界っぽいですよ。縁側でお茶したりお昼寝したり」

「いつか、わくわく魔界ツアーをしてみたいです」

「勇者さんなんて、全魔族から襲われると思います」

「そこは魔王さんの鶴の一声で」

「わかりました。鶴の鳴き声を練習しておきます」

「そういう意味じゃない」

「とはいえ、例のごとく人間は魔界に行けません。というより、行ったら死にます」

「毒毒パラダイスって感じですか?」

「人間にとってはそうです」

「空もどんよりしていそうですね」

「意外にも、空気はきれいなんですよ。花粉も黄砂もPM二・五も飛んでいません」

「うらやましいです」

「全自動の吸い込み係魔族がいるので」

「ちなみに、名前を訊いてもよろしいですか」

「ダイソ――」

「あ、もう結構ですよ」

お読みいただきありがとうございました。

ン。


勇者「魔界の文化は不思議ですね」

魔王「理解できないことの方が多いです」

勇者「魔族から見れば、魔王さんも大概ですよ」

魔王「人間びっぐらぶ」

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