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684.会話 黒色の話

本日もこんばんは。

サブタイがシリアスを思わせますが、いつも通りのコメディです。

「不幸だの不吉だの言われる黒色ですが、黒猫はかわいいですよね」

「お疲れなら休んだ方がいいですよ、勇者さん」

「元気ですよ。遠くから黒猫を眺めるのにいそがしいです」

「無言で三十分くらい動かなかったのに、急にしゃべりだしたので驚きました」

「猫、いいですよね……」

「お疲れなら休んだ方がいいですよ、勇者さん」

「それ数秒前に聞きました」

「だって、勇者さんが無表情だから……」

「いつものことです」

「ぼくとしても、猫を眺める勇者さんを眺められるので満足ですが」

「欲を隠さないところは好印象です」

「よくあるじゃないですか。ふいにこぼした声が本音で……というやつ」

「まあ、本音ですね。黒猫がかわいいに嘘なんてありません」

「そうではなくて、言葉に隠されたほんとうの気持ち的なあれですよ」

「え? 黒猫がかわいかったことに隠された気持ちですか?」

「悩みがあるなら聞きますよ」

「いや、黒猫がかわいいだけです」

「黒色についての悩みがあるのでしょう?」

「ないですけど」

「また誰かに黒髪を理由に傷つけられたんじゃないですか?」

「違います」

「ではなんで、急に黄昏はじめたんですか!」

「そこに黒猫がいたから」

「それだけ?」

「はい。ついぼーっと眺めていただけです。私の黒髪は欠片も関係ありません」

「いっそ、黒猫になってのびのびと生きていきたいとか思っていませんか?」

「今もそれなりにのびのび生きていますからね」

「今も超きゅーとな私だけど、猫ちゃんになってさらに愛されちゃおっかな! この世のすべての人に『かわいい』って言われちゃうかも~。と思っていませんか?」

「まさかそれ、私の真似ですか?」

「僭越ながら」

「解像度が低すぎる。今まで何を見てきたんですか」

「勇者なのに魔物は倒さないし数センチ先のリモコンを取ることも嫌がるし怖がりなくせに心霊番組は欠かさず観て結局怯えるしぼくに不満があっても挨拶はしっかりする姿」

「……その割には真似がへたっぴですね」

「ぼくなんかが勇者さんの真似などおこがましいと思いまして」

「中途半端にやるなら、いっそ高クオリティにしてほしいです」

「許可を得たということで、怯えながら心霊番組を観る勇者さんの真似いきまーす!」

「そういうノリは許していない」

「誠心誠意、しっかりボケますので」

「やめんかい」

「まあまあ、怒らないでください。お詫びに白猫ちゃんに変化しますから」

「どういう話の流れですか?」

「ひなたぼっこしている黒猫ちゃんと戯れてきますので、存分に眺めてくださいな」

「言われなくてもそうします」

「にこにこしちゃってもいいですよ」

「白猫がいなければ微笑みたいところなのですが」

「ぼくがいるとだめなのですか?」

「正直、ちょっと不要というか、遠慮というか、邪魔というか」

「言葉を選ぶと見せかけて普通に言った」

「私は黒猫を見ていたいです」

「あ、じゃあ、ぼく、ここにいるんで、はい、あの」

「白色だと眩しくて」

「いやぁ、神々しくてすみません」

「猫を眺めるには迷惑というか」

「見せかけることすらやめましたね」

「あんなにかわいいのに、何が不吉なんでしょうね」

「勇者さんの話ですか? それはですね」

「待ってください。普通に黒猫の話です。わかりますか、黒猫です」

「もちろんです、黒髪勇者さんですね」

「だめだ。この超高齢者、耳が遠い」

「勇者さんは不吉なんてことはなく、ぼくに幸せをもたらす女の子でねぇ」

「おばあさん、そろそろ行きますよ」

「それはそれはかわいくてねぇ」

「置いていきますねー」

「辛辣な言葉も抑揚のない声も冷たい目も塩対応もきゅんきゅんしちゃってねぇ」

「さようならーー」

「ぼくだけの黒猫ちゃんって感じで、もうすりすりなでなでしちゃおっかなぁ!」

「魔王さんは白いのに発言はクロですよね」

「ポリスメン案件ってことで……って、勇者さん、なんか遠いですね」

お読みいただきありがとうございました。

最初の頃は魔王さんの発言ももう少し控えめだったような気がしますが、気のせいでしょうか。


魔王「今日も人間たちが愛おしいです」

勇者「今日の私はどうですか?」

魔王「まじでかわいいです世界に感謝勇者さんのほっぺ食べたいですもちもちもちもち」

勇者「なんで私絡みになるとこうなの?」

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