678.会話 スイカの種攻撃の話
本日もこんばんは。
相変わらず意味不明なSSタイトルで失礼します。
「スイカの種を口から器用に出す映像を観たのです」
「おもしろいですよね。ぼくはうまくできないのです」
「あれが爆弾だったらどうでしょう?」
「どうでしょうと訊かれても、続けてくださいとしか」
「スイカの種を爆弾にする魔法」
「つよ……いんですか?」
「一粒で町を破壊する威力があります」
「そんなものを口から出してだいじょうぶなんですか?」
「おかしなことを訊くんですね。ちゃんとダメージくらいますよ」
「だめじゃないですか」
「気合で連射するんです」
「また命を削って」
「それでも戦う理由があるんですよ」
「んもう、人間のそういうところが、ス・キ……」
「敵も倒せるしスイカも味わえて一石二鳥ですね」
「ぼくのささやきボイスはいかがでしたか?」
「何の魅力も感じませんでした」
「こんなにすてきな声なのに?」
「まだスイカの種の方がいいです」
「さすがに異議申し立て」
「いつかスイカになるかもしれない可能性を秘めているのですよ」
「ぼくだって、いつかビッグな魔王になる可能性があるのです」
「とてもワルになると?」
「いえす!」
「スイカの方がいい」
「ぼく、スイカに負けるんですか」
「他にも理由はありますよ。種の進化先は爆弾だけではありません」
「そもそも爆発しないんですけどね」
「種攻撃の真のおそろしさをあなたは知らない」
「ホラー映画のキャッチコピーかと思いました」
「お腹を突き破って根を張り実をつけるのです」
「わあ、ホラー映画だ」
「植物の寄生能力はすごいんですよ」
「すみません、ぼくには顔に張り付く寄生生物のイメージが強くて」
「ああ、こんにちはするあれですか」
「一度観たら忘れられません」
「あなたの悲鳴は誰にも聴こえませんよ」
「だいじょうぶです。とんでもない声量を出すので」
「顔にへばりついているので声が出せない」
「宇宙関係なかった」
「しゅるしゅると伸びる蔦が魔王さんの首を絞め、ゆっくりと命を……」
「う、うわぁぁぁぁぁぁ!」
「奪ったり奪わなかったりする」
「あ、意外と気まぐれ」
「好みのタイプじゃないと捨てられます」
「ぼく、美少女なのに!」
「もっとミステリアスなお姉さんがいいらしいです」
「この神聖さがわからないとは、まったく最近のスイカといったら……」
「今のセリフ、言っていて意味不明じゃないですか?」
「そうですね。自分でもびっくりしていますよ」
「魔王さんもお疲れのようですね」
「いえ、あの、今日は何の話でしたっけ?」
「スイリアンの話ですよ」
「合体している」
「そりゃあ、寄生していますから」
「どんな姿かたちをしているのでしょうか」
「光沢のある身体と鋭い牙、獣のような鳴き声と不思議なフォルム」
「イメージ通りですね」
「俊敏な動きと狂暴な性格、高い攻撃力を併せ持つ」
「まさしくですね」
「丸い頭は怪しく光り、獲物を見つけると命を奪おうと一直線」
「おそろしいです」
「恐怖で固まった人間は見るのです。人ならざる姿と、赤と黒のしましま頭を……」
「思い出したように最後にスイカ要素入れないでください」
「これが、今日観る予定の映画に出てくる敵です」
「またおかしな映画を選んできましたね」
「『スイリアン』シリーズの最新作ですよ」
「どうしてシリーズ化しちゃうんでしょうね」
「キャッチコピーは『喰われる前に食え!』」
「相変わらずたくましい」
お読みいただきありがとうございました。
相変わらず意味不明なSSで失礼しました。
勇者「見てください、魔王さん。スイカの種が顔みたいです」
魔王「かわいいですね。そう思うきみが」
勇者「これが爆発し、世界を破壊し、宇宙にまで到達し、エイリアンをビビらせるんです」
魔王「相変わらず発言は物騒ですけど」