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622.会話 決闘の話

本日もこんばんは。

リアルではあまり聞かない単語、決闘。

「決闘というものをしてみたいのです」

「珍しいですね。いつもは何もしたくないが口癖の怠惰勇者さんなのに」

「決闘で勝つと敗者の首を得ることができるそうですね」

「やけに物騒ですが、ぼくの首がほしいのですか?」

「いいえ」

「ですよね」

「魔王さんの首とかその辺の雑草より不要です」

「とんでもない言われよう」

「ですので、勝者が得られるという賞金目当てです」

「金貨ならここにありますよ」

「金貨? 何を言っているのですか」

「だって、賞金がほしいとおっしゃるから」

「はい。この和洋中食べ放題チケットのことです」

「ぼくの知っている決闘とは違うようですね」

「様々な食を味わえるすばらしいものです」

「ですが、食べ放題チケットなら賞金というより景品ですね」

「頭がおかしいのですか?」

「ぼく、そんな変なこと言いました⁉」

「食べ物を買うにはお金が必要です。食べ物と引き換えになるチケットはつまり?」

「お金と同じ価値がある……?」

「こんな簡単なこともわからないなんて、魔王失格ですよ」

「失格判定が独特すぎます。ですが、なぜ決闘なのですか? 食べ放題チケットがほしいなら、大食い大会やのど自慢大会でも見たことがありますよ」

「私は勇者です」

「存じております」

「不本意ですけど」

「お顔を見ればわかります」

「非常に残念ながら私は勇者です」

「言葉が追加された」

「勇者であるということは、決闘に強いということです」

「そうなんですか?」

「本にそう書いてありました」

「どれどれ……。『勇者は決闘に強い』。あ、ほんとですね」

「私としては、決闘が何かよくわかりませんが、戦いのことですよね」

「ぼくは争いたくないので審判でもよろしいですか?」

「私は誰と戦えばいいのですか」

「その辺の魔物でも倒せばいいと思いますよ」

「いつもと同じような」

「ぼくが目を光らせて見ていますから、安心して戦ってくださいね」

「それもいつものような」

「いえいえ、違いますよ。ほら」

「うわ、ハイビームのように眩しい光」

「対向車の視界を破壊するレベルで光りましょう」

「目がぁぁぁ」

「だいじょうぶですか、勇者さん!」

「光ったまま近寄らないでください」

「失礼しました。ライトオフっと」

「アホ毛が電源なんですか?」

「今そのように設定しました」

「これだからテキトーな作風は」

「ぼくがアイビームで敵の視界を封じている間に倒してくださいね」

「審判ですよね?」

「もちろんです。勇者さんが勝つように手を回す審判ですよ」

「中立とは」

「いやですねぇ。ぼくがいつ中立と言いました?」

「審判ってそういうもののはずですが」

「食べ放題チケットもぼくが用意します」

「主催者?」

「どうぞ。お望みの和洋中とデザート食べ放題チケットですよ」

「なんか追加されている」

「いつでもお使いください」

「一度使ったらおしまいなんじゃ……あれ? 小さく『死ぬまで有効』と書いてある」

「ふふん」

「やれやれ、これでは決闘する意味もありません」

「『勇者は決闘に強い』を実践する間もありませんでしたね。……って、むむ?」

「どうしました?」

「この文章、よく目を凝らして見てください」

「……すごく小さく何か書いてありますね」

「『勇者は決闘に強い……とうれしいな』だそうです」

「ただの願望じゃないですか」

お読みいただきありがとうございました。

決闘にカタカナのルビを振ったものはよく見かけます。


魔王「ぼくも決闘したいです」

勇者「争いたい衝動でもあるのですか」

魔王「いえ、花嫁をゲットするのですよ」

勇者「どういうこと?」

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