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614.会話 オープンカーの話

本日もこんばんは。

オープンカーが存在する異世界。

「広場に変な物が置かれているのですが、あれはなんでしょう」

「オープンカーですね。車ですよ」

「私の知っている車とは違います。魔物に屋根を持って行かれたのでしょうか」

「ああいう車なんです」

「屋根をつけるお金がなかったのですか?」

「いえ、むしろ高価なものばかりですよ」

「暑がりさん?」

「冬でも半袖半ズボンでいる人っていますよね」

「雨が降ったらどうするのでしょう」

「ルーフが開閉できるのですよ。ウィーンっと出てきます」

「オーストリア製なのですね」

「そういう意味ではないのですが」

「こどもたちがたくさん群がっています。人気なのですね」

「かっこいいと思う人が多いのです。勇者さんもほしいですか?」

「質問を間違えていますよ。『乗りたいですか?』と訊くべきです」

「失礼しました。ほしいですか?」

「わざとですよね。いらないです」

「勇者さんがほしいと言うのなら、ぼくはオープンカーの一台や十台、余裕です」

「複数持っていてどうするのですか。身体はひとつですよ」

「飾る人もいますね」

「置いておくだけなのですか。ちょっともったいないような」

「では、分裂して全部乗りましょう」

「人外限定の乗車方法」

「勇者さんも三人くらいなら分裂できますよね」

「できませんよ」

「ぼく、この間、見たような気がするのですが」

「幻覚か寝ぼけていたのでしょう」

「勇者さんがいっぱいいると思い、とてもうれしかったのです」

「まず不審がってください」

「あ、思い出しました。魔族の攻撃だったんです」

「魔王でしょう。引っかかるな」

「いやぁ、勇者さんを見ると知能指数が著しく低下するものですから」

「最初から低いので安心してください」

「フォローのようでいて真逆の言葉ありがとうございます」

「それはそうと、オープンカーは一台買った方がいいと思いますよ」

「おや、ほしくなりました?」

「魔王がブイブイ言わせていそうな車じゃないですか」

「オープンカーへの偏見が」

「立ちながら運転して捕まればいいのです」

「弱っちい魔王ですね」

「後部座席に誘拐した人間をわんさか乗せ、見た人を恐怖に陥れるとか」

「誘拐した人間に『わんさか』を使う人なんて勇者さんくらいです」

「入り切らず、道端に落としていくので回収してくださいね」

「意識がない人を走行中の車から落としたら大惨事ですよ」

「だいじょうぶです。ウィーンと動いた屋根がゆっくりと地面に下ろしてくれます」

「可動域がおかしいですね」

「あのオーストリア製ですから」

「どこか知らないでしょうに、なぜか得意げな勇者さん」

「魔王の威厳を保つため、どんな天気でも屋根は開けっぱなしでお願いします」

「ずぶ濡れ姿に威厳は感じませんよ」

「目に水が、髪の毛が風でばたばたと、強風で目が開けられない」

「いたたまれないので見なかったことにすると思います」

「最終的に、雷が落ちます」

「不運」

「目を覚ました後部座席の人間たちに、こてんぱんに殴られ」

「それはもっとやれ、としか」

「泣きながら家に帰すことになる魔王」

「あまりに弱くて悲しくなってきました」

「こうして、魔王はオープンカーを永遠に封印することになりましたとさ」

「ハッ、またトンデモ捏造物語が」

「というわけで、魔王さんもオープンカーを買ったらいいのです」

「その話を聞いた後で?」

「ほしくなったでしょう?」

「むしろ、いらなくなりましたよ」

「私のセールストークが響かなかったようですね」

「今の話で売る側だったのが驚きですよ」

「人間とドライブデートができるとあっさり買うと思ったのですけどね」

「勇者さんがしてくれるなら買いますが」

「嫌ですけど?」

「ほらぁ」

お読みいただきありがとうございました。

この世界はなんでもあります。そうしないとSSのネタが尽きます。


魔王「一緒に車で出かけることをドライブデートと言うのなら、一緒に歩いて出かければ……?」

勇者「私、ウォーキングデートは聞いたことないですね」

魔王「流行らせましょう!」

勇者「あ、結構です」

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