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606.会話 ケーキ屋の話

本日もこんばんは。

なんでもない日にケーキを買うのも楽しいですよ。

「ぼく、ケーキ屋さんになりたかった時期があるんです」

「一体、何万年前の話ですか」

「万年前にケーキ屋さんはありませんよ」

「魔王さんは料理が上手ですし、ケーキ屋さんで働けるんじゃないですか」

「そう思ったんですけどね」

「何か問題が?」

「ぼくが美少女すぎてお客様がケーキどころじゃなくなる危険性がありまして」

「不要な心配ですよ。安心して働いてきてください」

「ぼくを目当てにお客様が押し寄せたらお店にご迷惑でしょう?」

「だいじょうぶですよ。ほんと」

「甘いケーキのようなすてきな出会いがあったりして!」

「あるといいですね」

「勇者さん、ぼくを目当てにケーキを買いに来てくださいね」

「結構です」

「すてきな出会いをしましょう」

「強引で意図的」

「たくさんケーキをあげますね」

「お金ないです」

「ぼくのお財布をどうぞ」

「だいじょうぶです。ケーキもひとつでいいです」

「ぼくとしては、勇者さんをケーキで埋め尽くしたいのですが」

「ファンシーな殺人現場?」

「いっそのこと、ケーキ屋さんを買いましょうか」

「落ち着いて考えてください」

「ケーキをたくさん買ってくるより早くないですか?」

「冷静になってください」

「ケーキ屋さんの中で暮らす勇者さんもとってもきゅーと!」

「ペット用のケージ?」

「すみません、ショートケーキとすまいるひとつ」

「お帰りください」

「あと、『魔王さん、今日もすてきです』とお願いします」

「追加料金をいただきますが」

「いくらでもどんとこいです!」

「小説の中に出てくるコインがほしいのです」

「そっ、それはこの世に存在する物なのでしょうか」

「いいえ」

「では、一から作るしかありませんね……」

「この世界の物がほしいのです」

「本の中に入ることはできませんよう」

「なら、追加のセリフはなしですね」

「ああー! そんなー! ほ、他にほしいものはありませんか?」

「今は特に」

「せっかく勇者さんがおねだりをしてくれたのにぃ……」

「さっきのは無理難題ですよ」

「そんなにぼくにすぺしゃるなファンサをするのがいやだったのですか?」

「はい」

「当然の肯定」

「ケーキ屋さんはケーキ屋さんです。それ以上を求めないでください」

「正論」

「砂糖いっぱいの脳みそで思考も欠落しましたか」

「ぼくの脳内は勇者さんでいっぱいですよっ」

「まだ砂糖の方がいいですね」

「ぼくはケーキですか」

「まあるいけえき、しかく、さんかく、まおうはかおす」

「何の歌ですか?」

「私のことしか考えていない魔王さんには理解できない歌です」

「勇者さん以外のことを考えても理解できませんよ」

「私のしゃべることの九割は意味がありません」

「さすがにもう少しがんばってください」

「そう言っておけば、意味深なことを言っても『意味ねえな』と思っていただけます」

「ぼくの口調じゃないですよ」

「あれです、なんだっけ、そうそう、グランドキャニオン萌え」

「溝が深すぎます」

「その方がきゅんとしませんか?」

「心臓がひゅんとしますよ」

「ケーキ屋さんに入った時のわくわくどきどき感と同じです」

「ケーキ屋さんで命の危機は感じないんですよ」

「糖分の摂り過ぎで心臓に負荷がかかるのです。どきどきしちゃいますね」

「不整脈ですか、勇者さん」

「私は若いので平気です」

お読みいただきありがとうございました。

大人が何らかの記念日にしかケーキを買わない理由は、おそらく糖分がこわいからです。


勇者「やっぱりグラキャニ萌えが次に流行ると思うのです」

魔王「不整脈と動悸の話ですか?」

勇者「砂糖菓子の弾丸で戦う少女とかいかがでしょう?」

魔王「残念ながら撃ち抜けないですね」

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