585.会話 魔王さんに遊ばれた話
本日もこんばんは。
ツインテール勇者さんが出てきますが、文字だけなので頑張って想像してみてください。
「そんなむすっとしないでくださいよう」
「あっという間にツインテールにされた私の気持ちも考えてください」
「むすっとしている勇者さんがかわいすぎる件についてはどうお考えですか？」
「知りませんよ」
「まあまあ、怒らないでくださいな。怒ってもいいですが、かわいいだけですよ」
「はあ…………」
「死んだ目をしていらっしゃる」
「私のツインテール姿を見て何が楽しいのやら」
「救われる命があるんですよ」
「ただの髪型じゃないですか」
「逆に言えば、髪型を変えるだけで世界は平和になるのです」
「その理屈でいくと、魔王さんは死ぬことになりますが」
「ピンピンしております」
「世界の平和はまだ遠いようですね」
「申し訳ない気持ちはありますが、できないものはできないので」
「魔王さんの髪の長さなら、あなたもツインテールができると思いますよ」
「ぼくのツインテール姿を見て何が楽しいのですか？」
「別に楽しくないですよ」
「ほら」
「でも、私だけというのは不満なので」
「巻き込みたいのですね」
「結ぶフリをして、髪の毛を抜いてかつらを作ります」
「たまに出てくる羅生門勇者さんは何なんですか？」
「真っ白できれいなので、高値で売れると思うのですよ」
「お金のことしか考えていない。誰が買うんですか」
「カラス避け」
「たしかに、光を反射するくらい白いですけど」
「世界の農家さんを救いましょう」
「勇者の使命から逸れているような気がしますが」
「すべての人に手を差し伸べるのが勇者でしょう？」
「勇者さんが勇者みたいなこと言っていると頭痛がします」
「失礼だなおい」
「低気圧でしょうか」
「魔王さんの血圧を下げてやる。首を差し出せ」
「かっこいい勇者さんを見るとどきどきして血圧が上がりますねっ」
「まずは眼球から」
「心の目で見るとしましょう。かわいさ増し増しのツインテール勇者さんを」
「やかましいです。なにがツインテールですか。滅んでください」
「うさぎさんヘアー」
「……………………」
「という名前はいかがでしょう？」
「…………悪くないですね」
「照れ隠しでツインテールをぎゅっと握る勇者さんが見えるのですが、幻覚かな？」
「見ないでください」
「信じられないくらいかわいい」
「静かにしてください」
「どうしましょう。ぼく、心臓が爆発しそうです」
「勝手に髪を結んでおいて、何を言っているのやら」
「生きててよかったぁ～」
「あまり重みを感じないセリフですね」
「勇者さん、いっそのことイメチェンしてみるのはどうでしょうか」
「二つに結ぶだけなら簡単ですけど……」
「とってもかわいいですよぐぁいつまでも眺めていたいあぁぅ最高ですぐはっ」
「いつもより魔王さんがうるさいんですよね」
「攻撃力が高すぎる……」
「楽しそうな生き方をしているなと思います」
「ツインテール勇者さんとミソラさんを写真に収めないと死ねません」
「不老不死ですよね」
「はあ……、一枚……、一枚でいいので……、はあ……、お願いしますっ……！」
「死にそうじゃないですか」
「あと、目に焼き付けないといけないので、もっと近づいてもいいですか？」
「近すぎです」
「すみません、でも離れられません」
「そこは自分のさじ加減でしょう。あっち行ってください」
「わああああん！ もっと見ていたいです！」
「自分の姿でも見ていればいいじゃないですか」
「たしかにぼくは美少女ですけど」
「やかましいな」
「なでなでさせてくださいな、黒うさぎちゃん」
「噛みついてやろうかな」
お読みいただきありがとうございました。
いつもありがとう、読者様の想像力。
勇者「髪を結ぶだけでこの有様。愉快な魔王さんですよ」
魔王「幸せです」
勇者「光魔法を放ちながら目を閉じないでください。宗教画ですか？」
魔王「この世界に光あれ――」
