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576.会話 草食系の話

本日もこんばんは。

草食系という言葉、まだ使われているのか不安です。

死語だったら温かい目をしてください。

「世の中には草食系に分類される人がいると聞きました」

「勇者さんからそのワードが出るなんて珍しいですね」

「やっと世の中に認められてうれしいです」

「何か勘違いしているのはわかりますが、一応、訊いても?」

「雑草を食べるんですよね」

「はい、やっぱり違います」

「どこが間違っているのですか?」

「すべてですね」

「草を食べるタイプということじゃないのですか」

「行動や欲が消極的なひとを表す言葉です。特に、恋愛に関して言うらしいです」

「ほお……?」

「勇者さんのように、草を食べるひとのことではありません」

「言葉は難しいですね」

「たしかに、字だけ見れば間違えても仕方がありません」

「魔王さんは積極的で己の欲に忠実なので、反対の言葉になるのでしょうか」

「おそらくそうかと。つまり、ぼくは肉食系――」

「除草剤系」

「そうきたか」

「私たちは刈られる運命なのです。これが弱肉強食の世界」

「肉って言っているのに、チョイスが除草剤はなぜなのでしょう」

「しかし、自然の力を舐めてはいけません。少しでも根があれば内側から食い破ります」

「ホラー映画で観たような」

「礼儀も忘れません。登場時、ちゃんと『こんにちは』と言いますよ」

「食い破りながら言われましても」

「新時代のホラー映画として活躍しましょう」

「やる気満々じゃないですか。全然、消極的ではないですね」

「持続時間が三秒なんです」

「悲しいほど短い」

「映画は観るのでじゅうぶんです」

「勇者さんの場合は、草食系というより消極系ですね」

「魔王さんをこの世から消してやろうか」

「それは消去」

「古代中国の歴史書」

「それは書経。というか、よくご存知ですね」

「本で読みました。よくわかりませんでしたけど」

「知識をなんでもテレビで仕入れていると嘘をつく眼鏡の少年のようですね」

「物知りなのはよいことです。脳が大きいのでしょうね」

「そうなんですかねぇ」

「寄生しやすそうです」

「視点がいつもホラー映画」

「私を甘く見ないでほしいです。挨拶は『ごきげんよう』です」

「お上品な地球外生命体ですね」

「エサは道端の草でお願いします」

「もっといいものを食べてほしいです」

「お値段高めのチモシーの話ですか?」

「それはうさぎさんですね」

「一度、食べてみたかったんです」

「お望みならば購入しますが、ほんとうに食べるおつもりですか」

「もちろん、その辺のうさぎにあげますよ」

「よかったです。勇者さんはちゃんと人間でしたね」

「高いチモシーなんて、私にはもったいないです」

「もうちょっとご自分を大切にしてください」

「私はうさぎさんが食べずに捨ててしまうチモシーでじゅうぶんです」

「食べ切ることってないですもんね」

「とはいえ、新鮮が一番です。私も食べる直前に草を刈るようにしていますよ」

「それはよいことです。刈るな」

「ああああー、私の鎌が」

「草食系勇者さんにはお帰りいただいて」

「仕方ない。手でむしりましょう」

「勇者さんのご飯は用意してありますので」

「何を作ったのですか?」

「ありとあらゆる葉物野菜を詰め込んだお鍋です」

「一面緑色」

「自然豊かですね」

「目に優しい光景です」

「お腹にも優しいですよ。さあ、お食べ」

「いただきます。あ、すごい。自然の味がしたかもしれません」

「可能性を残す言い方」

「お肉もおいしいですね」

「これできみも肉食系です」

お読みいただきありがとうございました。

草を食べる系の人、草食系。


勇者「では、魔物を食べるタイプはなんと呼ぶのでしょう」

魔王「魔物は毒なので、食べちゃだめです」

勇者「魔食系?」

魔王「語感もだめですね」

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