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574.会話 あみだくじの話

本日もこんばんは。

あみだくじの途中で目がしょぼしょぼするみなさまのためのSS。

「この先に三つの町があるのですが、どこに行くかあみだくじで決めましょう」

「三つのうちから一つを選ぶあみだくじなのに、この線の量は一体」

「がんばりました、えへん」

「集中線?」

「定規できれいに引いていますよ」

「目がチカチカするよう」

「ちなみに、三つの選択肢以外にドボンが十個ほど入っております」

「あみだくじにドボン?」

「選んでしまうと写真一枚の刑」

「うわ、魔王さんしか得をしない」

「他にも、動画三十秒の刑」

「私に有益なものが何もない」

「一つだけ『夕飯が焼肉』というものがあります」

「三つの町から行先を選ぶんですよね? 趣旨が変わっていますよ」

「一つ選ぶごとに選択肢が減っていきますから、最後はどこかに行くでしょう」

「さては、あみだくじをやりたいだけですね」

「そうです!」

「正直でよろしい。虫眼鏡ありますか?」

「こちらに」

「虫眼鏡で見てもまだ細かいですよ。よく作れましたね」

「ぼくは顕微鏡を使いました」

「それはそれで書きにくいような」

「勇者さんの遊びのためには全力を注ぎますよ」

「適度でいいんですよ。わかりますか、適度」

「ぼくの辞書にはないですねぇ」

「刻み込んでおいてください、ナイフで」

「んもう、勇者さんったら暗殺者」

「そろそろ最初の選択肢に辿り着きそうです。やっとです。やっと」

「強調していらっしゃる」

「さて、めくりますよ。何が出るかな、何が出るかな」

「おめでとうございます! 『一回休み』が出ました!」

「すごろくじゃないんですけど」

「眼精疲労のおそれがあるので、休息は重要かと」

「集中線あみだくじでなければ、そこまで疲れはしないんですよ」

「さあ、温めたタオルです。目に当ててくださいな」

「のんびりしていると陽が出ているうちに町に着けませんよ」

「勇者さんの体の方が大切です」

「私を疲れさせたのは魔王さんなのですが」

「それは大変です。ぼくは疲れを癒してあげましょう。ささ、ハグを――」

「さて、次のあみだくじにいきましょう」

「さすが若い命。回復がはやいですね」

「こっちにいって、次はここで、そしてこっちに、辿り着きました」

「おめでとうございます! 『写真と動画一時間セット』です!」

「魔王さんの欲しか出てこない」

「いやぁ、えへへ、それでは、えへへ、写真と動画を、えへへ、失礼しますね」

「成敗」

「ぐはぁ⁉ み、見事なパンチですぅ……」

「よし、次にいこう。やれやれ、私は何をしているのやら」

「正気に戻ってはいけませんよ、勇者さん」

「狂っている自覚があるのならやめてほしいのですが」

「人生というものは、多少おかしい方が楽しいのですよ」

「変なひとが言うと説得力が違いますね」

「勇者さんも大概ですよ」

「失礼ですね。私のどこが変なのですか」

「あみだくじに飽きて、ノンルックで線を辿っているところとか」

「大体この辺かなって」

「ぶっちゃけ、集中線すぎてぼくも見分けがつきません」

「さて、四回目。そろそろしつこい頃合いかと」

「では、しっかり町を引き当ててくださいませ」

「そいや。『左の道を進んだ先の町』が出ました」

「おめでとうございます。では、行きましょうか」

「日暮れ前には着きそうですね」

「それにしても勇者さん、律儀にめんどくさいあみだくじをやってくださるとは」

「どういう意味ですか」

「隠してある選択肢の部分を全てめくってしまえば、簡単に終わらせられたのですよ」

「それはなんか、時間をかけて作った魔王さんに失礼かと思って」

「いい子~。ぼくもがんばって焼肉屋さんを探しますね」

「探すって、どこの町にもあるんじゃないんですか」

「右の道と中央の道の町にはありますが、左の道の町にはないらしいです」

「行先は変更で」

お読みいただきありがとうございました。

眼精疲労と戦うみなさまに優しい短い物語、SS。


勇者「でもまあ、行先の決めた方に楽しさがあるのはいいかもしれません」

魔王「今後もあみだくじで決めますか?」

勇者「もちろん断ります」

魔王「この流れで断るんですね」

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