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55.会話 猫魔王の話

本日もこんばんは。

タイトルをつけたあとに首を傾げた天目です。

「おや……? こんなところに猫が。どうしました、迷子ですか? ……やっぱり、喋らない生き物の方が落ち着きますね。もし喋っていたとしても、私には理解できませんし。おーい、あなたは私の言っていることがわかるのかな? にゃーん。なんちゃって」

「…………すみません、ぼくもう限界です」

「げっ。なんですかなんですかこの猫、魔王さんなんですか⁉」

「ほんとうにすみません……。決して騙すつもりはなくてですね……」

「……忘れてください」

「え、とってもかわいかったですよ? かわいさが限界突破――」

「忘れてください!」

「えええ……。あの、ところで、どうでしょうか? 変化してみたんですが……」

「……見分けがつかないくらいの出来ですよ」

「褒め……られている? ですが、わかりやすいように輪っかだけつけておきますね」

「最初からそうしておいてほしかったです」

「すみませんでした。今後は気をつけますね」

「にしても、突然猫に変化するなんてどうしたんです。心境の変化ですか」

「魔法は使わないとやり方を忘れてしまいますからね。散々勇者さんにも言われたので、たまには使おうと思ったわけです」

「それで猫ですか」

「かわいいでしょう?」

「かわいいですが、中身が魔王さんだと思うとせっかくの猫バンテージが意味を持ちません」

「猫バンテージ?」

「猫だけが持つ優位性ですよ。猫であるというだけで彼らは生物のピラミッドの頂点で悠々自適なんです。もはや罪深き存在です」

「よくわかりませんが、かわいくてたまらないという解釈でよさそうですね」

「それなのに……、中身が魔王さんの猫だなんて……。涙が出ますよ」

「うなだれているところ申し訳ありませんが、顔が無表情ですよ」

「ポーカーフェイスと言ってください」

「ポーカーフェイスと無感情は違います」

「魔王さんはいま猫なわけですが、食べ物はどうするんです? キャットフードですか?」

「話の逸らし方が雑ですね。変わっているのは見た目だけなので、ふつうに勇者さんと同じものを食べられますよ」

「……そうですか」

「なんでちょっと不満そうなんです?」

「魔王さんがキャットフードを食べるなら、私は二人分の食事をとれると思ったのに」

「食い意地が張りすぎですね。どうせなら胸を張ってくださいよ」

「うーーーん……。はあ、屈んでいたので腰が――あ」

「それは伸びですね。どうしました?」

「猫がいます。こっちに来ました」

「きれいな白猫ですね。こんにちは~。にゃあ、にゃーん、にゃにゃにゃあ」

「会話している……?」

「ふむふむ、なるほど。あ~、それは大変ですねぇ」

「なんて言っているんです?」

「まったくわかりません。えへっ」

「……ちょっと期待した私がばかでした」

「見た目が猫なだけですからね。ほんとうの猫ではありませんゆえ、言葉はわかりません」

「見た目だけならかわいいのに」

「中身もかわいいですよう!」

「ご自分で言うことではないかと」

「ぼくはいま、猫魔王なわけですが、変化魔法はこんなこともできますよ。どろん!」

「魔王さんに戻った――ん? なんですか、それ」

「みんな大好き猫耳ですよ。しっぽもあります。猫魔王から猫耳魔王への進化です」

「退化です。戻してください」

「ひどい。猫耳ですよ? かわいいでしょう」

「人間の姿より猫の方がかわいいに決まっているでしょう。けんか売ってんですか?」

「過激派ですね。猫耳魔王は猫バンテージと美少女要素を掛け合わせた完璧なコンビネーションですよ? 世界中のひとが喜ぶはずなのに……」

「すでに私が喜んでいません。魔王さんの世界はずいぶん小さいようですね」

「ぐすん……。あ、いまのどうです? 涙も追加してみたんですが」

「ご自分で言うから効果が薄れるんですよ。そのまま泣いていればいいのに」

「勇者さんが辛辣でほんとうに泣けてきそうです」

「猫耳白髪青目儚げ美少女がいじられて泣く姿ですか。これからその路線でいったらいいんじゃないですか? スカウトされるかもですよ」

「アブナイ店の予感しかしませんが……」

「ところで、いつまでその姿なんです。はやく戻ってください」

「わかりましたよう。また変化するので遊んでくださいね。それでは、えいっ」

「……なにやっているんです?」

「え? ちゃんといつもの姿に戻りましたよ?」

「私は戻ってくださいと言ったんです」

「え、ええ。ですから、こうして人の姿に……」

「違いますよ」

「ではなんです?」

「さっきの猫ですよ」

お読みいただきありがとうございました。

猫耳美少女VS.猫、みなさんはどちらがお好きでしょうか。


魔王「勇者さんにご好評だったので、定期的に猫魔王になろうかと思います」

勇者「本物の猫の方がうれしいです」

魔王「そう言わずに~。猫魔王ならなでなでも添い寝も思うがままですよ?」

勇者「魂胆が丸見えなんですよ」

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