53.会話 きょうだいの話
本日もこんばんは。
きょうだいの話です。読者の方の勇者さん魔王さんのイメージが気になりながら書きました。
「勇者さんは妹っぽいですね」
「なんですか、急に。こどもっぽいと言いたいんですか」
「うーん、わがままなところとか、食いしん坊なところとか、下の子っぽいなって」
「ディスってんですか」
「いえいえ、そういうところも含めて勇者さんですから」
「うまくあしらわれた気がします。逆に、魔王さんは姉っぽいかもしれませんね」
「おお……! 詳しく訊いても?」
「お財布なところとか」
「ナチュラル紐宣言していますが、だいじょうぶですか?」
「でも、魔王さんも妹っぽいところありますよ。朝起きないところとか」
「あう……。反論はできません」
「毎朝魔王さんを起こす私は姉の気分です」
「つまり、ぼくたちは姉であり妹なんですね」
「雑なまとめ方ですね」
「勇者さんはなってみたいきょうだい位置ってありますか?」
「六男らへんですね」
「またマニアックなところを……。さりげなく性別が変わっていますが、六男の理由はなんですか?」
「女として生きていて、女のめんどくささを知ったので男がいいなと。六男なのはいてもいなくても関係なさそうなので。自由っぽいなと。長男長女は大変だと聞いたことがあるので、なるべく下の方がいいですね」
「意外と考えているんですね」
「正直に言うと、きょうだいはいらないです」
「ええ~。楽しそうじゃないですか? ぼくはきょうだいのいる生活、憧れますよ」
「……魔王さんのようなひとがきょうだいにいたら、毎日疲労困憊になりそうです」
「ぼくはそんなに手がかかるひとじゃないですよう」
「寝起きの悪さが絶望的なんですよ。朝から疲れるなんていやです」
「でもでもでも、ひとりでさみしいなぁという時はそばにいられますよ」
「私はひとりでいいです」
「ぼくがいやです」
「わがまま。妹っぽい」
「あっ、いいこと考えました! 双子はどうでしょうか?」
「双子ですか」
「姉と妹という区別はあるものの、生まれたのがほぼ同じなので友達のような感覚になると聞いたことがあります。ある時は姉、ある時は妹になれますよ!」
「いや、なれないでしょうよ。知りませんけど」
「勇者さん、ぼくと双子になりましょう~!」
「話の飛躍がすごい。なろうとしてなれるものじゃないでしょうに」
「気持ちの問題です」
「そんなわけあってたまるかってんです」
「血が繋がっていなくても、きょうだいの絆は結べるんですよ?」
「必要ありません、絆なんて。私に繋がりは要らないんです」
「そんなぁ……」
「絆を結ぶにしても、もっと他にいるでしょう」
「勇者さんがいいです」
「ていうか、勇者と魔王がきょうだいの絆を結ぶのはおかしな話ですよね」
「せっかく出会えたんですから、記念に結びましょうよう~」
「観光地のスタンプ感覚で絆を結ぶな」
「ちょっと、ちょっとでいいので!」
「ちょっと結ぶ絆ってなんですか」
「ええん、勇者さんの頑固者……」
「魔王さんの推し具合の方が不自然ですよ。そもそも、きょうだいの絆なんて結ばなくても、私たちはもっとめんどうな絆で雁字搦めの気がしますが」
「へ?」
「勇者と魔王の関係ですよ。世界で一組でしょう。血の繋がりより強いと思うのは私だけですかね」
「そ、そうですね。たしかに、とっても強い関係かもしれません」
「腐れ縁とかいうやつですね」
「……ぼくとしたことが、きょうだいにこだわる必要なんて最初からなかったんですね」
「こればかりは私も諦めて受け入れた関係ですからね。お好きに活用していただいて構いませんよ」
「勇者は辞められませんもんねぇ」
「そういうことです」
「えへへ。ですが、姉ポジは譲りませんからね」
「その話、まだ続いてたんですか……。朝スムーズに起きてくれるなら一切の躊躇いなく承諾しますよ。なんなら、魔王さんを姉と呼んでもいいです」
「ぼ、ぼくが勇者さんのお姉さんに⁉」
「お腹すいたなぁ。高級寿司と玉露のお茶が飲みたいなぁ。おねーちゃん?」
「や、やけに板についている妹だこと……」
お読みいただきありがとうございました。
姉も妹で妹は姉です(混乱)。
魔王「お姉ちゃんと呼ばれるのも悪くないですね……うへへへへ……」
勇者「ちょろいですねー。玉露おいしい」
魔王「姉として時には厳しく! 時には優しく! 不滅の愛をもって接しますよ!」
勇者「お姉ちゃんと書いて財布と読む。これテストに出ます」
魔王「出すなー!」




