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518.会話 噴水の話

本日もこんばんは。

今日は噴水の日なんだそうです。噴水の日ってなに。

「噴水って、自動風呂システムの元祖なのでしょうか」

「まず、自動風呂システムの説明からしていただいてもよろしいでしょうか」

「お風呂って気持ちいいですけど、めんどくさいレベルも高いじゃないですか」

「え、うーん、あ、はい、そういうことで進めてください」

「入るまでがめんどうですし、入ってからもめんどうですし、出てからもめんどう」

「人間に向いていない勇者さん」

「お風呂自体は気持ちいいですけどね」

「ですが、めんどうなのですね」

「うん。疲れちゃう」

「かわいそう」

「そこで開発されたのが自動風呂システム、噴水です」

「違うと思いますけど、続けてください」

「勝手に洗って欲しいですよね」

「お望みならば、ぼくが勇者さんのお背中をお流しいたしましょう」

「結構です」

「それだけめんどくさがっていて断るとは……」

「魔王さんから欲が見え見えなので」

「そりゃあ、見えるようにしていますから」

「せめて隠せ」

「ぼくはありのまま生きているだけですよ」

「そんな魔王さんを噴水に放り込み、バラバラにされたところで、噴水は真っ赤に」

「ぐ、ぐろいですよ」

「点検に来た人がお昼ごはんに飲もうとしていたトマトジュースが巻き込まれた」

「噴水を赤く染めるほどの量のトマトジュースってことですか?」

「大好きなんでしょうね」

「好きとかのレベルじゃないですよ」

「トマトジュース販売会社の売り上げを担っているのでしょう」

「どんだけ飲んでいるのですか」

「いつか、噴水の水をすべてトマトジュースに変え、浴びるように飲むのが夢」

「浴びるが言葉通りの意味で使われるとは」

「うっかり昼寝なんてしたら、大惨事になりますね」

「殺人事件だと思われますよ」

「トマトジュース噴水殺人事件」

「語呂が少し……」

「事件を解決すべくやってきた名探偵。その手にはステッキとぶどうジュースが」

「ジュース好きですねぇ」

「糖分を取らないと頭が働かないタイプの名探偵」

「では、ぶどうジュースより糖分の多いジュースの方が効率的のような」

「実家がぶどう農家なんですって」

「じゃあ、仕方ないですね」

「ぶどうジュースのおかげで事件が解決したとして、商品の宣伝も行っているそうです」

「まさかの副業。探偵も大変なのですね」

「いえ、副業は探偵の方です」

「そんなまさか」

「普段は農家のお仕事をしているそうですよ」

「探偵の追加情報であまり聞かないタイプのお仕事ですね」

「いまの時代、副業しないと生きていけませんから」

「勇者さんも副業します? 探偵勇者さん、すてきだと思いますよ」

「噴水にオレンジジュースを流し込む仕事ってありますか?」

「勇者さんは勇者業だけやっていればいいと思います」

「そんなこと言わないでください。『農家探偵葡萄~副業で事件解決してます~』だって、がんばって生きているのですよ。私にもできます、ジュース流し込み仕事」

「そんな仕事はありませんし、なんですかそのタイトル。またかぐやさんですか」

「新刊が届きまして」

「あのひと変なのばっかり書くんですから」

「農家探偵は今度、シリーズ化していくそうですよ。次回作は『農家探偵檸檬』です」

「画数が多い。あと、流していい情報なんですか、それ」

「未確定なので問題ないとのことです」

「勇者さんを巻き込まないでほしいのですが」

「読んでみたい農家があったら教えて欲しいとのことでした。何かありますか?」

「ううーん、思いつきません」

「私は林檎と蜜柑と西瓜を書いておきました」

「難しい字もあるのに、よく書けましたね」

「えへん」

「かわっ」

「なんだか、フルーツジュースが飲みたくなってきました」

「そりゃあ、こんな会話をしていましたからね」

「ところてんも食べたいです」

「まさか、噴水を見て言っています?」

「つるっと滑るでしょう」

お読みいただきありがとうございました。

世知辛い探偵小説。


勇者「おもしろかったですよ」

魔王「ぼくも読もうかなぁ」

勇者「対象年齢は三歳から」

魔王「三歳から副業のこと考えるんですか?」

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