493.会話 水の話
本日もこんばんは。
水分補給は忘れずに。
【お知らせ】
今年の夏は特別編!
久しぶりの毎日投稿が復活します。8月だけですが、31日間をどうぞお楽しみくださいませ。
更新時刻は変わらず23時です。ぜひ毎日読みに来てくださいね!
「やっぱり旅人にとって重要なのは水ですよね」
「だからって飲み過ぎはよくないですよ。水中毒というものもあります」
「がぼがぼがぼがぼがぼがぼ」
「勇者さん?」
「げほげほ」
「こらっ」
「むせました」
「きれいな水に喜ぶのはよいのですが、あまりはしゃぎすぎないように」
「なにゆえ?」
「転びます」
「んぎゃ」
「ほら、だいじょうぶですか?」
「危なかったです。つい水にテンションが上がってしまいました」
「ぼくとしては、どんなにきれいでも煮沸消毒をしたいので、はいここまで」
「魔王さんが魔王……」
「勇者さんの健康のためにぼくは鬼になりますよ」
「いや、魔王になってくださいよ」
「角でも生やしましょうか?」
「似合わない」
「いいですか、勇者さん。見た目がきれいでも実際に飲めるかどうかはわかりません」
「少しくらい毒が入っていても平気です」
「なんてこと言うんですか」
「私に任せてください。お腹を下した経験なら数えきれません」
「絶対に任せたくない」
「お腹すいたのでお水飲もうっと」
「待ってください。まずぼくが毒味をします。ごくごく」
「全部飲んだ?」
「あ、間違えた」
「毒は入っていましたか?」
「思ったのですが、ぼく別に毒の判別能力とかありませんでした」
「ていうか、魔王さんは不老不死ですよね。毒を飲んだところで」
「そうですね。死にません」
「毒味の意味とは」
「ですが、多少舌バカな勇者さんにやらせるわけにもいきません」
「誰が舌バカだ」
「毒でも酸味があっておいしいなどと言いかねません」
「酸っぱいのはあまり好きではありません」
「と言いつつ、食べますよね」
「食べ物なら」
「そういうところが心配なのです。その辺に生えている草も食べちゃうし」
「わーい、水草だ」
「こらっ」
「やめろと言うのなら、この世のすべての草を刈り取ってください」
「二酸化炭素を増やすおつもりですか」
「では、人間を減らしましょう」
「強引な誘導にも程がありますよ」
「ひとり減る度に時計の針が逆向きに回るのです」
「繭のような形の機械に入れられているのかな」
「魔王さん、今日はたくさんの水を使った料理にしましょう」
「いいですね。パスタを茹でたり、シチューを作ったり、お鍋もいいかもしれません」
「軟水と硬水の飲み比べ」
「そのまんま水」
「水にも味がありますよ」
「そうですけど、食事にはなりません」
「数年前の私にも同じことが言えますか?」
「やめてください。その言葉はぼくに効く」
「浅瀬に寝転がれば、簡易風呂の完成です」
「気をつけてくださいね」
「つめたい……」
「んもう、何も考えずに行動するんですから」
「髪が水を吸って頭が重い……」
「おばけみたいになっていますよ」
「おばっ……け……⁉」
「ああああ違います。そう見えただけでいるわけではありませんよ」
「びっくりして口に入った水が変なところに入りまごっほげごけほこほ」
「もうちょっと人間の意識をもって生きてください」
「むつかしい」
「簡単です。はい、お水飲んで」
「なにゆえ?」
「人間の体は半分以上が水でできていますから」
お読みいただきありがとうございました。
就寝前の水分補給も忘れずに。
勇者「魔王さんは水が好きなんですね」
魔王「好きでも嫌いでもありませんよ」
勇者「だって、人間は大体水なんでしょう」
魔王「一緒くたに考えないでください」