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487.会話 標識の話

本日もこんばんは。

この先、くだらないSS注意。

「この看板、何度も見ますがどんな意味なのでしょうか」

「これは看板ではなく標識というものでして、主に注意喚起に利用されるものですよ」

「何を注意するんですか」

「勇者さんがかわいすぎるので気を取られて木にぶつからないように、です」

「この絵は魔物でしょうか? 隣にある標識の絵は魔族に見えますね」

「聞いて」

「この先は山道ですし、魔物が出るから気をつけろ、ということですかね」

「ええん」

「魔王城にも標識が必要じゃないですか?」

「何を注意するのですか」

「『この先、魔王城。魔王がいるので注意』ですよ」

「ただの事実ですね」

「いくら注意しても、相手が魔なるものでは限界があります」

「迂回するのもひとつの手ですね」

「まあ、魔物が出ると事前に言われればできることもあるでしょう」

「殺る気満々で進みましょうね!」

「なんで笑顔なんだろう」

「ぼくたちの後にこの道を通る人々のためにも、魔物を殲滅しましょう」

「いやだなぁ」

「そうも言っていられませんよ。ほら、また標識です」

「それだけ被害が多いのでしょうか」

「勇者さんの出番ですね」

「この標識、持って行ってもいいでしょうか」

「なにゆえ?」

「殴る用に」

「殴る用」

「血にまみれた標識を掲げて次の町に行くのです」

「新しい妖怪がうまれちゃう」

「魔なるものの血ですよ。人々は歓喜し、涙するでしょう」

「恐怖による涙ではなく?」

「失礼ですね。私は勇者ですよ」

「黒髪赤目血まみれ標識は絵面が強すぎるかと」

「では、魔王さんが持ちますか?」

「ぼくは白いので、血が目立ってしまいませんか?」

「そういう心配をする割に、拳が音を立てて準備運動を始めているようですが」

「手は洗えばいいんですよ」

「穏やかな笑顔で言われたくない」

「山の中なら人気も少ないです。ゆえに魔なるものが蔓延るのですが、逆に考えれば人目につくことなく殲滅できますよ。聖なる見た目の美少女が拳で魔物をぶちのめしていても、誰も知ることなく、ただ平和だけがもたらされるのです」

「私は目撃するんですけどね」

「勇者さんはいいかなって」

「散々見ていますからね」

「見た目のことをいうと、旅をする聖女もいるようなので、何も違和感はありません」

「なぜ魔法ではなく拳を使うのですか?」

「素手の方が殺った感があるので」

「思ったより物騒な理由でしたね」

「標識で殴るのもよいですが、ぼくとしてはもっと手応えを感じたいですね」

「やっぱり『魔王注意』の標識を作りましょう」

「そんなに必要ですか?」

「魔王さんのギャップに風邪をひく人がいるかもしれません」

「『魔王のギャップに注意! あっという間にきみもぼくの虜ですよっ』ですか?」

「やっぱりいらないや」

「勇者さんったら照れ屋さんなんですから~」

「資材がもったいない」

「そこ?」

「私には剣もありますし、毒も爆薬もこんにゃくも針と糸もあります」

「こんにゃくって言いました?」

「標識を持つには力が足りませんし、魔物退治ならいつものことですから」

「こんにゃくって言った? ねえ?」

「それでは進みましょう。魔王さん、行きますよ」

「勇者さんの鞄がこわくて進めません。きょ、今日は迂回して行きませんか?」

「迂回すると今日中に宿につけません。夜の山はあなたが避けるものでしょう」

「そりゃあ、魔なるものの時間ですからね。危険極まりないのです」

「というわけで、どんどん行きましょう。……あれ、この標識はなんでしょうか」

「魔物っぽくありませんね。どちらかというと、幽霊みたいな――勇者さん?」

「魔王さん、ここは迂回という選択肢もあるのではないでしょうか」

「ですが、今日中に宿につけなくなると言ったのは勇者さんですよ」

「私たちの旅はゆっくりまったりのんびりぐったりです迂回しましょう迂回しますよ」

「おめめぐるぐるですね」

お読みいただきありがとうございました。

標識を振り回し、敵を倒すキャラ。いいと思います。


勇者「標識に文字が書かれていますね。ええと…………ひぇ」

魔王「ちょっ、どこに行くんですか?」

勇者「絶対迂回!」

魔王「字が読めるのも困ることがあるのですねぇ」

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