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481.会話 ほうき星の話

本日もこんばんは。

SSを書くためにほうき星を調べたのですが、「きれいだなぁ」という結果に終わりました。

「魔王さん、魔王さん!」

「どどどどどどどどうしました? どうしました⁉」

「これなんですけど、ほんとうにあるんですか? 実在するものなのですか?」

「どどどどどれですか? ええと、ほうき星のことでしょうか?」

「ほうき星。それです。実在しますか?」

「はい、ありますよ。詳しく説明しましょうか。まず、太陽系小天体の中でも氷――」

「ま、待ってください。難しい気配がします」

「おや、ほうき星の説明を求めたのではなかったのですか」

「実在するなら、どこで見られるのか訊こうと思って」

「ああ、なるほど。どこで……ですか。それよりも、いつ見られるかの方が難しいです」

「流れ星とは違うのですか」

「頻度だけで考えると天と地の差があるといえます。彗星……、ほうき星が近づく周期は数年から数百万年あるといわれていますから」

「数百万年……ですか」

「二度と近づくことのないほうき星もあったとか」

「私が生きている間にほうき星は見られないのでしょうか」

「最も近いほうき星の情報を収集しておきますよ。だいじょうぶです。きみは勇者ですから、そういう特殊なものはばっちぐーのはずです」

「説得力がありません」

「空に向かって『見たーい!』と叫んでみてはいかがでしょう?」

「変な人じゃないですか」

「ところで、なぜほうき星を見たいと思ったのですか?」

「深い意味はありません。本に出てきたこの絵がとてもきれいで……、それだけです」

「そうですか。それだけでもいいのです。きみが見たいと思ったのなら、ぼくはそれを叶えるためにがんばるだけですから」

「魔王さん、ほうき星を創るおつもりですか」

「さすがに難しいですねぇ。できなくはないと思いますが、怒られちゃうので」

「たしかに、魔王さんが創ると暗黒物質が空に出現しそうです」

「否定できないのが悲しいです」

「空に出現した黒い尾。それに覆われていく世界には魔なるものが跋扈し――」

「ダークファンタジーのあらすじですか」

「地上にはモップを持って泣きながら走る魔王さんの姿がありました」

「あ、コメディだ」

「私は日陰になった場所でのんびり昼寝します」

「いつも通りで安心しました」

「暗黒彗星はどうでもいいですが、もし本物を見られたらうれしいでしょうね」

「どうでもいいって言われちゃった」

「ほうき星を見るのが先か、私が死ぬのが先か。どちらでしょうね」

「そりゃあ、ほうき星を見て楽しくお菓子を食べたり歌ったりするのが先ですよ!」

「宴会でもやるんですか」

「そうですよう。見るだけで満足なんですか? もっと欲張らなきゃ!」

「数百万年の奇跡かもしれないのに、宴会とは変なひとですね」

「逆ですよ。数百万年に一度だからこそ、楽しく派手に過ごすのです」

「不老不死なのに?」

「ぼくは不老不死でも、きみはそうではないでしょう?」

「それはまあ」

「それに、ぼくでも数百万年は多少長いですよ。見逃したらショックです」

「次回は数百万年後……。見逃した時の魔王さんの顔を見てみたい気もしますが」

「ひどいですよう!」

「私が見るとしたら、きっとあなたもいるはずです。見逃すことはないでしょうね」

「ではでは、スケジュールに『ほうき星』と書いておきますね」

「いつ来るかもわからないのに?」

「いつ来てもいいようにどーんと書いておくのです」

「一理ありますが……。『どーん』まで書く必要はないのですよ」

「見た目が派手な方が忘れないと思いまして」

「腕に書いた方がいいんじゃないですか?」

「よく見るところなら絶対に忘れない気がしますよ」

「油性で」

「それはちょっと」

「水性で書いたら消えちゃうでしょう」

「いやでも油性は少し抵抗があるといいますか」

「でも、『牛乳』や『卵二パック』よりはマシでしょう」

「買い物のメモですか」

「それに比べて『ほうき星』ですよ。どうですか?」

「ロマンチックですが、それなら紙でいいのではないでしょうか」

「ほうき星の絵も描いてあげますから」

「ですから、紙でいいと思うのです」

「周りにお星さまも描きますから」

「勇者さん、油性ペンでぼくにいたずらしたいだけですよね?」

「えへへ」

お読みいただきありがとうございました。

星と付いていると気になってしまう勇者さん。


勇者「やたらにこにこしていますね」

魔王「勇者さんの変遷を味わっていたのですよ」

勇者「表現が絶妙に気味わるくて魔王さんらしいです」

魔王「ありがとうございます。褒められている気はしませんけど」

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