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475.会話 強盗の話

本日もこんばんは。

安心安全の強盗SSです。

「勇者さんがすごく深刻そうなお顔をしている……。何かあったのでしょうか」

「……ねえ、魔王さん」

「は、はい。なんでしょう?」

「私、考えて考えて、それでも思うことがあるのです」

「それは一体?」

「強盗をするなら、一周回って気さくに話しかけるという手もあると思うのです」

「あ、よかった。くだらないこと考えてた」

「こんにちは~。今日はいい天気ですねぇ。一億円用意してもらってもいいですか?」

「ずいぶん気さくな銀行強盗ですね」

「頭の後ろに手を置き、一か所に集まってくれるとかなりうれしいです~って」

「かなりうれしいのですね」

「銃口を突きつけながら笑顔で」

「それはそれでこわいですよ」

「なに言ってんですか。魔王さんが人間に向ける笑顔と同じものですよ」

「ぼくは強盗じゃありません」

「見てみたいですけどね。拳銃を持つ笑顔の魔王さん」

「おもちゃの拳銃ならいいですが」

「え、本物だと思っていたんですか? やばいですね」

「勇者さんが言うので、本物一択だと思っていました」

「そんなに物騒な人に見えますか」

「見えるんですよねぇ」

「失礼ですね。もし本物を持っていても、撃つなんてしません」

「おや」

「拳銃で殴ります。打撃こそ確定ヒットなのですよ」

「漢字だけ見ると撃ってはいるんですよね」

「躊躇いなく脳幹を狙います」

「んもう、勇者さんったらFBI」

「これで銀行強盗も余裕です」

「やる側なんですね」

「だって奪わないとお金がない」

「野盗のセリフかな」

「逞しく生きていかないと」

「勇者さんの場合は逞し過ぎるかと」

「奪ったお金でレストランをはしごし、市場を潤すのです」

「お金の循環としては正しいですが、出だしがアウトなんですよ」

「魔王の財布から出るお金よりマシな気がします」

「ぼくのはちゃんと働いて稼いだお金です」

「おかしな話だ」

「魔王が働いちゃだめというルールはありませんから」

「奪った方が早いのに」

「きみは思考回路が魔王寄りなんでしょうね」

「魔王さんが人間寄りという方が正しいような。それはそうと、一回くらいやってみませんか、銀行強盗?」

「恐ろしく軽いノリで誘わないでください」

「映画で何度もシミュレーションをしたからだいじょうぶです」

「映画はあくまでフィクションですよ」

「平気です。複数の映画を観て、最良の計画を立てましたから」

「立てちゃだめなんですけどね」

「私のシミュレーションは完璧です」

「ずる賢いとこありますもんね」

「この計画が成功すれば、私は五億円を手に入れるでしょう」

「大金ですね」

「逃走のシミュレーションもばっちりです」

「このままでは勇者さんが犯罪者になってしまいます」

「しっかり捕まりました」

「捕まるんだ?」

「なに言ってんですか。私が観た映画は、最後は捕まって終わりましたよ。それを踏襲した結果です。おかしいですか?」

「いえ、失敗バージョンの映画だけ観てくれてよかったと安堵していただけです」

「成功バージョンがあるんですか」

「あああああいいですだいじょうぶですないです興味を抱かないでください」

「この計画を実行したら、私は牢屋行きです」

「犯罪ですからね。やっちゃだめですよ」

「でも、牢屋ってしっかり管理されるんでしょう?」

「そりゃあ、逃げられると困りますし」

「ご飯も出ると聞きました」

「人間は食事をしないと死にますからね」

「私がいた箱庭より環境が良――」

「勇者さん、今日の夕飯はハンバーグにしましょうか。デザートも作りますよ」

「わぁい」

お読みいただきありがとうございました。

勇者さんったらF(平和じゃない)B(美少女)I(いい子ちゃん)。


勇者「金庫ごと奪って逃げればいいのではないでしょうか」

魔王「重くて動けないと思いますよ」

勇者「私が観た映画では車で引っ張って町を破壊しながら逃走していました」

魔王「ずいぶんワイルドですね」

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