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464.会話 表と裏の話

本日もこんばんは。

表と裏がごちゃごちゃのおふたりのSSです。

「私、裏社会に住もうと思います」

「考え直してください」

「『表に出ろ』と言った場合、戸外に出ることを表しますよね。つまり表は外。裏は?」

「その理屈でいくと家の中……でしょうか?」

「まさしく」

「ですが、裏社会は意味が違うといいますか」

「人間が生き、生活している場です。社会そのものですよ」

「う、うーん……?」

「裏社会のドンになりたい」

「意味が違うとわかっていてしゃべっていますよね?」

「裏の何がいけないのですか」

「裏は悪くないです。裏社会がだめなのです」

「勇者たる者、悪を滅するべく、まず悪になるべきだと思うのです」

「べきではないかと」

「だって悪が悪っぽくないから」

「ぼくを見て言わないでください」

「私が悪になるしかないじゃないですか」

「誰かが代わりをやるとしても、一番やっちゃだめな人ですよね?」

「魔王さんは魔王のくせに表社会で生きすぎです」

「表社会で生きすぎ」

「定期的に『ふはははウィーク』を作るといいですよ」

「ふはははウィーク」

「一年のうち一週間くらいは魔王にならないと忘れちゃいますよ」

「すでにぼくも忘れているので問題ありません」

「相変わらず大問題」

「勇者さんも一週間くらい勇者になる『どやぁウィーク』を作りましょうね」

「ネーミングセンス皆無ですね」

「『ふはははウィーク』と命名したきみに言われたくないです」

「魔王だなってわかる名前ですよ。『どやぁ』では誰だかわかりません」

「だいじょうぶですよ。他に登場人物いませんから」

「身も蓋もない」

「勇者さんがたまに見せるどや顔はぼくがよく知っていますし」

「魔王さんはたまにすら『ふははは』していませんけどね」

「ぼくの笑顔の効果音は『しゃら~ん』ですから」

「清楚の音」

「背景にお花も咲いています」

「視覚に影響を与える攻撃ですか」

「おや、見えませんか?」

「私は正常なので」

「人間たちからはよく後光が差していると拝まれますよ」

「異常だ」

「笑みを浮かべて手を差し伸べると泣かれる方もいらっしゃいます」

「まさか魔王だとは夢にも思わないでしょうね」

「勇者だと思われていますから」

「光り輝く聖女のごとき勇者様が実は裏社会のドンこと魔王だった件」

「かぐやさんの新刊みたいな」

「あんまりおもしろくなさそう」

「ざっくり言いますね」

「表の顔と裏の顔を持つひとが多いですね」

「人間社会に紛れる魔族は基本的にそうなりますから」

「トップがコレですもんね」

「そういう勇者さんだって、人間界の聖性を司る存在のトップじゃないですか」

「私は裏が素というか」

「たしかに」

「表が嘘というか」

「たしかに」

「存在が間違いなので、表社会から拒否されているのです」

「表社会を拒否しているのはきみの方かと」

「魔王さんが受け入れすぎなんです」

「人間びっぐらぶ」

「親指を立てないでください」

「じゃあ抱きしめればいいですか?」

「じゃあの後がいつもおかしい」

「ぼくはおーるうぇいずこんな感じですよ?」

「うわ、いい笑顔」

「ずっとお宿の中ではつまらないでしょう。少しお外に出ましょうね」

「魔王さんなりの『おう表出ろ』ってことですか?」

「野蛮な解釈はおやめください」

「すてきな笑顔も煽っているように見えてきた」

「今日も元気にひねくれていますね」

お読みいただきありがとうございました。

勇者さんは裏社会のドンになれそう。


魔王「ずっと家の中だと体によくないですよ」

勇者「めんどくさいですー」

魔王「もう、いつまで経っても赤ちゃんなんですから」

勇者「おう表出ろ?」

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