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460.会話 口裂け女の話

本日もこんばんは。

恒例の妖怪怪異おばけあれやそれやの回。

「勇者さん、勇者さん」

「すごく振り向きたくない。……なんですか?」

「ぼく、きれい?」

「…………」

「ぼく、きれいですか?」

「…………」

「ぼく、美少女ですか?」

「…………」

「ぼく、魔王ですか?」

「いや、魔王ではないですね」

「やっと答えてくれたと思ったら、魔王否定ですか。びっくりですね」

「顔の下半分を覆っている布は何ですか?」

「これですか。ふっふっふ……、勇者さん、いまぼくを美少女だと言いましたね?」

「言っていません」

「これを見ても美少女だと言えますか! そぉい」

「…………いつもの魔王さんですけど」

「口を裂こうと思ったのですが、魔王さんがガチビビりすると思ったのでやめました」

「何の話ですか」

「口裂け女という都市伝説がありまして、その再現ですよ」

「魔王さん、そもそも女かどうかも怪し――」

「ぼくの場合は口裂け女美少女ですね」

「手に持っているはさみは何ですか?」

「口裂け女の武器ですよ。『きれいじゃない』と答えると、口を裂かれてしまうのです」

「口が大きいだけでしょう? ご飯が食べやすそうですね」

「勇者さんのそういうところ、好きです」

「ハンバーガーも一口で食べられますね。楽しそう」

「そうですねぇ」

「歯磨きも上手にできそうです。奥歯までしっかり磨けるでしょう」

「ふふふっ、そうですねぇ」

「口角をこう、ぐいーっと引っ張れば、私も口裂け女ですよー。なんちゃって」

「かぁわいい~~~~」

「ところで、例のごとく口裂け女さんは魔族なのですか?」

「いえ、人間ですよ」

「珍しい展開ですね」

「人間によって生まれた都市伝説ですが、気に入った魔族によって長らく伝えられています。口裂け女も今では名前と役割を継承し、後継者が担っているようですよ」

「暇なの?」

「彼女たちは『レッドハイヒール』という名で活動しています」

「魔族って意外とすることないんですね」

「口裂け女の名を騙り、ふざけて人間を怖がらせたり殺したり魔族や人間は殺すらしく」

「うーん、よくわからない」

「口裂け女を継ぐ者として認められたひと以外は地雷のようですね」

「魔族って不思議だなぁ」

「レッドハイヒールの中には人間のメンバーもいるそうです」

「世の中は程よくおかしいくらいがちょうどいいかもしれませんね」

「志を同じくするものは、年齢や種族など問題にはならないのですね」

「では、男性の口裂け女……ええと、口裂け男もいるのですか」

「それは最大の地雷らしいです」

「人間オーケーなら男性も認めてあげてくださいよ」

「一応、そういう都市伝説もあるみたいですけどね」

「口裂け女の伝説を語り継いで何になるのでしょう」

「魔族に対する恐怖心を煽ったり、新たな魔族の誕生だったりでしょうか」

「利点……ですかね?」

「ぼくとしては魔族が生まれるのは心底腹が立つのですが」

「魔王オーラがこんにちは」

「人間もいる集団ですし、今のところ共存できていると報告が来ているので様子見です」

「報告が上がっているんですね」

「人間に危害を加えたら全員引き裂いて血の海に沈めると脅してあります」

「魔王さんが一番怪異っぽいですよ」

「とはいえ、危害が加えられてからでは遅いので、一部メンバーを買収してあります」

「都市伝説かと思ったら、妙に生々しい話になってきましたね」

「彼女に監視と牽制、報告を命令してあります。何かあればわかりますよ」

「世の中にはいろんなひとたちがいるのですね」

「すでに流布している恐怖を利用するのは便利ですから」

「となると、魔王さんのこわい話ももっと広まっていいと思うのですが」

「ぼくにまつわるこわい話ですか?」

「歌で四肢を爆散させるとか」

「それは……、まあ、事実ですけど」

「こんにゃくで国を滅ぼしたことがあるとか」

「それはもう広まっています」

お読みいただきありがとうございました。

魔族が出てこないと魔王さんが魔王にならない。


勇者「魔王として存在を主張しないと都市伝説だと思われますよ」

魔王「それはそれで」

勇者「いいんですか」

魔王「人間を助ける美少女聖女として活動していこうと思います」

勇者「すでにわりとそうな気が」

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