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458.会話 お好み焼きの話

本日もこんばんは。

お好み焼きに何を入れるかで出身地がバレる罠。

「今日はお好み焼きを作ろうと思います~」

「じゃあ、私は大きくカットしたお肉を焼きます」

「お好み焼きってご存知ですか?」

「魔王さんがうるさ――心配性なので、加減はよく焼きで」

「そういう話ではなくてですね」

「付け合わせは先ほど採ってきた毒草です」

「あ、出たな毒草! 久しぶりの出演ですがお帰りください」

「ご飯と汁物を用意したら完璧ですね」

「そうですね。そうじゃなくてですね、今日はお好み焼きなんですよ」

「お好みの食材をお好みの加減で焼くんですよね?」

「いえ、お好み焼きとはこういったものです」

「なんで写真を見せるんですか」

「百聞は一見に如かずといいますし」

「今から作るなら写真より実物を見せればいいのでは」

「事前に完成形を見せないと警戒すると思いまして」

「野生動物か」

「お好み焼きのよいところは、作る過程も楽しいところです。ご一緒にいかがですか?」

「私は食べる専門です」

「そう言わずに。ぼくが作り方を説明しますから」

「なんやかんやで数分後」

「セルフ時間経過ありがとうございます。次は表面を焼くので、こちらをどうぞ」

「なにこれ」

「ヘラです」

「地獄?」

「それはヘル」

「私のお腹も?」

「減る、ですか。よくできました」

「まだ何もしていません。お好み焼きが焦げますよ」

「おっと。勇者さんの寒いギャ――こほん、すばらしい頭の回転に気を取られました」

「いま寒いギャグって言ったかこの魔王」

「鉄板は熱いのでお気をつけくださいね。ヘラを使い、お好み焼きをひっくり返すのです。そうして、裏面を表に持ってくるのですよ」

「なるほど。よーくわかりました」

「な、なにがですか?」

「ヒント、魔王さんは不器用」

「ぎくり」

「できないんですね?」

「……え、えへへ」

「だから一緒に作ろうと誘ったのでしょう。ご自分で作ると、片面しか焼けていないお好み焼きを提供することになってしまうから」

「勇者さんに半生お好み焼きを食べさせるわけにはいかないゆえ……」

「半生どころではありませんけどね」

「魔法で焼こうとしたこともあるのですが、均等に火が通らなくて」

「片面がいつも隠されていますもんね」

「勇者さんのお手を借りた方がはやいなと」

「そうですね」

「え、えへへ……。すみません、勇者さん。お手を煩わせてしまって」

「構いませんよ。ひっくり返すだけならエネルギーも少ないですから」

「勇者さんがヘラを持つと、途端に武器に見えるのはなぜでしょうね」

「楽しい料理タイムに不穏なワードを入れないでください」

「真顔で言われましても」

「確かに、首は斬りやすそうだなと思いましたけど」

「ほらぁ」

「そのためには、もっと研がないといけませんね」

「お好み焼き用なのでこのままでだいじょうぶですよ」

「両面が焼けたようです。おいしそうですね」

「この流れでそのセリフはちょっと」

「もう完成ですか?」

「あとは調味料やあれやこれやを振りかけて……、はい、完成ですよ」

「かつお節が踊っているようです。……ふふっ、愉快」

「初めてのお好み焼きに挑戦ということで、一枚よろしいですか?」

「ただ写真が撮りたいだけでしょう」

「記念に一枚という文言なら毎回シャッターチャンスを得られると思いまして」

「引率でついてくるカメラマンみたいですね」

「番号をつけて廊下に並べましょうか」

「ちょっと古いんだよなぁ」

「好きな番号を選んでいただければ、ぼくが写真を焼きますよ」

「もしかして、それがお好み焼きの起源ですか」

「ちが――そうで――いや――ううん――その通――ええと――そうです!」

「理性が欲の方にひっくり返ったようですね」

お読みいただきありがとうございました。

お好み焼きという名前で存在する以上、何を入れたって合法です。


勇者「ふと思ったのですが、ネーミングがそこそこテキトーですよね」

魔王「焼いていることしかわかりませんね」

勇者「きっと考えるのがめんどうだったんだなぁ」

魔王「勇者さんじゃないんですから」

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