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454.会話 NGワードゲームの話

本日もこんばんは。

サブタイからオチに気がついた人がいるかもしれない。そんなSS。

「勇者さん、ぼくと一緒にNGワードゲームをしませんか? 言ってはいけないNGワードを決め、相手にそれを言わせたら勝ちです」

「なるほど。いいですよ」

「では、紙にNGワードを書いてください。そして、交換し、頭に置きます」

「書きました。どうぞ」

「ぼくも書きました。では、せーので頭に置いてくださいね。せーのっ」

「…………」

「…………」

「あなたが掲げている言葉を言わせたら私の勝ち。そうですよね」

「はい」

「勝ったらどうなるんですか?」

「ぼくを一発ぶん殴っていいですよ」

「よしきた」

「じょ、冗談で言ったんですけど……」

「では、負けた方はNGワード一週間禁止罰ゲームでいかがですか」

「おもしろい罰ゲームですね。それでいきましょう。よぉし、ゲームスタートです」

「…………」

「無言はやめませんか」

「必勝法だと思ったのですが」

「ぼくたちふたりしかいませんので、片方が黙るとゲームが成り立たないのです」

「ふたりとも黙る」

「ゲームが崩壊します」

「それもそうですね。ただテキトーにしゃべるだけではスリルがありませんし、NGワードのヒントを出しませんか?」

「ぼくが決めたNGワードは名詞です」

「奇遇ですね。私もです」

「毎日必ず言う言葉だと思います」

「ふむ。かなり絞られるようですが、無意識に言っている言葉も多そうです」

「ぼくたちはおしゃべりですし」

「一日の文字数を数えたらすごいことになりそうですね」

「ですが、ひとりぼっちならこんなにしゃべりません。きみがいるからこそです」

「まあ、ひとりごとが多すぎると少しアレですからね」

「サボテンに話しかけるのはどうですか?」

「ギリギリアウト判定ですかね」

「アウトかぁ」

「でも、おしゃべりなあなたのことです。相手がいれば口が開いてしまうのでしょう」

「ぜーんぜん止まらないです」

「しゃべり続けると喉が渇いたりしません?」

「飲み物をご所望ですか。お任せください。できました。ミルクティーです」

「はやい。おいしいです」

「ぼくは追いミルクをとりゃー」

「ミルクティーというより、ミルクミルクミルクちょっとティーって感じですね」

「究極の滑らかさが口の中に広がりますよ」

「ほぼ牛乳ですからね」

「追い砂糖も入れちゃいます」

「この甘党め」

「きみはいいのですか?」

「すでにじゅうぶん甘いですよ」

「お菓子もご用意しました。今日はミニチョコレートパイです」

「わぁい。一口サイズで食べやすくていいですね」

「……この辺もクリアですか。てっきり甘い食べ物にしたと思ったのですが」

「思いながら普通に口にしますよね」

「しっかり説明しないと食べないと思いまして」

「私は野良猫ですか」

「すべてぼくの手作りです。安心して食べてくださいね」

「えっ、ミルクティーも?」

「市販品の場合は毒味済みって意味です」

「びっくりしたぁ」

「茶畑はほしいと思っていますけど」

「魔王城の周囲に広がる茶畑ですか。見た目が平和過ぎますね」

「いいじゃないですか、平和。緑色はリラックス効果があるのですよ」

「似合わないのに、妙にしっくりくるのが悔しいです」

「ところで、いつも通りおしゃべりしているだけで、NGワードが出ませんね」

「でしょうね」

「もしかして、NGワードが何か気づいています?」

「それはあなたもでしょう」

「では、一緒に言って、一緒にアウトになりましょうか」

「いいですよ。せーの」

「『勇者さん』」

「……ふふっ」

「えっ、ちょっとうそ」

「アウト」

「えー⁉」

「ゲーム終了。私の勝ちですね」

「ずるいですよう!」

「ずるいも何もありません。これはゲームはです。勝った方がまさしく勝者なのですよ」

「そんなぁ」

「さて、私のNGワードは『魔王さん』ですね」

「その通りです」

「そう来ると思いました」

「最初からわかっていたというお顔ですね」

「はい。NGワードゲームの内容を聞いた時から」

「さすが勇者さん。ぼくの心はお見通しということですね」

「あなたはわかりやすいのです。私のことを呼ぶのが好きなあなたが、あえて『きみ』と言っている時点で確定なんですよ。ヒントでも真っ先に名詞と言いましたし」

「名探偵勇者さんですねぇ」

「ふふん」

「得意げな勇者さん、たまらんです」

「やかましいですよ」

「ゲームも終わったので好きなだけ勇者さんと呼ぼうと思います」

「節度は守ってくださいね」

「勇者さん勇者さん勇者さん勇者さん勇者さん勇者さん勇者さん勇者さん勇者さん!」

「節度って知ってます?」

「少しの間、いくらゲームといえど勇者さんと呼ぶことを禁じられた反動が……」

「少しの間って、せいぜい二ページですよ」

「長すぎるっ……!」

「そういえば、罰ゲームのNGワードを言っていませんでしたね」

「一週間言ってはいけないのでしたね。どんとこいです」

「一回言うたびにこんにゃくをぶつけます」

「ヴッ……、わ、わかりました」

「どきどきの一週間禁止ワードは『勇者さん』です」

「待ってください一度ゆっくりお話ししませんか何か不満があるなら言ってください」

「すでに死にそうですね」

「お願いします勇者さん!」

「はい、アウト」

「アッ‼」

お読みいただきありがとうございました。

いつものオチ。


勇者「こんにゃくの刑」

魔王「待ってください今のは不可抗力というかゲームはこれからというかあの」

勇者「見てください、このぷるぷるを」

魔王「いやぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

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