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448.会話 保険の話

本日もこんばんは。

世界観が迷子ですが、作品自体が迷子なので何の問題もありません。

「勇者さんって保険には入っているのですか?」

「ホケン?」

「ケガをした時にお金がもらえたりします」

「なんですかそれ。ぜひ入りたいです。ケガしまくってお金もらって大富豪」

「故意によるものは保険適用範囲外ですよ」

「そこは綿密に計画を立てます」

「綿密にケガをされても困ります」

「さて、冗談はさておき、神様から保険の話は聞いたことがありません」

「そんな制度はないでしょうね」

「そもそも、勇者を大切にするような存在じゃないでしょう」

「確かに」

「死なない程度に食べ物をくれた記憶はありますけど」

「死なない程度にっていうのがミソですよね」

「お味噌汁ですか?」

「いえ、あの、ええと、そうです、お味噌汁ですよ」

「おいしいですよね」

「そうですね。今日も夕飯に作りましょうね」

「わぁい」

「お味噌は健康にもいいので、勇者さんの健康保険はつまりぼくです」

「人ならざる力で捻じ曲げられた変化球って感じ」

「ああ、勇者さんの健康をこの手で作り上げることの喜びよ」

「歌い出したのかと思いました」

「ぼくがミュージカルなんてやったら大惨事ですよ」

「確かに」

「救急搬送された先でぼくが手作りのお味噌汁を振舞う回」

「集団幻覚ですか?」

「勇者さんにはいくらでも作ってあげますからね」

「何らかの被害を受けて回復のためにお味噌汁を食べる構図は保険そのものですね」

「ハッ、意図せず」

「人間を癒したいがために、まず人間を傷つける魔王さん」

「代理ミュンヒハウゼン症候群ですか?」

「やはり魔王。人間とは感覚が異なるのです」

「落ち着いてください。ぼくが勇者さんを傷つけたことがありますか?」

「すみません、私、三秒前の記憶しかなくて」

「鳥でももうちょっと長いと思いますよ」

「記憶がないのはきっと魔族の攻撃によるものです。そして、ここにいる魔族は……」

「ぼくですね」

「ということで、犯人は魔王さんです」

「ぼく、なんにもしていませんよう」

「そこにいるだけで魔のオーラとか波動とかビームとか出ているんじゃないですかね」

「出しているつもりはありませんが」

「よし、保険適用範囲内ですね」

「楽しそうに手を差し出した勇者さんがかわいいのでもうなんでもいいやぁ」

「なにしてるんですか? はやくください」

「はいはい、ぜひ。どうぞ」

「当然のように手を握らないでください。違います」

「魔王保険じゃないんですか?」

「そんな怪しげな保険に加入した覚えはありません」

「あの日、手を取った時に契約が完了しました」

「クーリングオフで」

「すでに解除可能期間は過ぎました」

「おのれ魔王」

「神様保険よりはマシだと思いますよ」

「それはそう」

「……あれが保障しているのは死後だけです」

「なにか言いました?」

「いいえ~。あんなやつよりぼくだけ見ていてくださいな~」

「物理的に魔王さんしか見えません。近いです。離れろ」

「ハグはしていませんよ?」

「両手を数ミリ離しているだけでしょう」

「まじで抱きしめる一秒前です」

「いろんな意味でアウト」

「出会ってからしばらく経ちましたし、ここらで保険の見直しをしませんか?」

「見直し?」

「衣食住以外にも心身を癒すぼくを追加しましょう」

「追加料金はおいくらですか?」

「もちろん無料ですよっ」

「それはすばらしいですね。遠慮します」

「この流れで断るんですね」

「ここまでやって私たちのテンプレですから」

お読みいただきありがとうございました。

当作品はテンプレでできています。


魔王「ぼくは全ての人間を守りたいです」

勇者「勇者みたいなこと言ってる」

魔王「さすがに難しいのでまずは保険会社でも立ち上げようかと思います」

勇者「『まずは』がもうおかしいんですよ」

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