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436.会話 チョコレートの話その➁

本日もこんばんは。

魔王さんが日頃から勇者さんに「好き好き」言っているせいでせっかくのSSでも雰囲気が出ない弊害。

「今日も冷えますねぇ。どうぞ、ホットチョコレートですよ」

「ココアとは違うんですか」

「はい。使っている材料が少し異なりますが、とってもおいしいですよ」

「……はー、あったまります」

「よかったです。体を冷やさないようにしてくださいね」

「過保護」

「お菓子もあります」

「ホットチョコレートを飲んでいるのにチョコレートを食べるんですか」

「作りました! どやあ!」

「朝からキッチンにこもっていると思ったら、お菓子作りですか」

「だって今日はバレン――ええと、チョコレートを食べる日ですからね」

「そんなすてきな日があるんですか」

「人間が作ったイベントです。まったくもう、愛らしいんですからぁ~」

「どこに照れる要素があったのか謎ですが、チョコレートは食べたいです」

「こちらをどうぞ」

「あ、心臓型のチョコレート。前もいただきましたね」

「せめてハート型と言ってください」

「前回は見たことない文字が書かれていましたが、今回も何か書いてありますね」

「ふふん!」

「『愛』ですか」

「ふっふーん!」

「ほんと、人間大好きですね」

「あれ?」

「人間が作ったイベントを楽しむ魔王さんも愉快なものです」

「あの」

「いただきます。むしゃあ」

「一切の躊躇いも照れもなく食べた……」

「おいしいです」

「それは……、よかったです……」

「んえ? なんか、不思議な味がします」

「気づきましたか? それは蜜柑ジュレです。ホットチョコレートがあるので、甘すぎないように配慮してみました」

「器用なことをしますね」

「料理だけは器用なんです。料理だけは……」

「自分で言ってダメージ受けないでください」

「いいんです。勇者さんがおいしく食べられるのなら、ぼくはもう……」

「魔王さんが作った料理で不味かった記憶はありませんね。どれもおいしかったです」

「もう泣いちゃう」

「えっ、なんで」

「うれじぐで~……! ずべべべばばばば」

「えげつない泣き方ですね。ホットチョコレート飲みます?」

「それは勇者さんのものですよ」

「甘いものお好きでしょう」

「いいんですよ。ぼくはこうしている間も甘いものを摂取しているので」

「さっぱりわからない」

「一生が短いからこそ、人間は日々を特別にするイベントを作るのですねぇ」

「話の流れが謎」

「人間まじ愛おしいという話です」

「チョコレートの話じゃないんですね」

「食べちゃいたいくらい愛おしいです」

「魔王が言うと違う意味に思えるのでやめてください」

「特に勇者さんは食べちゃいたいしなでなでしたいし抱きしめたいし永遠に眺めていたいしもしチョコレートだったら舐めたいです」

「こわいこわいこわい」

「冗談ですよ?」

「発言がアウト過ぎて警察を呼ぼうかと思いました」

「ぼくも言ったあとに『おっと』と思いました」

「言う前に思ってほしかったです」

「すみません、あまりの愛おしさで」

「まあ、そういうところは魔王さんだなって思いますけど」

「これまでの信頼によるものですね!」

「知れば知るほど崩壊する魔王の尊厳」

「尊厳が瓦解したところをチョコレートでコーティングします」

「新種の妖怪だ」

「人間はチョコレートが大好きですからね、これでぼくも大人気間違いなしです」

「頭からチョコレートを被った魔王さん?」

「はいっ!」

「いやです」

「当然のように却下された」

「甘いのは性格だけでじゅうぶんです」

お読みいただきありがとうございました。

勇者さんを筆頭にした人間に甘々な魔王さん。


勇者「魔王さん、お菓子作りが好きですよね」

魔王「今日は特に大切な日なのですよ」

勇者「チョコレートお好きですもんね」

魔王「そうだけど、そうじゃない」

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