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431.会話 豆の話

本日もこんばんは。

節分ですので、豆の話です。

「勇者さん、今日は豆を食べる日ですよ」

「散財し過ぎてついに貯金がなくなりましたか」

「いえ、お金は底が尽きないのでだいじょうぶです。豆を食べるのはイベントですよ」

「奇怪なイベントがあるのですね。今日の夕飯は大豆、と」

「夕飯は別で用意してありますからね。まず、年の数だけ豆を取ってください」

「自分の年齢なんて知りませんよ」

「では、大体でいいです」

「大体でいいんだ」

「取ったら、食べてください。福とか健康とか幸せとかを取り込んでやると意気込んで」

「落ち着いて食べたいのですが」

「絶対に幸せになると誓いながら食べてください」

「食べにくいな」

「ぼくは勇者さんがしっかり食べる様子を見ます」

「食べにくすぎる。ところで、魔王さんは食べないんですか?」

「ぼくですか。あいにく、年齢がわからないもので」

「大体でいいですよ」

「そうですか。じゃあ、えいっとな」

「少ないですね。少なくとも五億個くらい食べないと」

「さすがのぼくにも限度というものがありまして」

「そもそも、普通の人間でも大量に豆を食べるのは大変です。大人は苦労しますね」

「無理に食べる必要はありませんが、十個くらいがちょうどいいですね」

「私はいくつ食べているのやら。……十六個ですね」

「ほど良いくらいでしょう。ぼくは五十個でした」

「豆だけで五十はきついです。私なら途中でぶん投げます」

「そうして生まれたのが豆まきという行事です」

「違うとは思うものの、正しい行事を知らないので何も言えない勇者です」

「味に飽きたらぼくに投げていいですよ」

「食べ物を粗末にしたくありません」

「訂正します。ぼくの口の中に投げていいですよ」

「それならまあ」

「余った豆は料理に使いましょうね。何が食べたいですか――って、どうしました?」

「意外とお腹にたまりますね」

「大豆ですからね。硬いので、よく噛みますし」

「お菓子には向かないかな……」

「お菓子で豆を食べる人はいないと思いますよ」

「旅人として、日持ちする食糧だとは思いますけど、こればかりはしんどい……」

「そんなに眉をひそめなくても、勇者さんには出来立てのご飯を用意しますから」

「助かる……」

「なんでそんなに疲れているんですか?」

「現在進行形で福を取り入れているからでしょうか」

「福はよいもののはずですが……」

「よく噛み、栄養素があり、お腹にたまる。健康になっちゃう……」

「ただのいいことだった」

「でも飽きました。そぉい」

「ぶわぁあぁ投げるなら言ってくださいよう目に激突しましたぁぁぁ」

「なぜ豆を投げるのでしょうか。それすなわち、悪霊退散」

「何も知らないはずなのに、正解です」

「口より目の方が痛そうですよね」

「それも正解です。豆は魔目とも言われ、古くは――」

「そぉれ」

「話きいてます? コントロール力いいですね。目にしか当たりません」

「元気になりました」

「よかったです。無病息災の効果がさっそく出たようですね」

「何の話ですか?」

「ミリほども話を聞いていない勇者さんですが、ぼくの目的はおおよそ達成されました」

「夕飯にしましょう」

「食べられそうですか?」

「さすがに豆だけじゃさみしいです」

「そうですね。ぼくも準備した甲斐がなくなりますし」

「これで豆料理のフルコースだったら震えると思います」

「今日は丸めたお寿司ですよ」

「豆たお寿司?」

「聴覚に異常がみられますね。いけません、無病息災。もっと豆を食べてください」

「も、もういいです」

「無病息災です」

「せめて味変させてください」

「わかりました。豆腐にしてきますね」

「そこまでしなくていいです」

「味噌と醤油をお持ちしました」

「すごい。全部大豆だ」

お読みいただきありがとうございました。

年を重ねるごとに辛くなる豆を食べるのがしんどくなります。


勇者「大豆ってすごいんですね」

魔王「枝豆も大豆ですし」

勇者「まるで変化魔法を使っているようです」

魔王「おもしろい表現ですね」

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