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424.会話 ホールケーキの話

本日もこんばんは。

毎月8日はホールケーキの日なんだそうです。なんでもありますね。

「ホールケーキを見るとフォークを突き刺したくなる衝動に駆られるんです。魔王さん、私はなにか深刻な病気なのでしょうか」

「だいじょうぶですよ。いつもの勇者さんです」

「フォークを持った手の震えが止まりません。やはり深刻な病気でしょうか」

「ホールケーキが楽しみなんですね。取りませんからゆっくり食べてください」

「でも、ちゃんと分け合わないとホールケーキ大魔神にケーキピックにされるって」

「ホールケーキ大魔……なんて?」

「ですので、こちらは魔王さんの分です」

「ありがとうございます。大魔神ってなんですか?」

「違うんですか? 本に書いてありましたよ」

「作者見ました? 絶対かぐやさんですよ」

「見ていませんが、そんな気がしてきました。信じてたのに……」

「勇者さんって、変なところで素直ですよね。めっちゃかわいい」

「本音ダダ洩れ魔王さんはいつものことですね」

「このケーキ、おいしいですね~! ぱくぱくもぐもぐむしゃむしゃー!」

「ところで、突然ホールケーキを買ってくるだなんて、どうしたんですか?」

「夕飯の買い出しに行ったら、『限定三個! その辺とかあの辺とかの人の舌とか脳とか頭とかを唸らせたいちごとかチョコとかクリームとかのスペシャルケーキ!』という宣伝文句を見つけまして、これは買わねばと思った次第ですよ」

「限定という文字に弱い魔王っておもしろいですね」

「だって限定ですよ⁉ 買わないと『限定ケーキを食べる勇者さん』コレクションが!」

「ケーキおいしい」

「しかも、ホールケーキです。大きなケーキの前で目を輝かせる勇者さんが見られる!」

「切られたケーキをいくつか集めれば、ホールケーキになりませんか?」

「切られた事実は変わりませんよ。やはり完全無欠の状態こそ!」

「ホールケーキに住む小人の話を読んだのですが」

「ぼくの声って実は自然音か何かなのかなって思うくらい、話が変わりますよね」

「四階程度のマンションになっていて、屋上はテラスになっているそうです」

「すてきですね。甘いケーキのおうち、住んでみたいです」

「ベッドはふわふわのスポンジ」

「うわぁ~、想像したら気持ちよさそうです!」

「お風呂は生クリームが乗った滑らか入浴剤入り」

「さ、最高じゃないですか……!」

「壁はチョコレートのレンガです」

「まるで絵本のような世界ですね。憧れちゃいます」

「甘党極めのホルケッキィです」

「うーん、アウト……ですかね」

「なぜですか。語呂しか借りていませんよ」

「ぼくの中の魔王が『アウト』だと言っているので」

「気になるのは、ホルケッキィの言いにくさくらいです」

「そこは自覚あるんですね」

「友人はホールケーキ大魔神だそうです」

「あ、そういう関係性なんですね」

「ホールケーキの家を建て、人々の脳内も味覚も甘々にして支配するのが野望だと」

「悪役……なのでしょうか」

「当の本人はケーキ嫌いなんだそうです。いつも唐辛子をかじっているそうですよ」

「その野望で辛党なんですか。お気の毒に」

「あ、失礼しました。糖の本人、ですね」

「めちゃくちゃどや顔で訂正してきた……。ばかかわいいですねっ‼」

「なにふざけたこと言ってんですか?」

「秒で冷めないでくださいよ」

「これだから脳内砂糖系魔王は」

「けなされているのか褒められているのかわからない表現」

「私もしょっぱいものが食べたくなってきました」

「おせんべいならこちらに」

「おせんべい……」

「あ、お望みではなさそうなお顔。では、フライドポテトはどうでしょう」

「ケーキでお腹いっぱい……」

「では、軽いものですね。うーん、夕飯用に買ってきた味付けのりしかないです」

「味付けのり……!」

「あ、正解っぽい。どうぞ」

「むしゃむしゃむしゃむしゃ」

「薄っぺらいので次々と吸い込まれていく」

「ケーキの残りは明日でもいいですか」

「もちろんです。冷蔵庫に入れておきましょうね。って、何しているんですか?」

「味付けのりに生クリームを塗りました」

「お、おいしいですか……?」

「いえ、これは白旗です。のりの形がぴったり」

「のりが選ばれた理由ってまさかこれ」

「然り。むしゃり」

お読みいただきありがとうございました。

ホールケーキには夢とロマンとカロリーが詰まっています。


勇者「しょっぱいケーキってないのでしょうか」

魔王「具体的にはどういう?」

勇者「スポンジがお肉だったり、トッピングがたくあんだったり」

魔王「未知との遭遇の気配がします」

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