表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
408/705

408.会話 人質の話

本日もこんばんは。

人質にはロマンと夢と希望と性癖が詰まっていると思います。そんなお話で――はないです。

「魔族から見ると、やっぱり魔王と一緒にいる勇者は人質だと思うのでしょうか」

「やっぱりってなんですか」

「知能の高い魔族は人間を人質に取る手法を使いますよね」

「そういうやつは率先して殺していきたいと思います」

「宣言ありがとうございます。そうじゃなくて」

「勇者さんを人質にするならず者がいたら、ぼくは世界ごと破壊するかもしれません」

「軽率に魔王爆誕しちゃう」

「人間の持つ感情を利用する魔族は総じて強い傾向にありますからね」

「嫌そうな顔」

「まじで嫌です。厄介な魔法を使ったり、強かったり、めんどくさかったり」

「私みたいになっていますよ」

「やる気でない……」

「私か?」

「そういうやつは見つけない、近づかない、戦わない、先に殺すが勝ちです」

「最後」

「勇者さんは強いですが弱いので」

「悪かったな雑魚で」

「そういう意味ではなく。人間が魔なるものより弱いのは当然ですから」

「にもかかわらず立ち向かっていく私、まじで偉すぎません?」

「あんまり立ち向かっていな――偉いですね。よしよししてあげましょう」

「それは結構ですので、今日の夕飯はエビフライがいいです」

「あ、はい、わかりました。ところでこれ、夕飯の誘導尋問だったんですか?」

「いえ、私も人質を取りたいなって話です」

「絶対違いますよね?」

「魔族にも大切なものはあるでしょう」

「出だしがこわい」

「死にたくなければ大切なものを渡しなさい」

「魔王みたいなことを」

「大切なものを壊されたくなければ死になさい」

「魔王だ」

「完璧な流れです」

「完璧魔王の流れなんですよ」

「これからは人質戦法でやっていこうと思います」

「魔界から緊急ニュースが流れてきそうです」

「人間界に来るなって? いいですね、願ったり叶ったりです」

「ですが、狡猾な魔族は勇者さんに対抗するため、あちらも人質を取るかもしれません」

「私に大切なものなんてありませんよ」

「ほんとうですか?」

「ほんとうです」

「ぼくの目をまっすぐ見ても、そう言えますか?」

「まっすぐ見ない方が言いやすいです」

「視線を合わせるのが苦手ですもんね」

「そういうわけで、私の勝ちです」

「今日の夕飯のエビフライ、没収しちゃいますよ」

「なんて非道な」

「ソファーが贈呈されたミソラさんも没収しちゃいますよ」

「魔王の所業だ」

「勇者さんの見える範囲からぼくも消えちゃいますよ」

「あ、それはどうぞ」

「止めてよぉ……」

「まるで魔王のような魔王さんに対抗すべく、私も人質を取ります」

「躊躇いなくぼくのポシェットを手に取りましたね」

「謎空間にあるであろう勇者コレクションが人質です」

「ぼくのこれまでを無に帰すおつもりですか」

「これまでを盗撮に費やすのが間違っているんです」

「許可を取った写真もあります!」

「全体の何割くらい?」

「一割とか……」

「マッチはどこでしたっけ」

「うそうそ、うそです! ぼくが間違ってました!」

「そうですか。実際はどれくらいですか?」

「さっきの半分くらいですかね!」

「減ってるじゃないですか」

「増えるとは言っていませんよ」

「いい度胸です。ガスバーナーを持ってきますね」

「危ないのでやめてください」

「わかりました。では、焚き火にくべます」

「ひ、火は危険ですってば」

「わかりました。今ここで破ります」

「すみません許してください」

お読みいただきありがとうございました。

夕飯はちゃんとエビフライでした。


勇者「何も大切なものがない方が強いってことになりませんか?」

魔王「大切なものがあるから強くなろうとするんですよ」

勇者「説得力がない」

魔王「こんなところで魔王の弊害が」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ