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407.会話 息の根の話

本日もこんばんは。

いろんなところで『止める』と脅される息の根さんの心労はいかほど。

「あのぉ~、どうせ見つめるのなら、首ではなくて顔を見てほしいのですが!」

「この辺かなぁ。えいっ」

「ぐえっ。な、なんですか突然。本の角で攻撃しないでくださいよう」

「こっちかなぁ。えいっ」

「うぐっ。やめてください~」

「苦しいですか?」

「魔王みたいな発言」

「やっぱり首なのでしょうか」

「何がですか?」

「息の根の場所です」

「それを探していたんですね。だから首を狙っ――むがっ。本の角ヤメテ」

「魔族にも息の根はあるんですね。いい発見です」

「勇者さん、息の根は呼吸のことですよ」

「首ではなく?」

「命と言い換えることもできます。そういう意味では、急所のひとつである首も息の根と言えるかもしれませんね」

「なるほど」

「体中に張り巡らされた血管を根と表現することもできますね」

「息の根は体中にあるってことですか」

「見方によってはそうなります」

「つまり、その根を断っていけば……?」

「死にますね」

「ピーン」

「閃いた、じゃないんですよ。血管が切れたら出血するに決まっているでしょう」

「私じゃなくて魔王さん」

「それならいいで――よくないですけど、いいです」

「魔族もわかりやすい急所があればいいんですけどね」

「魔族の息の根ですか。ことごとく止めてやりたいです」

「魔王さんの魔王が出ていますよ」

「おっとっとーい」

「魔族の急所ってどこなんですか?」

「つかぬ事をお訊きしますが、きみは何でしたっけ」

「たぶん勇者ですね」

「魔族についての知識は……」

「魔王さんの乗っ取りコーナーのおかげで少しばかり」

「なんとまあ……。とはいえ、魔族の息の根が光って見えたら苦労しません」

「ほんとそれ。めんどうなので全部斬ることにしていますけど」

「その点、人型の魔族は急所も人間と似ていることが多いですよ」

「そうなんですか。知りませんでした」

「勇者ならもっと興味を持っていただきたく」

「だって、前に戦った魔族は急所をズラしていたんですもん。あんなのズルですよ」

「狡猾だったり戦い慣れしていたりすると妙な技を使いますね。うざったいな」

「すてきな笑顔で言わないでください」

「あらあら、うふふ。まあね、いいんですよ。急所ごと全部吹き飛ばせば」

「私を力こそパワータイプの魔王さんと同じにしないでください」

「勇者さんだってこわーい魔法を持っているでしょう。エトワテールの時のやつとか」

「そう簡単に使えませんよ。準備がいるし、めちゃくちゃ疲れるし、めんどいし」

「ぼくは勝手に『息の根ごと引きずり込んで滅してやるぞ魔法』と呼んでいます」

「知らぬ間にすごくダサい名前をつけられていた……」

「勇者さんが技名を叫ばないからですよ」

「第一に、自分で考えるのがめんどくさい。次に、普通に恥ずかしい」

「では、決め台詞にしましょう。『お前の息の根を止めるのは私だ』とか」

「ダサい……」

「『あなたの息の根、頂戴いたします』とか」

「うーん……」

「ピンときませんか」

「まず、しゃべりたくない」

「そこからかぁ」

「しゃべりながら戦うとか疲労が倍増します。黙っててほしい」

「ですが、敵との戦闘中に発生する会話には熱いものを感じますよ」

「そんなの主人公だけやってりゃいいじゃないですか」

「きみ……勇者……」

「何か言いました?」

「……いえ、何も……」

「何らかの目的があって戦闘中に会話するのは五千歩譲ってわかるとして」

「かなり譲らないと納得できないんですねぇ」

「ただおしゃべりしたいだけなら、一旦戦いをやめて座って話せばいいんですよ」

「平和~」

「ちゃんと椅子も用意してほしい。敵側が」

「図々しい勇者さんもすてきです」

お読みいただきありがとうございました。

急所のない魔族もいますが、魔族は魔力で出来ているので魔力を蹴散らしたり奪ったり消滅させたりすれば死にます。


勇者「椅子はリクライニング機能つきで」

魔王「そのまま寝そうですね」

勇者「これがほんとの寝首を搔く」

魔王「勇者さんも寝たら意味ないんですよ」

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