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342.会話 足湯の話

本日もこんばんは。

足湯を見つけた時は大体タオルがありません。

「おっ、こんなところに足湯が! さっそく入りましょう、勇者さん」

「温泉ですか」

「足専用の温泉です。場所を取らず足を浸けるだけなので気軽に入れるのですよ」

「ここに生卵をバラまいたら温泉たまごが」

「できません。ここはしっかり管理された施設です」

「この水嵩だと、全身で浴びるには寝っ転がらなくてはいけませんね」

「足湯です」

「具材を入れて煮込めばお鍋が」

「足湯です」

「わかりましたよ。そぉい。……まあ、温泉ですね」

「たまにお風呂をめんどくさがる勇者さんには持ち運び用の足湯があるといいですねぇ」

「誰か代わりに入ってほしいです」

「難しい願いですね」

「足湯の存在は理解しましたが、つまり手湯もあるんですよね。どこですか」

「ぼくはつまりの後がつまらなかったのですがご説明いただいても?」

「足の温泉があるなら手の温泉もあるべきです」

「それはたぶん蛇口といいまして」

「なに言ってんですか。蛇口でも足は洗えます」

「かなりダイナミックな絵面になりますけどね」

「頭だって洗えますよ」

「かなりホラーな絵面になりますけどね」

「足だけこんなに優遇された施設を与えられるなんて不公平です」

「そう言いながら溶けてきましたね」

「眠気が……。なんたる強さ。これが足湯の力ですか」

「今は誰もいないので寝てもいいですよ」

「手湯と頭湯と顔湯を見つけるまでは寝ません」

「そこまでいったら普通の温泉でいいと思います」

「なぜ足湯だけ別個で存在するんです? えげつない権力者が足に魂を売ったんですか」

「また変な想像をし始めましたね。やっぱり靴を脱ぐだけ、足を拭くだけで完了するのでさくっと温泉に入りたい時に大変便利だからだと思いますよ」

「もしくは温泉街殺人事件のトリックに使う用……」

「閃いたって顔していますけど、おそらくきっと絶対違うと思います」

「じゃあ温泉街で殺人を犯したい時は何を使えばいいんですか」

「そもそも殺人はだめですよね?」

「なんかこう、まじでやばいやるしかねぇって時に」

「だめですからね?」

「まったく、足を温めるしか能のない温泉ですね」

「それだけ能があればじゅうぶんですよ」

「あっためるだけなら私にもできます」

「足湯と対抗しようとする人は勇者さんが初めてですよ」

「まずは火薬を取り出して」

「はい、ストップ」

「なんで止めるんですか。まずは火をつけろっていうでしょう」

「誰に言われたんですか。また変な映画でも観たんじゃないでしょうね?」

「温度を上げて温泉に入っているターゲットを茹で窯状態にする映画を観ました」

「恐ろしいホラー映画……、いや、ミステリー映画でしょうか」

「いえ、料理映画です」

「ちょっ、ちょっとだいじょうぶですか、それ……。年齢制限とか……」

「全年齢でしたよ」

「うそだぁ」

「とてもおいしそうでした。せっかくなのでやってみようと思って火薬を出したんです」

「しまってください。あと、なるべく変な映画は観ないでください」

「家族連れに大好評と書いてありましたよ」

「そんなまさか」

「映画に出てきた料理を真似する人が続出したとか」

「ぞ、続出したんですか⁉」

「スーパーに売られている肉の量は減ったでしょうね」

「スーパーで売ってるんですか⁉」

「魔王さんだってよく買ってくるじゃないですか」

「かっ、かかか買いませんよ! どこの魔界ですかそれは」

「現実の話をしていますけど。あー、お腹すいてきましたね。今日の夕飯はそれで」

「恐ろしいことを言いますね⁉」

「そうですか? 足湯のおかげで思い出したご飯ですよ」

「足湯の罪ですよこれは」

「魔王さんもお好きでしょう」

「お好きじゃないですよ、人肉なんて!」

「人肉? 何言ってるんですか。豚のしゃぶしゃぶの話ですよ」

「しゃぶ……しゃぶ……?」

「主人公のコックさんは食材のことをターゲットと呼ぶんです」

「紛らわしいことを!」

お読みいただきありがとうございました。

足湯の話というより温泉の話でしたが細かいことはいいのです。


勇者「なんで人肉の話だと思ったんですか?」

魔王「あれで人肉だと思わない方が難しいですよう」

勇者「魔王さんの思考回路はよくわかりませんねぇ」

魔王「勇者さんだけには言われたくないです」

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