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323.会話 ラブレターの話

本日もこんばんは。

5月23日は『ラブレターの日』なんだそうです。ということでラブレターのSSをどうぞ。

「ラブレターを書いたので読んでください!」

「呪いの手紙ですね。燃やしておきます」

「せめて開封してくださいよう」

「開けたら発動するタイプの呪いもあります」

「ぼくは心の奥底に秘めていない気持ちを赤裸々に語っているだけです。決してやましい内容ではありませんから読んでくださいませ!」

「普段のアレで秘めていると言われたら世界を疑うところでしたよ」

「突然のスケールのでかさは何なんですか。まずぼくを疑ってくださいよ」

「勇者が魔王を疑うのは当然すぎて面白味がないかと」

「ぼくはこんなにも勇者さんを信じているのに!」

「すっ」

「無言でこんにゃくを差し出す勇者さんもすてきですね。しまってください」

「信用しているのなら安心してください。何もしませんよ」

「無表情の圧がこわい」

「こんにゃく食べながらでよければ読みますよ」

「あ、それならぜひ」

「魔王さんが」

「そっ……れはちょっと、うぐっ……。で、ですが読んでくださるのであれば……!」

「そもそも、何に対してのラブレターなんですか?」

「はい?」

「好きなものについて書くんですよね。私も書こうかなぁ」

「あの?」

「ハンバーグのおいしさについて書いてみましょう。お腹すいてきた」

「ちょっと?」

「今日の夕飯はハンバーグでお願いします。お腹減りへりへり」

「冗談ですよね⁉」

「ハンバーグに冗談も真実もありませんよ」

「いえ、そっちではなくて、ぼくのラブレターについてですよ」

「今日食べたスペシャルパフェの感想でしょう。甘い物お好きですもんね、魔王さん」

「本気で……本気でおっしゃっているのか……まじで……」

「他に何か好きなものありましたっけ」

「まったくもう、とぼけるのもほどほどにしてくださいね」

「そんなに睨まなくても」

「見つめているのです」

「この手紙、読めませんよ」

「逆さまですからね」

「へんさ者勇?」

「それは向きが逆」

「……………………」

「どうしました? 勇者さんのカオス発言ならいつでもいいですよ」

「……まあ、いつも通りって感じの内容ですね」

「何か言いました?」

「いえ。それにしても、魔王さんってこういうの好きですよね」

「ロマンチックじゃないですか。言葉にするのにも種類がありますし、声には声の、手紙には手紙の良さがあるのです。何通でも書いてお渡ししますよ」

「魔王っぽくないなぁ……」

「勇者さんも書いてくださいな、ラブレター」

「誰にですか?」

「僕にですけど?」

「当然のような顔と声に安心感を覚えたので今日ははやめに寝ようと思います」

「健康の証ですね」

「対象者のいないラブレターなら書いてもいいですよ」

「難易度高くないですか?」

「すべてが対象者ともいえます」

「なるほど。それはそれで――いえ! ぼくを指名してほしいです!」

「そういえば過激派でしたね。厄介だな」

「これから毎日ラブレターを書いてもいいですか?」

「焚き火にくべていいのなら」

「読んだあとならいいですよ」

「そこは止めるべきだと思います」

「勇者さんの目に触れて記憶に残った事実さえあればぼくの勝ちです」

「勝負していたつもりはありません」

「ぼくがぼくの心や思考や考えや想いと戦っているのです」

「だいたいどれも同じのような」

「戦うぼくを想うのであれば、どうかラブレターを書いてください!」

「強引ですね。はあ……紙はどこでしたっけ」

「こちらに。あ、どこかに引っかかっていますね。えいっ。あぁ! 破れちゃいました」

「……ラブレターが破れたー」

「……んふふっ」

「笑いましたね。私の勝ちです」

お読みいただきありがとうございました。

普通はボツにするようなギャグを率先して使っていくのが当作品です。


勇者「書くのがめんどくさいです」

魔王「一行でもいいので!」

勇者「う」

魔王「それは一文字」


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