30.会話 キャッチコピーの話
本日もこんばんは。
キャッチコピーの話です。自らキャッチコピーを考えるタイプの登場人物たち。
「キャッチコピーを作りましょう」
「急ですね。どうしてですか?」
「世の中親しみとインパクトですよ、魔王さん」
「ぼくは割と親しみのある存在だと思いますよ」
「甘い! 甘いんですよ、そう、まるでキャラメルプリンパフェのようにね……」
「お腹すいたんですか?」
「勇者の優しさは生チョコのように滑らかなくちどけ……とかどうです?」
「優しさが溶けちゃってますがいいんですか?」
「勇者のパワーはステーキより強し! とか」
「食べ物縛りですか?」
「お腹すいたんですよね」
「腹ペコ勇者は今日もぺこぺこ、とか」
「誰が頭を下げるかってんです」
「いえ、お腹がぺこぺこという意味で……。こりゃ勇者に振り回される魔王、ですね」
「弱そうなキャッチコピーですね」
「弱い女の子はかわいいに変換されるんですよ」
「性別が謎のくせによく言いますね」
「見た目が儚げ美少女なので」
「詐欺注意、魔王の見た目、信じるな」
「いやそれ、五七五」
「信じるのなら、目玉をよこせ」
「七七まで……。ていうか、こわいですよ」
「魔王さんをかわいいとかいうヤツはみんな眼球捨てた方がいいですよ」
「過激派ですね」
「熱い勇者に御用心~。……っけ。やってられませんね」
「自分で始めておいて言いますか。でもこれ、考えるの楽しいですね。気に入ったキャッチコピー、いつぞやの贈り物みたいに肩からかけましょうか?」
「黒歴史を自ら放出するタイプか。おひとりでどうぞ。私は離れたところにいますので」
「え~、道連れになってくださいよ」
「道連れって言った。この魔王、道連れって言った」
「儚げ美少女魔王、とかどうです?」
「それキャッチコピーだったんですか?」
「月に代わって勇者さんに黒歴史攻撃をする魔王です」
「混ざってる……、なんか混ざってる……」
「勇者さんのキャッチコピーも考えましたよ。魔王系勇者爆誕、とか」
「いや、密度。もっと目に優しいことばにしてください。画数が多すぎます」
「やる気の無さには自信があります! とか?」
「それに関しては誰にも負けない自信がありますね」
「草食系勇者」
「文字通り」
「表情筋? なにそれおいしいの?」
「筋張って不味そう」
「振り返れば空皿」
「お残しは許しません」
「人間絶対滅ぼすマン」
「破壊神みたいですね」
「信用できるのは金と食べ物」
「世界の真理ですよ」
「うーん、いまいちパッとしませんねぇ」
「今ので真面目に考えていたことが驚きです。マシなもんがねえ」
「もっと端的に勇者さんのことを表現できる言葉はないのでしょうか」
「魔王さんはありますよ」
「なんですか?」
「ロリババア魔王」
「なんか名前みたいになってる! いやですよう、そんなの」
「見た目詐欺、性格勇者、配役間違い、神様のミス、合法ロリ、寝起きバカ、設定迷子、ぼくっ娘罪、などなど」
「よくそれだけ出せますね。いくつかツッコみたいところですが、どうせキャッチコピーを作るなら勇者さんと似たものがいいです」
「似たものですか。配役間違いなら共通していますが」
「同じじゃつまらないですよ」
「わがままですね」
「勇者さんに言われたくないです」
「うーん、そうですねぇ……。あ」
「……あっ、ぼく、思いつきました。勇者さんにぴったりなキャッチコピー」
「奇遇ですね。私は魔王さんのを思いつきました」
「せっかくですし、せーので言ってみませんか?」
「いいですね。では、せーの」
「魔王っぽい勇者」
「勇者っぽい魔王」
お読みいただきありがとうございました。
タイトルを回収するスタイル。
魔王「タイトルを回収する回は盛り上がるの法則がありますよ!」
勇者「たったいま覆しちゃいましたね」
魔王「ぼ、ぼくたちの会話はいつも盛り上がっているということです」
勇者「目が泳いでいますよ」




